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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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またもや届かなかったアーセナル…最高の先制、遅すぎた追加点!

大健闘、といっていいでしょう。バイエルン・ミュンヘンの本拠地、アリアンツ・アレナで2点を獲って、クリーンシートでの勝利。しかし…。試合後、ヴェンゲル監督も「初戦が1-2だったら、今日のゴールの大きさも変わっていた」とコメントしているように、これでも上にいけなかったということが、第1戦の3失点、とりわけ攻めていた状況で喰らったマンジュキッチの3点めがどれほど大きかったかを物語っています。チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦、アーセナル、2試合トータル3-3もアウェイゴールルールで敗退。

先制点は3分、得意の形。ロシツキから右に展開したボールを、ウォルコットがグラウンダーで中に入れ、ジルーが合わせて1-0。アーセナルとしてはこれ以上ないスタート、バイエルンとしては絶対に許してはならなかった形です。4人を欠いたバイエルンは、予想どおりのスターティングメンバーでしたが、やはり、リベリーとシュバインシュタイガーの欠場が大きかったですね。中盤の速い寄せで、アルテタやロシツキから縦への効果的なパスを出せなくする、というところまではいいのですが、攻撃が単調。中央からのミドルシュートか右サイドからのクロスしかなく、ロッベンへの依存度が高すぎました。ゴール前の枚数を増やして厚みのある攻撃を展開するには、ロッベンと逆サイドでタメを作れるリベリーや、攻撃センスがありタイミングよく上がってこられるシュバイニーの存在が大きいのは間違いありません。

この試合は、アーセナルが先制はしたものの、前半途中から試合が終わるまで、ペースを握っていたのはバイエルンでした。これはひとえに、中盤の守備力の差によるものでしょう。1対1の積み重ねでしかないアーセナルの守備と、敵がハーフラインを越えてきたあたりでカットを狙うという約束が明確で、連動性の高いバイエルンの中盤のディフェンスでは、歴然とした質の違いがありました。これはプレミアリーグ勢全般にいえることですが、スペインやドイツ、イタリアのチームと戦うとき、主導権を握られ守る時間が増えてしまうのは、攻撃力よりもむしろ、ゴール前でしかボールを奪えないからです。攻撃やパスワークばかりに目がいきがちなバルセロナですが、彼らのポゼッションサッカーを支えているのは「ボールを取られたらすぐに囲んで奪いにいく」こと、すなわち世界でいちばん前でディフェンスをするチームであり続けることです。実はこれが最高の攻撃であり、有利なディフェンスであることを全員が理解し、徹底しているわけですね。今季、17年ぶりに1チームもベスト8に進むことができなかったプレミアリーグ勢は、早く組織的な守りの構築に着手しないと、来季以降もヨーロッパで苦戦することになるでしょう。

劣勢に立たされ、攻め手が見つからないながらも、アーセナルのディフェンスは耐え続け、72分の2枚換えで状況を打開します。ラムジーとウォルコットが下がり、チェンバレンとジェルビーニョが登場。とりわけジェルビーニョが効果的で、彼が左でボールキープすると、ラームをはじめバイエルンの右サイドは難しい対応を強いられました。シュートチャンスもFKやCKを得る機会も増え、実ったのは86分。CKからのコシールニーのヘッドでやっと2点めをゲットしました。これであと1点、しかし遅すぎた…。結果論ではなく、後半2点足りない状況で攻めの糸口探しに困っていたことを考えれば、一発のあるウォルコットを引っ張るのはいいとしても、ラムジーはもっと早く代えたほうがよかったですね。

残された課題はあり、結果的に届きませんでしたが、アーセナルは胸を張ってロンドンに帰っていいと思います。バイエルンを腹の底から震えさせたラスト7分は、いい夢を見させてもらいました。また来年、ここに戻ってくるべく、母国へ帰れば熾烈な4位争いが待っています。必ず、椅子を手に入れてください。来季もCLというステージでその美しいサッカーを見せてくれることを願っています。

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“またもや届かなかったアーセナル…最高の先制、遅すぎた追加点!” への2件のフィードバック

  1. ピント より:

    リーガやブンデスのクラブは全体が非常にコンパクトで組織的に囲い込む守備が徹底されてますね。
    さらに奪ってからの繋ぎも正確で簡単にはボールを失いません。
    プレミアのクラブは高い位置でボールを奪えない為どうしてもズルズル下がってしまいます。
    そしてマイボールになってもプレスを交わせず苦し紛れのロングボールを蹴る。
    補強も大事ですが戦術面を見直さないと差は縮まりそうにないですね。

  2. makoto より:

    ピントさん>まったく同感です。

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