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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

戻ってきた気迫と創造力…マンチェスター・ユナイテッド、この勝利は次につながる!

前半2分のオウンゴールで1-0。結果だけみれば、「薄氷の勝利」「辛勝」という言葉がぴったりです。しかし、この日のマンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグでの余裕のない戦いぶりとは、ひと味違いました。復活というにはまだまだ課題が多いですが、彼ららしい気迫のこもったプレイがみられ、決まりはしなかったものの幾度となくゴールチャンスを作れたのは大きな前進といっていいでしょう。チャンピオンズリーグ・グループリーグA組、プレミアリーグ王者のマンチェスター・ユナイテッドが、ホームでレアル・ソシエダード・サンセバスチャンを1-0で下し、首位に立ちました

前半開始早々、エヴラの攻め上がりから左サイドでチャンスを得たマンチェスター・ユナイテッドは、ルーニーが中央にドリブルで持ち込み、3人に囲まれながら放ったコントロールシュートは右ポスト!しかしこの跳ね返りを、詰めてきたチチャリートを気にして余裕を失ったレアル・ソシエダDFイニゴ・マルティネスが、自らのゴールに蹴り込んでしまいます。たった2分でリードを奪うことができたマンチェスター・ユナイテッドは、高いテンションを緩めずに試合を運びます。

前半の香川真司は、今までとはまるで別人。守備の意識が高く、前半の走破距離ナンバーワンが示すように運動量豊富で、中盤でのつなぎ役とエヴラやルーニーへのパス出しに徹します。ただし、ゴール前での決定機に絡むシーンはゼロ。チャンスメイクも左サイドを突破してチチャリートにグラウンダーを出した1回のみにとどまり、彼のよさが出ているとは言い難い状態でした。14分にラファエウのセンタリングをルーニーが左足で合わせたシュートがGKに阻まれると、出足よく相手の前線へのパスをカットできていた中盤が後手にまわり始め、徐々にレアル・ソシエダが主導権を握ります。特に不安だったのが、ギグスとバレンシア。彼らが無理に上がった背後を突かれ、右サイドのラファエウは完全に狙われていました。FKがポストを直撃するなど、いくつか同点のピンチがありましたが、何とか事なきを得て勝負は後半に入ります。

後半スタートは、完全なるソシエダペース。右サイドのラファエウが押し込まれ、ここを起点にチャンスを作られて、あわやというシュートを何本か喰らいます。この日のモイーズ監督の決断は早く、59分に右サイドにフタをすべく、スモーリングを投入。これが当たりましたね。この後の30分を、セットプレー以外に大きなピンチなく過ごせたのは、選手交代が効果的だったからに他なりません。

後半、チチャリートが消えていたのは気になりましたが、それを覆って余りある香川真司とルーニーのコンビネーションが、レアル・ソシエダから積極性を奪いました。香川とルーニーの距離が近くなると、中央でのパス交換から右サイドでバレンシアがフリーでもらえるシーンが増え、ゴールまであと一歩というプレイが目立つようになります。惜しかったのは、香川がフリーで打った決定的な2本のシュート。バレンシアのシュートが左ポストを叩き、足元で受けた1本めは慎重な左足インサイドをブロックされ、右からのグラウンダーをフリーでもらったシーンは、いつもならダイレクトで打つところをトラップして詰められ、これもシュートはDFがカット。決めなきゃという気持ちが強すぎたゆえの思いきりのなさで、スコアを動かすことができませんでした。

1-0の緊張感は変わらず、80分を迎えたところでモイーズ監督が切ったカードは、チチャリートout、左サイドにアシュリー・ヤング。久しぶりの「ルーニーワントップ、香川真司トップ下」体制です。やっぱりいいですね、このコンビ。センターサークルからシンプルなパス交換でゴール前まで上がっていってしまう攻撃を観るのは、いつ以来でしょうか。サイドにこだわりすぎて中央がぽっかり空いてしまい、ファン・ペルシやルーニーとセンターMFとの距離が遠すぎてパスがつながらず、堅実コンビのキャリックとフェライニは空いた中央のスペースをうまく使えないので、サイドさえ抑えれば守るのは簡単。これが今季のマンチェスター・ユナイテッドの姿です。ルーニーの後ろのスペースをうまく使い、サイドからも中央からも前線に飛び出す香川がいることで、ギグスやキャリック、エヴラ、ヤングのパスコースが増え、短いながらも非常にエキサイティングな10分間でした。

最後は同点を狙うレアル・ソシエダの攻撃に少しもたつきましたが、この日のCBコンビ、フィル・ジョーンズとエヴァンスは合格点。フリーでシュートを打たせる場面を作らず、「1-0で完勝」です。結局、誰もシュートを決められなかったゲームでしたが、この勝利は確実に次につながります。「スランプのファン・ペルシをいつもフル出場させる」「フェライニは攻め上がりも中盤の底をきっちり守ることもなく、センターMFとしてはつなぐだけの凡庸な選手」「フェライニとキャリックの役割がかぶる」「サイド偏重の攻撃。意外性のないバレンシア、ヤング、ウエルベックを組み合わせると攻めが硬直化」といった課題を解決する糸口が見えた一戦だったと思います。香川真司、ヤヌザイ、ルーニー、ファン・ペルシを同時起用して、中盤をダイヤモンド型にするなどどうでしょう。センターにキャリック、左右のMFにヤヌザイとフェライニ(もしくはクレヴァリー)、トップ下香川真司、とか。サイドの守備が不安でしょうか。それでも攻撃は相当、迫力が出ますよ。賛否両論あるのは承知していますが、ぜひ一度、観てみたいです。

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