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【Arsenal×Bayern】 衝撃の3失点…アーセナル、来季に向かおう!

「負けを悔やんでいても仕方ないから、次を考えよう!」という、ただ前向きな意味でつけたタイトルではありません。プレミアリーグ勢ではマンチェスター・ユナイテッド、アーセナルの2クラブが戦うチャンピオンズリーグですが、ファーストレグ2試合を観て感じたのは、「もはやプレミアリーグは世界のトップレベルにないのではないか?」ということです。ホームで1-3。これは惨敗といっていいでしょう。アーセナルとバイエルンの違いは「実力」です。であれば、この差を埋めるべく、来季に向かって策を打たないといけない…。


(「とても大きな結果」ユップ・ハインケス監督/著作者:Александр Осипов 「もう難しいだろう。しかし、我々は不可能を可能にするべく挑戦する」アーセン・ヴェンゲル監督/著作者:Paul Blank)

試合開始間もなくは、アーセナルは右サイドでカソルラがフリーになるなど、ゴールの予感にあふれたチャンスを創っていました。しかし、たった7分で先制を許すことになります。中央からの侵入に対してアーセナルが中を締めると、外にいたトーマス・ミュラーがフリー。ミュラーはグラウンダーのクロスを、ひとりだけ前線に張っていたクロースにピンポイントで合わせます。これを、来る前から打つと決めていたであろうクロースがダイレクトでボレー。シュートが速く、シュチェスニーはなすすべなし。アウェーチームが難なく先制です。このゴールは、メルテザッカーが守備の基本をおろそかにしたことから生まれています。中央でシュートを打とうとする選手に当たりに行くときは、左右どちらかのコースを切らないとGKがコース予測ができなくなるので、コースをつぶしにいくか、足元にしっかり入るかいずれかの対応が求められます。しかし彼は、クロースに半ば背中を向けて捨て身のタックルをするのみでした。冷静に足元をみて当たりに行っていれば、足に当てることはできたでしょう。打たれてはいけないコースに最高の弾道で決められてしまいました。

先制されたとはいえ、ホームです。ここからアーセナルの逆襲が見られるかと思いきや、試合を握っていたのはバイエルンでした。トップのウォルコットがまったくボールを収められず、ポドルスキが消えてしまい、カソルラやウィルシャーにドリブルで何とかしてもらうしかないアーセナルの攻撃はあっさりつぶされます。逆にバイエルンは、マンジュキッチがボールをもらいやすい位置に動き、彼から直接左右に展開するか、あるいは後ろのクロース、シュバインシュタイガーに落とし、余裕のある体制でパスが出せる状態を創ります。とりわけバイエルンの右、ミュラーのポジションは、この日左SBに入ったヴェルマーレンが間合いを詰めず、当たりにもいかない緩い守備を繰り返しており、ポドルスキのフォローもないため完全に狙われます。再三、CKやFKを取られ、上背のあるバイエルンに対してセットプレーの対応は大丈夫なのかと心配していると、2点目をCKから獲られてしまいました。ファン・ブイテンの完璧なヘッド、シュチェスニーはかろうじて触るだけ、こぼれをミュラーが押し込み0-2。前半でこのスコアは厳しい。マン・シティ、チェルシー、リヴァプール…今季、トップクラブ相手に、立ち上がりの対応のまずさから、何度早い時間に0-2にされたことか。「アーセナル、またか!?」ハーフタイムで、何か明確に作戦を変える必要があります。

しかし、ヴェンゲル監督は動きません。後半、動きがよくなったアーセナルが盛り返していたのは確かですが、前半の課題がクリアになっていたわけではありません。CKにゴール前で誰も触れず、ファーサイドにいたポドルスキの頭まで抜けてくるというラッキーなゴールで1点差としますが、それでもヴェンゲル監督は動きません。ようやく手を打ったのは70分を過ぎてから。これは、勝負を賭けるタイミングがあまりにも遅い。代わって入ったロシツキ―のシャープなパス、ジルーの動きを見れば尚のこと、後半開始早々の優位な時間帯に手を打っておくべきだったでしょう。時間が足りず、焦り、またもや左が手薄になり、フリーで前を向かせたら何でもできるロッベンに裏を突かれ、マンジュキッチがダメ押し。できれば同点、せめて1点差であれば、アリアンツ・アレナでの逆襲に望みをつなげましたが、ここ6試合、1点も獲られていなかったチームからアウェーで3点獲らないといけないとなると、さすがにジ・エンドでしょう。アーセナルの今季無冠は、春を待たずしてほぼ確定しました。

この今季最大に重要な試合に、戦略的な理由でなく初めての布陣で臨まなければならなかった責任は、アーセン・ヴェンゲルとフロントにあります。開幕から半年を経て、いまだにラムジーの有効な使い方が見えておらず、ウォルコットのCF起用も弱いチーム相手にしか通用していません。控え選手が戦術になじむ機会に乏しいので、選手交代はてきめんにチーム力劣化となって現れます。負けている試合での攻撃的シフトもなく、先に点を獲られても、相手にフォーメーションを変えられても対応できないヴェンゲル・サッカー。要らない選手を売れず、急場しのぎで多数レンタルに出し、ニューカッスルが5人も補強している同じ時期に左SBの「補填」しかできなかったフロント。

厳しいことを言い過ぎでしょうか。いたずらに監督を変えることがいいこととは思いません。しかし本気でタイトルがほしいなら、欧州を狙うというのなら、ヴェンゲルが変化を志向しない限り、難しいのは間違いありません。変わるのか、去るのか。過去の実績を主張している場合ではありません。もう一度、欧州で攻めて攻めて攻めまくっているアーセナルが見たい。

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“【Arsenal×Bayern】 衝撃の3失点…アーセナル、来季に向かおう!” への2件のフィードバック

  1. ピント より:

    バルサは別格としてもマドリーやバイエルン、ドルトムント辺りと互角に戦えるチームがプレミアにはないですね。
    個人でも組織でも劣っていて戦術的にもだいぶ遅れてるように感じます。
    昨季のチェルシーもひたすら守ってワンチャンスに賭ける弱者のサッカーでしたからね。
    しばらくはプレミア勢にとって厳しい時期となりそうです。

  2. makoto より:

    ピントさん>ファーガソンはそこに気づいてチーム改革をしようとしていますね。イングランド人の育成が芳しくないので、ドイツやスペインの代表選手を吸い上げているブンデス勢、リーガ・エスパニョーラ勢に後れをとっているというのが一番だと思います。これ以外でいえば、まあまあお金をもっているクラブが多いことで、「まあまあでしかないのでスペインに超一流を持っていかれている」「まあまあが数チームあるので分散している」ということもありそうです。それゆえ、競り合いが多くてリーグは面白いんですけどね。

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