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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

187分の沈黙!リヴァプールがアーセナル戦でオンターゲットゼロが続いている理由。

バスク出身のアンドニ・イラオラとミケル・アルテタの幼なじみ対決は、アウェイのアーセナルが0-1で勝利。リヴァプールがアンフィールドでオンターゲットゼロだったのは、プレミアリーグ史上初だったと報じられています。カイ・ハヴェルツのゴールでリードされてから、ポゼッションを取って攻め続けたレッズは、ガナーズの堅守を崩せずにタイムアップを迎えました。

唯一の決定機は43分、ヴィルツのFKがクロスバーを叩いた直後でした。左から美しいクロスを中央に送ったのはケルケズ。フリーで入ってきたマック・アリスターがジャストミートしたヘッドは、ラヤの頭上を越えていきました。両者の対戦の記録を辿ると、驚くべき事実が明らかになります。アーセナルとの過去3試合で、リヴァプールのビッグチャンスはこのシーンだけです。

2025年8月のアンフィールドは両者ともに攻めあぐむ塩試合で、83分にショボスライが左隅に突き刺した超絶FKでリヴァプールが勝ち切っています。年明けのエミレーツはスコアレスドローで、レッズはノーチャンス。ノースロンドンに乗り込んだサポーターたちが沸いたのは、ブラッドリーのミドルがクロスバーにヒットした瞬間ぐらいでした。

ショボスライのゴールから187分、リヴァプールは決定機もオンターゲットもゼロ。この事実が話題にならなかったのは、アンフィールドで14年もの長きに渡って勝利がなかったアーセナルが、押されているイメージがあったからでしょう。アルテタ監督と選手たちにしてみれば、34本のクロスと17本のシュートは想定内だったのかもしれません。

リヴァプールのアタックを封じるために、アーセナルが徹底していたことが3つあります。ひとつは、ボールを自陣のボックスから遠ざけること。イラオラ監督が激しいプレスを仕掛けてくると見て、微妙なミスが致命傷になるビルドアップを放棄し、ロングフィードを前線に送り続けました。後方のパスワークでピンチを招いたのは、序盤にバルコラに奪われたコンサだけです。

今季プレミアリーグでアーセナルのロングフィードの比率が最も高かったのは、2-0で勝ったサンダーランド戦の10.1%ですが、リヴァプール戦では18.1%も前線に蹴り出しています。アリソンの10本に対して、ラヤは何と40本!精度の低いボールをファン・ダイクとジャケに回収され、ポゼッションを譲る展開は覚悟していたはずです。

2つめは、ボックスの周辺でスペースを空けないこと。3つめは、シュートとクロスのコースを徹底的に切ることです。リヴァプールのゴールエリアでのフィニッシュは、ファン・ダイクが頭で折り返したボールを振り向きざまに叩いたアラウホだけで、オープンプレーでミドルレンジから打ったシュートは2本に留まっています。

アーセナルは攻めにまわると、「自分たちがやられたくないこと」を執拗に繰り返しました。決勝ゴールのきっかけは、アリソンに詰め寄ったカイ・ハヴェルツと、ジャケに出した曖昧なパスを見逃さなかったウーデゴーアのプレッシングです。ハイクロスはゼロ。デクラン・ライスもツォリスもノニ・マドゥエケも、チャンスとなるとグラウンダーを送り続けています。

ブルーノ・ギマランイスとデクラン・ライスがチームの半分となる5本のシュートを記録したのは、一瞬でもコースが空いたら迷わず打つと決めていたからでしょう。アルテタ監督の交代策は理詰めで、疲労によって守備戦術を徹底できなくなってきた選手を順番に下げ、ボールキープ、チェイシング、デュエル、クロスのカットに長けた選手を送り出しました。

リヴァプールが決定機すら創れなかったのは、サイドでの連携やラインを崩す動きが少なかったからだと思われます。ロングクロスへの依存度が高く、強引に中央をこじ開けるパスワークは通用しませんでした。カーティス・ジョーンズやバイチェティッチを手離したのに、中盤の補強をせず、選択肢が乏しくなったのも現状のチームの限界といえるのではないでしょうか。

今シーズンの開幕前に、19歳のニョニがこれほど貴重な存在になるとは想定していなかったでしょう。アーセナル戦で通したパスは54本で、成功率は96%。ラインブレイクパスは19本で、ファイナルサードで11本を味方につないでいます。59分にニョニの後を継いだショボスライはベストではなく、空転した交代策はアーセナルの反撃を招いてしまった感があります。

効果的なカードもプランもアイデアもなかった後半は、決定機ゼロは必然だったといえるのかもしれません。ヴィルツの見せ場はFKだけで、ドリブル成功もチャンスクリエイトもゼロ。プレミアリーグ9試合で11ゴールというプアなスタッツが注目されなかったのは、「CLは3試合で11ゴール」「公式戦5連勝」「イサクが6ゴール」という明るいトピックスがあったからでしょう。

新たな指揮官の初年度からトロフィーをめざすなら、冬のトランスマーケットにおける中盤の強化は必須ではないでしょうか。アラウホとジャケは大当たりで、守備は確実によくなっています。エキティケが戻ってくる前線も、さらなる成長を期待できるでしょう。手薄なポジションに投資すれば、イラオラ監督が年度内に回収してくれると期待していいと思うのですが…。

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