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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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左サイドが決壊…ファンフランにやられたチェルシー、攻め手なく無敗のアトレティコ・マドリーに敗退!

後半だけ観れば、アトレティコ・マドリードの強さが目に付き、プレミアリーグとリーガ・エスパニョーラの差、のような話になるかもしれませんが、どちらに転んでもおかしくないゲームだったと思います。チェルシーDF陣の綻びは1点、ファンフランの侵入を抑えられなかったこと。週末のプレミアリーグ、リヴァプール戦でメンバーを落としてまでこの試合に賭けていたモウリーニョ監督とチェルシーは、皮肉なことに、プレミアリーグでは首の皮1枚でつながり、チャンピオンズリーグのほうを落とす結果となりました。2014年4月30日スタンフォード・ブリッジ、チェルシー、1-3敗戦。

チェルシーのスタメンにサプライズ。SBにイヴァノヴィッチ、アシュリー・コールを配しながら、右サイドにアスピリクエタを入れ、ウィリアン、復帰のアザールと並べるという布陣です。モウリーニョ監督は、アドリアン・ロペスやアルダ・トゥランらの左からのアタックを警戒しているのでしょうか。この起用が象徴するように、立ち上がりから、両者とも自分たちが攻めることより、相手を自由にさせないことを優先します。5分にMFコケのクロスがバーに当たるシーンはありましたが、どちらかがゴールを奪うと思えないほどの静かで堅いゲーム。最初のチャンスはチェルシー、15分のウィリアンの直接FK。ダヴィド・ルイスが蹴ってもおもしろい、ペナルティエリアすぐ外からのキックでしたが、ドライブがかかったシュートはわずかに上。この後も、セーフティファーストで中盤でせめぎ合う時間が続きます。

22分には、ロングスローを受けたダヴィド・ルイスが自らボールを浮かしてオーバーヘッド。おもしろいアイデアでしたが、これもゴール左に外れます。30分を過ぎてもこれといった決定機はなく、誰かが作ったかのような互角の展開。アトレティコ・マドリードは、無理につながず劣勢のボールはすべて大きくクリア。きついプレスを受けるとあっさり後ろに戻します。先にミスをしたほうがゴールを奪われるだろうとみていると、先制したのはチェルシーでした。36分、ウィリアンが右サイドで2人に囲まれながら粘り、一瞬のスキをついてボールをゴールライン際に出すと、近くにいたアスピリクエタがこれをさらってグラウンダーのクロス。F.トーレスのシュートはDFに当たって角度が変わり、GKクルトワは何もできません。本拠地スタンフォード・ブリッジで無類の強さを誇るプレミアリーグ代表がリード!ここまでは、ホームのサポーターは、わがクラブの決勝進出を信じて疑わなかったでしょう。

しかし44分、アトレティコ・マドリードの「もうひとりのトーレス」が、ここまで完璧だったチェルシーのDFラインを完全に崩します。左からのロングクロスに、アシュリー・コールを振り切ってフリーでボールを受けたのは、右のチャンスメーカー、ファンフラン・トーレス。彼のゴールラインへの侵入に、チェルシーCBが一瞬止まってしまい、逆サイドにいたノーマークのアドリアン・ロペスが折り返しを簡単に流し込みます。前半終了間際の痛い同点ゴール。ファーストレグを0-0と有利に折り返していたチェルシーでしたが、アウェイゴールを奪われたため、勝ち抜けにはもう1点必要となります。

後半に入って47分、右クロスがファーサイドに流れ、フリーになっていたアルダ・トゥランが至近距離から強烈なシュート。これはGKシュウォーツァーが手にあて、事なきをえます。53分には、ウィリアンのFKにテリーが飛び込むものの、チェルシーからレンタルで移籍しているGKクルトワが、古巣いじめのビッグセーブ!両者にチャンスはありながら、優位に立っているのは、ショートパスをつなぐ攻撃が機能し始めたアトレティコ・マドリードでしょう。55分、モウリーニョ監督は、明らかに守備に不安があるアシュリー・コールを下げ、エトーを投入。この交代自体は適切な判断だと思いましたが、結果的にはこれが仇となってしまいます。勝負の分かれ目は59分。自陣に戻って守っていたエトーがアトレティコ・マドリードのエース、ジエゴ・コスタをペナルティエリアで引っ掛けてしまい、ジャッジはPK!

