イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ジャカとムスタフィ。心ない罵声に苦しみ続ける選手たちの言葉に思う。

「ファンに理解されていないという気持ちと、最近の数週間、数ヵ月の間に試合中やSNSで繰り広げられた罵倒によって、私は深く傷ついていた。『足を折ってやる』『妻を殺してやる』『娘が癌になればいい』などといってくる人もいて、僕は動揺していた。そして日曜日、スタジアムで拒絶されていると感じた時、我慢は限界に達してしまった」
「ポジティブなエネルギーでクラブ、チーム、僕自身をサポートしてくれていたファングループに、我を忘れて敬意を欠くことをしてしまった。そんな意図はなかったのだけれど、そう受け取っている人たちがいるなら申し訳なく思う。お互いにリスペクトがあった場所に戻れればと願っている。このゲームを最初に愛した頃の気持ちを思い出したい。ともにポジティブに前に進もう」

プレミアリーグ10節のクリスタル・パレス戦で、サカとの交代時にブーイングを浴び、サポーターを煽りながら暴言を残してロッカーに去ったグラニト・ジャカが「インスタグラム」で発表した謝罪のコメントです。エミレーツのスタンドは、マッカーサーにクロスを許した守備を咎めたのか、同点のシーンでゆっくりピッチを去ろうとしていたことをなじったのか。スタジアムの雰囲気が悪くなれば、ストレスが溜まるのは去る選手ばかりではありません。ピッチに残った11人も、ネガティブな気分を引きずってしまうこともあるでしょう。不甲斐ない試合内容に、叫びたくなる気分はわかりますが、度を超えた罵声は誰も幸せにしません。プレミアリーグでもときどきあるちょっとしたブーイングだけだったのか、それとも…。

あのとき、グラニト・ジャカには何が聞こえていたのでしょうか。

プロフェッショナルだから、高い報酬を得ているから、影響力がある存在だから…どんな理由をくっつけようとも、家族の安全まで脅かすような罵詈雑言に耐え続けなければならない道理はありません。何をいわれても、トレーニング場に最初に現れ、最後まで残る日々を過ごしたジャカを人間としてリスペクトしたいと思います。とはいえ、彼が過ちを犯したのも確かです。そこには、ポジティブな気持ちで声援を送り続けた人たちも存在していたのを忘れてしまいました。仲間たちは2-2の厳しい試合を戦い続けている最中であり、緊張した面持ちでピッチに入ろうとしていたブカヨ・サカが見えなくなっていました。

私は、一時の激情を批難し続けようとは思いません。彼は悔いています。これからできることは、素晴らしいプレイを披露して、チームの勝利とサポーターの称賛を生み出すことだけです。アーセナルのシャツを纏い、プレミアリーグで戦い続ける限り、彼は失敗者ではありません。今後の試合で、成功すればいいのですから。

ジャカのコメントを読みながら、サポーターや評論家の批難に苦しんでいるもうひとりのガナーのことを考えていました。シュコドラン・ムスタフィ。2016年にプレミアリーグにやってきたストッパーは、不振から抜け出せないまま痛烈な罵詈雑言を浴び続けています。

「僕は、自分が犯してきたミスに関して自ら批判している。厳しい批判を受けても対処できる。でもそれらはエスカレートするばかりで、最近は理不尽になっている。ひどいのは、出場していない試合で負けたときに、責任を負わせようとしていることだ」

「ザ・サン」は、ムスタフィのフェラーリがパブを塞いだというタレコミを記事にし、プレミアリーグのOBたちはここぞとばかりに酷評しています。「プレミアリーグで活躍していたあの頃は過ぎ去った。今後どれだけうまくやっても、評価は変わらないだろう。彼のミスは、他の選手に緊張や不安を及ぼすからね」と、絶望的な表現で早期の売却を主張したのはジェイミー・キャラガー。クラブOBのエマニュエル・プティは、「King of the fags(役立たずの王様)」のひとことで切り捨てています。これに対して、今季プレミアリーグで出場ゼロのCBは、「元選手がいうのと、ファンやメディアからの批判は次元が違う」と抗議しています。

