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チームの一体感を取り戻せるか…ミケル・アルテタがアーセナルの新指揮官に就任!

「クラブの中長期的な強化を託すにふさわしいベストチョイス」なのか、「2018年の夏にエメリとの決戦投票に敗れた二番手の繰り上げ当選」なのか。ミケル・アルテタの指揮官就任を発表したアーセナルの思惑が気になります。ELのフランクフルト戦をホームで落とした後、ウナイ・エメリを解任したクラブは、フレディ・リュングベリ監督の下でも苦しんでいました。プレミアリーグで1勝1分2敗、ブライトンにホームで敗れ、マン・シティに惨敗。EL最終戦も、9月に4-0で勝ったスタンダール・リェージュにドローに終わり、弾みをつけることができませんでした。

この間、ノースロンドンの新体制を巡る話題の中心は、カルロ・アンチェロッティでした。一時は基本合意と報じられ、数日前には「選手たちがアンチェロッティの就任を熱望」といったゴシップまで流れました。ミケル・アルテタもまた、有力な候補ではありましたが、彼が本命といわれるようになったのは最近です。鎌田大地に2ゴールを喰らった翌日、11月29日にスペイン人監督がクラブを去ってから、22日を要した監督選び。リュングベリとメルテザッカーが、選手たちのマインドから立て直そうと腐心したプレミアリーグの4試合は、何も生み出すことができませんでした。

1年前、ジョゼ・モウリーニョを解任したマンチェスター・ユナイテッドは、翌日にはオーレ・グンナー・スールシャールにケアテイカーを任せたと発表しました。マウリシオ・ポチェッティーノ監督を11月19日に見限ったトッテナムも、20日にモウリーニョ就任をアナウンスしています。「エメリ解任はパニック、アルテタ就任は悩んだ末のジャッジ」に見えるアーセナルの悠長なトップ交代劇は、選手同士の軋轢を生み、経営ボードに対する疑心暗鬼を深めただけのように感じられます。

プレミアリーグ15節のブライトン戦は、勝てない理由が最終ラインの混乱だけではないことを如実に表したゲームでした。キャプテンマークを着けていたオーバメヤンがパスを出さないウィロックを非難し、タイムアップの笛の後には苛立っていたメスト・エジルとラカゼットが衝突。「インディペンデント」は、クラブに対する不信感を募らせたオーバメヤンが退団を熱望と報じており、トルコのメディアが「エジルはフェネルバフチェでプレイする道を探っている」と伝えています。クラブのレジェンドたちが、選手の士気を高めることすらできなかったとすれば、何のための早期解任だったのか。新監督に最初に課せられた仕事は、コンセプトを明確にして主力を説き伏せ、チームの一体感を取り戻すことです。

「クラブにはとても敬意を払っている。準備ができていると感じられなければ、この椅子に座ってはいけない」「チャレンジするために、数年前から準備してきた。クラブに対する期待、求められるレベルと到達ラインはわかっている」。ペップの下で戦術とコーチングを学んだ新人監督は、「エネルギーを変える」「みんなが納得できるカルチャーを築き上げる」「チームにいい影響を与え、試合に勝ち、ファンの称賛と信頼を取り戻す」と公言しています。

プレミアリーグ17試合で5勝7分5敗の10位。カラバオカップは既に敗退し、インテルとアヤックスが流れ込んできたヨーロッパリーグもハードルは高そうです。アーセナルで5年を過ごした37歳の元キャプテンは、スールシャールやランパードよりも厳しい状況で監督としてのキャリアをスタートさせることになりました。周回遅れのピットスタートを承知で、コクピットに乗り込んだ勇敢なミドルエイジの成功を祈っています。クラブの全面的なサポートを得た指揮官のコンセプチュアルなチームづくりによって、アーセナルらしさを取り戻せたシーズンだったと振り返ることができると信じて。

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“チームの一体感を取り戻せるか…ミケル・アルテタがアーセナルの新指揮官に就任!” への12件のフィードバック

  1. エミリー より:

    正直、よく決断したなと。
    かなりかなり困難な道になるだろう古巣へ、よく戻ってくれました。
    噂では、出ていきたがっている選手の話もチラホラあるし。
    とにかく、お帰りアルテタ!!
    その心意気が嬉しいです。
    順位とかは、数年はどうでもいいので、10年以上モヤモヤしている、やりたいサッカーがわからず、規律が無いチームを、きっちり作り替えてほしいですね。
    アンチェロッティや、モウリーニョが就任したって、うまくいくとは限らないし、決まったのなら、応援します。
    もう、言うこと聞かない選手は、みんな売ってしまっていいよ。
    ハイエナの狩りのように、統率のとれた目的のしっかりしたサッカーが見たいんだよ。

  2. アイク より:

    アルテタの決断に拍手です。
    困難な道ですが、とにかく彼はチャンスを捉えて挑戦します。

    —–
    いつも更新ありがとうございます。
    火中の栗を拾う若いレジェンド達に本当に頭が下がります。
    パニックと聞いてパニックバイ

  3. 新参 より:

    選手時代は8-2でユナイテッドに負けた後にアーセナルに来て、チームを建て直したアルテタですので、何かやってくれそうな感じはあります。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    アルテタは正直エバートンの選手のイメージが強いんですが、wikiによるとやっぱりエバートンのほうが出場試合数多いんですねw
    それはさておき、アーセナルはアルテタで復権できるのか。
    あのぺップグアルディオラが手元に置いていた金の卵ですから、よくあるOB監督とはちょっと話が違いますよね。
    不安なのは言うまでもなくいまのチーム状況。
    それと、ペップでさえ一年目のシティでは苦戦して、選手をだいぶ入れ替えましたから、もしも似たようなポゼッションサッカーの型を求めるなら、アーセナルの選手の質が足りているのか。レノ、ベジェリン、ティアニー、トレイラらが状態良ければCB問題もなんとかなるでしょうか。
    外から見ている分には面白いですが、ファンは喜びと不安半々でしょうかね。

  5. アイク より:

    (上の続きです。すみません)
    パニックバイで獲得したアルテタがフラッシュバックしました。その後選手として活躍したように、監督としても報われて欲しいです。
    裁量の大きなボスの長期政権の後には、ボスに頼りすぎて弱体化した経営ボードが残る、そんな法則でもあるのかと考えてしまいますね。

  6. ぐなです より:

    クラブの経営陣がアルテタに期待をしているのは間違いないとは思うのですが、その一方で「クラブのOBを監督にしたんだから、多少成績が悪くてもガタガタ言わないでね、ファンのみなさん」というメッセージにも見えなくはありません。
    考えすぎでしょうか。

    僕自身はアルテタは好きです。
    プレーヤーとしてはぎこちく不器用な面も目立ちましたが、口を真一文字に結び毅然とした姿勢はキャプテンとして信頼できました。
    あとはそれが監督業としてうまくいくのかどうか。
    アルテタはスールシャールやランパードとは違い、クラブの「レジェンド」ではありません。
    これがアンリならば、多少成績でつまづいても過去のカリスマで少し配慮してもらえるでしょう。
    対してアルテタはできる限り早めに結果を出すことが求められるのではないでしょうか。
    それが出来なければ、主力の流出は避けられないと思います。

    まとまりのない文章で申し訳ありません。
    一つだけ言えるのは、ファンとしてはアルテタに本当に本当に頑張って欲しいということです。
    次戦はアルテタvsウォルコット・イヲビのアーセナルとエバートンの同窓会対決ですね。

    コメント欄を見る限り、皆さんアルテタを歓迎しておられるようで嬉しいです。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    締めの一文に完全同意。
    信じて応援します。

  8. ガナユ より:

    カオスの極みにある今の状況に就任するのは、アルテタの今後のキャリアを考えるとリスキーなはず。就任してくれた事に感謝。

    アーセナルのパスを回すチームカラーを取り戻して欲しいです。

    前のアルテタの記事にも書きましたし、上のコメントにもありますが、ペップがビルドアップの質を上げるためにディフェンス陣を入れ替えた事を考えると、アルテタは今のメンバーで向上させるという、エメリには出来なかった困難なミッションが求められます。

    経営陣とファンがどこまで辛抱出来るかはわかりませんが個人的にはアンチェロッティかアルテタが就任してくれればと思っていたのでひとまず安心しています。

  9. shiiin より:

    なんでアーセナルはこうなってしまったんでしょうねぇ。
    開幕前、今年の補強は現状の予算をかんがえると100点に近いくらいの出来だっただけに、CL圏内どころか優勝争いまではないにしても今のレスターくらいのチームになってるかと思ってましたが、いざ蓋を開けてみると…。

    個人的にはいい選手は揃ってると思っているので、チームとしての闘争力や規律、選手のモチベーションを上げさえすれば、すぐ良くなるような気がしなくもないです。

    アルテタ監督には荷が重いでしょうが、CL圏はもう無理だとしても来シーズンに繋がるチーム作りをして欲しいですね。

    オバメ、ラカゼット、エジルにしても、出て行きたい選手は売ってしまって構わないと思ってます。
    現状、資金がないんでしょうから、そういうチームの士気を下げるような選手は売って、アルテタが必要としてる選手を獲得したほうがいいかもしれません。

    チームのために頑張ってくれる選手でチーム作りをしてもらいたいです。

  10. だしまる より:

    ついに決まりましたね。
    すぐにどうこうすることは難しいと思います
    しかし、クラブOBを入れることで、
    アーセナルのアイデンティティを取り戻すことから始まります。

    かつての阪神タイガースのように純血主義も行き過ぎると
    よくありませんが、アーセン退任後のフロントのように、
    出身母体がバラバラも上手くいかないのでしょう。

    アーセンの物語を受け継ぐ赤と青。アルテタの夜明けとなりますように。

  11. セオ より:

    混乱の原因だった人はクラブを去り、建て直しに適任とみなされたアルテタが来たのだから、あとはどうなるか見守るだけですよ。
    あたしの座右の銘はノーアーセナルノーライフですが、この度の決定は夢と希望しかないと思ってます。
    ゴシップがどれだけ真実なのかはわかりませんが、いたくない選手は出ればいい。
    クラブに全てをささげられる選手がいれば、それで間違いなくよくなりますよ。時間はかかるのはわかってます。
    でも楽しみしかない。COYG

  12. ライアン より:

    少し安心。あとはどれだけ皆が我慢できるか。

    アルテタブーストで4位?あるわけがない。
    どれだけ負けようがポジティブにサポート出来るか。
    最近Twitter等で本当に口汚いグーナーが増えて辟易していますが、アルテタを食い潰してしまわないか心配です、

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