エトーのチャージは、ベテランらしからぬ軽いプレイでした。本職のDFなら、あの不利な体制では絶対にいかないでしょう。頭を抱えて悔いる背番号29。スポットになかなかうまく置けずにイエローカードまで取られたキッカーのジエゴ・コスタは、しかしシュートは冷静です。GKシュウォーツァーの逆をつく左上、アトレティコ・マドリード、ついに逆転!

2点が必要になったチェルシー。彼らの最大の弱点は、リードされて引かれると、崩しのアイデアが少ないところです。ましてやこの日は、ミドルシュートのスペシャリスト、フランク・ランパードを欠いています。それでも64分には、またもウィリアンのFKから、ダヴィド・ルイスがドンピシャのヘッド。同点かと思われた会心の一発は、無常にもポストに当たり、跳ね返りをクルトワが反応よく外に掻き出してスコアは変わらず。試合を決めるアウェイチームの3点めが入ったのは、その直後でした。

アシュリー・コールの交代で、左SBに入っていた「今や本職」のアスピリクエタも、ファンフランにやられます。完全にサイドを突破されると、チェルシーCBはまたもフリーズ。ヘディングシュートをポストにぶつけられ、ルーズボールも先にアトレティコ・マドリードに触られます。無人のゴールに押し込んだのは、アルダ・トゥラン。絶望的な差がついたチェルシーには、アザールのドリブル以外に打ち手はなく、もはやシュートすら打てません。93分、DF3人をかわしてGKと1対1になったアザールのシュートを足でストップしたのは、やはりクルトワ。勝負の幕を下ろしたのが、チェルシーと契約している若手GKというのも、皮肉な結末です。2試合トータル、1-3。準決勝の勝率が極端に悪い「ミスターベスト4」モウリーニョ監督の4月敗退は、これで4季連続。ここまでくると、もはやヨーロッパの春の風物詩、恒例行事です。

冒頭にも書きましたが、どちらが勝ってもおかしくなかったゲーム。プレミアリーグ上位対決では、ことごとく勝負の綾を制してきたモウリーニョ監督でしたが、ここぞという試合で、同じ戦略家のシメオネ監督に持っていかれました。結果論ですが、駒不足ならなおのこと、アスピリクエタは素直にSBスタート、シュールレ起用でよかったのではないかと思いました。ベンチのオフェンシブな選手がデンバ・バ、エトー、オスカルだけになるのが嫌だったのでしょうか…。

残念な結果ですが、いい試合でした。プレミアリーグ唯一の勝ち残りとして、ここまで盛り上げてきてくれたチェルシーと、今季チャンピオンズリーグで無敗のアトレティコ・マドリードの強さに拍手を送りたいと思います。決勝は、マドリードダービーです!

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“左サイドが決壊…ファンフランにやられたチェルシー、攻め手なく無敗のアトレティコ・マドリーに敗退!” への4件のフィードバック

  1. チェルシー より:

    更新お疲れさまです

    悔しいですが完敗です
    攻守ともに完成度の違いを見せつけられましたね

    無冠濃厚となりましたがPL優勝争い&CLベスト4なら悪くはないシーズンですかね
    モウリーニョ体制も一年目ですしこれからの成長に期待です

    シーズンも終盤ですし残りの試合とW杯を楽しみましょう!

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    チェルシーさん>
    アトレティコ・マドリード、さすがでしたね。「残りの試合とワールドカップを楽しむ」ことに関しては、私のほうが先輩ですね。まずは「こちらの世界へようこそ」といっておきましょう(笑)

  3. パック より:

    先制までは完全にチェルシーの狙い通りだったんですがね。
    堅守速攻が持ち味の両チームですが攻撃面でのクオリティには差があったかなと。
    怪我からの復帰組がいまいちだったのもチェルシーとしては痛かったですね。

    決勝はマドリッドダービー。
    リーガではアトレティコの1勝1分ですが国王杯ではマドリーが完勝してますからね。
    今から非常に楽しみです。

  4. makoto より:

    パックさん>
    好きなわけではありませんが、私はレアル・マドリード予想ですので、そちらを応援してしまうことになります。チェルシーがいってれば、何も気にせず青派だったのですが。

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