「ピッチでうまくプレイするのがどれだけ難しいか、知っている人物にいわれるのは堪える。尖った言葉がトリガーになりうるのはわかっているだろう。率直にいおう。プティのような元選手は、現役を名指しでコメントするなんてことはやめてほしい」

格下のクラブにあっさり敗れたとき、ひどい失点シーンを目撃したとき、思わず叫んでしまうこともありますが、人を傷つけるような罵声は自宅のリビングや居酒屋の個室に封じておこう。チームに貢献できていない選手でも、いいプレイをしたときは称賛の声を挙げよう。レッテルを貼って切り捨てることなく、まだ見ぬ未来への期待や希望を残しておこう。苦しんでいる選手たちの言葉に触れて、あらためてそんなふうに思いました。

「Sorry for keeping the 2 clean sheets」

ヨーロッパリーグのフランクフルト戦と、カラバオカップのノッティンガム・フォレスト戦で2試合連続のクリーンシートに貢献したムスタフィが、試合後にかましたジョークです。そうでしたね。その後、スタンダール・リェージュ戦も4-0でした。ムスタフィ、ブラボー!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“ジャカとムスタフィ。心ない罵声に苦しみ続ける選手たちの言葉に思う。” への19件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    中傷は許されませんが、そんなものはプロサッカー選手ならば必ずあるもので、そんなのでサポーターをあおったり、Fワードを吐くようではキャプテンの資質を疑われるのは当然でしょうね。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    まぁジャカやムスタフィがパフォーマンスで見返すなんてあり得ないでしょうね
    とっとと移籍したほうが選手のためではないでしょうか

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    心無いブーイングを糧にハードワークを重ね、見事にサポーターを心を掴んだジョルジーニョの株がますます上がってしまいますね

  4. absorption より:

    まあ、このブログを見続けている皆様はご存知の通り、このチームのサポーターの方は(勿論全員ではありませんが)かなり荒いですからね。。。

  5. 海苔助 より:

    サポーターにも「12人目の選手」と「ただの見物人」が居ると思ってます
    5-0で負けてれば試合途中に帰宅する、失点の度に味方にブーイング入れて、試合後にはメディアに采配批判ぶちまける
    こんな「ただの見物人」を12人目として必要とするクラブは世界中探しても無いですし、何のリスペクトにも値しないと思います

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    クオリティ云々は一旦置いておくとして、選手たちはより守られるべきだと今回の一件では感じましたねー…
    今の時代、批判の主役はもはやサポやOBでなくSNS上の無数の「誰か」です。スタジアムの席数を優に越える人達から「文字」という極めて明確な形で罵詈雑言が浴びせられ続ける、そんな状況に曝される当人の精神的負荷はとても私達に想像できるものではないでしょう。
    ではそれに耐えられる、もしくは全てスルーできるのが本当のプロフェッショナルなのでしょうか?彼らもまた人間、感情を持つ一人の人間です。負けず嫌いでまともに受けてしまう選手、見ない方がいいと分かっていても見てしまう選手もいるでしょう、それで精神を病んでしまう選手はプロに相応しくないのでしょうか…?
    あまりにストレートに言葉を通してしまう現代、今までのような姿勢ではいつか有望な若手もベテランも、そしてクラブさえも壊してしまうように思うのですがどうでしょうね

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    ↑の続き
    今回、ジャカが潰れてしまったのにはそんなSNS上の「サポーター」とスタジアムのサポーターを交代時のブーイングを契機に同一視してしまった、そしてその振る舞いに寄せられたメッセージをまともに受けてしまったことが原因にあると思います。私には彼を責めることはできません、観客席で必死に応援しているのにfワードを投げ掛けられた人達にはまた別の話だと思いますが…
    長文失礼しました

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    あ…連投されてる…
    重ねて申し訳ありませんでした

  9. ゆゆ より:

