偏愛的プレミアリーグ見聞録

アヤックスとのアウェイ戦を0-1で勝った後、ミッティランに2-0完勝。チャンピオンズリーグで連勝スタートのリヴァプールが、3節で最難関のゲームに挑みます。2016年6月にガスペリーニ監督が就任してから、上位の常連となったアタランタ。過去2シーズンはいずれもセリエA3位で、昨季プレミアリーグ王者がつまずくとすれば、敵地アトレティ・アズーリ・ディターリアでのゲームではないかという声もありました。ファン・ダイクを欠いたクロップ監督は、CBにジョー・ゴメスと19歳のリース・ウィリアムズを起用。GKアリソン、SBはアーノルドとロバートソン、中盤にヘンダーソン、カーティス・ジョーンズ、ワイナルドゥムを並べ、3トップはジョッタ、サラー、マネという布陣です。

キックオフからアタランタが攻め込みますが、リヴァプールは2分に最初の決定機を迎えます。中央からドリブルで左に流れたジョッタが、ハテブールを抜き去ってGKスポルティエッロと1対1。右隅を狙ったシュートは左手で阻まれますが、プレミアリーグ5戦3発のテクニシャンは好調をキープしているようです。5分にボックス右でモヒカと競り合ったサラーは、スライディングを受けて転倒しますが、レフェリーの笛は鳴らず。10分に右サイドからスプリントしたアーノルドの高速クロスは、サラーの前でカットされます。

13分のマネの左足ミドルは、スポルティエッロがバーの上にクリア。14分にはアタランタが速攻を仕掛け、ジョー・ゴメスとロバートソンのチェックを振りほどいたムリエルが左足で狙いますが、逆を取られたアリソンが左足に当てて難を逃れました。16分、先制はリヴァプール。右からボックスに侵入したジョッタがバロミノのマークを振り払い、間合いを詰めてこないスポルティエッロを見ながら、左足のチップキックで脇を抜きました。アタランタの反撃は19分。左からのパスをボックス手前で受けたムリエルが中央にトラップし、迷わず左足を振り抜きますが、アリソンがファンブルしたボールを素早く懐に収め、大会初失点を回避します。

24分、ロバートソンが放ったロングシュートは右にアウト。29分に左から突破を図ったサパタが切り返しでアーノルドをかわし、右足でファーを狙いますが、間に合ったSBの足にヒットしたボールはクロスバーの上を叩きます。33分にアーノルドのロングフィードをボックス手前で受けたジョッタは、左足のトラップもニアを突いたフィニッシュも速く、美しく、パーフェクトでした。コースを空けてしまったGKは触れず、0-2。36分にはドリブルで中央に進んだマネがコントロールショットを放ちますが、忙しいGKがかろうじて指先でセーブします。

アタランタは、戦い方を間違えてしまったのではないでしょうか。ロングフィードの出どころを抑えられないまま、最終ラインに張り付いたアタッカーたちにラインの裏のスペースを突かれ、不利な体勢での守備を強いられました。0-2で折り返したホームチームは、後半が始まって5分で勝負を決められてしまいます。47分、ドリブルで中央から右に流れたサラーがハテブールをあっさりかわし、左足でドライブをかけた一撃をゴール左に収めて0-3。49分にはサラーの縦パスを受けたマネがボックス左に抜け出し、GKの飛び出しをあざ笑うかのようなチップキックでネットを揺らしました。

55分にゴールショーを締めたのは、昨季のヨーロッパリーグで2戦連続ハットトリックという離れ業を見せたジョッタです。マネのラストパスで左から抜け出し、ボックスの外に出てきたスポルティエッロを抜いた20番は、無人のゴールに左足で流し込んでCLでもハットトリックを達成しました。残り25分となったところでロバートソン、ジョッタ、ヘンダーソンを下げ、フィルミーノ、ナビ・ケイタ、ミルナーを入れたのは、マン・シティと戦う週末のプレミアリーグを見据えた策でしょう。82分にピッチに入ったのはネコ・ウィリアムズとツィミカスで、南野拓実の出番はありませんでした。

無失点で3連勝のリヴァプールは、残り3試合を主力を休ませながら戦えるようになりました。リース・ウィリアムズやネコ・ウィリアムズはいい経験を積むことができ、南野、オリギ、シャキリ、ツィミカスらのコンディションもキープできるでしょう。ファン・ダイクを失った後、公式戦5連勝。プレミアリーグで勝負強さを発揮し、CLでも悠々と勝利を重ねる彼らを見ていると、ずっと抱き続けている疑問が頭をよぎります。ヴィラ戦の7失点は何だったのか、と。