    批判と悪口は違う。ジャカは全てを話して謝罪し前に進もうと言っているから、これで流すべき。
    エメリもこうなる前にガス抜きしてほしかった。ムスタフィもジャカも信じて使い続けたんだろうけど、、選手を守るという意味でも上手く立ち回ってほしい。

  10. プレミアリーグ大好き! より:

    良い悪いじゃなくて、キャプテンとしてどうなの?って話だと思います。
    個人的には毎週1000万以上貰ってるんだし、全然同情はできないですけど

  11. エミリー より:

    ジャカって、ポカもするし、レッドも貰うし、カバーが甘かったりするけど、足折れろだの、娘が癌になれだの、そんなことまで言われるほど酷い選手じゃないですよってか、人にそんな呪いの言葉を投げつける人と繋がってしまうことになるSNSって、恐すぎますね。
    こんなストレスを抱えていたなら、あの態度もやむなしですね、嫁さん子供まで脅されてまで紳士でいる必要はないですが、ピッチでやってしまったのはミスでした。
    でも、相手にしないでスルー出来るタイプの性格じゃないなら、SNSとかやらなきゃいいのにってのが正直な感想です。
    デジタルデトックスして、心を回復させ、また頑張ってほしいですね。
    そんで、どう動けばいいのかを理解させないまま、不思議な布陣で走り回らせられるのだから、監督が言われるはずの文句まで、ジャカが身代わりになったわけで、監督ももっと頑張ってほしいですね。
    はあ、試合を見るのが怖い(泣)

  12. プレミアリーグ大好き! より:

    こういうのも人種差別も根っこは同じな気がしますね
    高額なサラリーをもらってんだから、何を言われても耐えろ?
    そんな言い分納得できませんね

    サッカー選手も、肌の色が違う者も同じ人間では?

  13. プレミアリーグ大好き! より:

    そんだけの金貰ってたら、何言われても大したことないと思ってしまうなぁ(個人的意見)
    中傷してもいい訳ではないですが、だからといって当たり前に存在するわけで
    無視しとけば良いとしか言えないし、同情できないです

  14. プレミアリーグ大好き! より:

    と、「そんだけの金」を稼いでない人間が(稼いでたらすみません)「大したことがない」と言ってしまう想像力のなさ。
    「金持ちなら何言われても大したことないでしょ」ってどういう論理ですか?
    また「当たり前に存在する」と言って問題を無批判に肯定し受け入れる姿勢には閉口。
    この想像力のなさが「こんなツイート見ないでしょ」「気にしないでしょ」という誹謗中傷、果てには人種差別もろもろに繋がるのかなと。
    他人の立場に立つのはどれだけ想像力を駆使しても土台無理な話だけど、こうやって何も考えないまま発言する能天気な人、たまに羨ましいですわ。

  15. プレミアムリーグ大好き! より:

    リバプールでロバートソンが心ない批判で

  16. がなゆ より:

    16>> その通りですね。クラブから高い給料貰ってるからファンは何を言っても良いという論理は理解不能です

    ジャカのコメントはとても誠意が感じられますよね。ポジティブな雰囲気はエミレーツには今はないです。

    リバプールってロジャース来る前の低迷してた時どんな感じでしたっけ?アンフィールドでネガティブな雰囲気になるなら何処でもなるでしょうけど。ホームと感じられるようにして欲しいですけどねファンには

  17. プレミアリーグ大好き! より:

    最も愛しているのはマンチェスターの赤い方だと知っているので、このエントリはアーセナルファンは心して読むべきですね。
    ありがとうございます。

  18. プレミアリーグ大好き! より:

    ネット上で○○(選手名)○ね!と連呼してるヨーロッパ圏のサポーターを批判したら囲い叩きされた
    どれだけの思い持ってたとしても選手に誹謗中傷していい理由にはならないよなぁ

  19. プレミアリーグ大好き! より:

    我々日本人も普段からネットで同じことをしていますし対岸の火事ではありませんよ。
    本当に悪いことと思うのなら皆さんも注意を呼び掛けるべきです。

コメントを残す