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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ヨーロッパリーグ決勝は、残り1分で大逆転のセビージャと2年連続ファイナル進出のベンフィカ!

プレミアリーグ勢が勝ち残っておらず、イングランドから見れば「大陸のみなさんが勝手にやっている大会」となってしまったヨーロッパリーグ。日本でも人気が高いユヴェントスとベンフィカの一戦はともかく「バレンシアVSセビージャ」などといわれても、リーガ・エスパニョーラの大ファンでもない限り、朝4時に起きてTVにかじりつこうとは思わないでしょう。私も、狙って観たわけでなく、プレミアリーグやらチャンピオンズリーグやらで連日の早朝シフトが習慣化していただけだったのですが…。いや、これが凄い試合でした、スペイン対決。

ヨーロッパリーグ準決勝、初戦はセビージャが2-0で文句なしの完勝。私は、セカンドレグの結果を予想した「チャンピオンズリーグ&ヨーロッパリーグ準決勝プレビュー」という記事(読み返したら、CL・ELとも決勝のカードを当ててますね)で、「明らかに地力に差があり、セビージャが勝つ」としていたのですが、事はそんなに簡単ではありませんでした。開始早々から、写真のバレンシアMFフェグリがキレキレで、14分には右からスルーパスで抜け出し、切り返しでDFをかわすと左足一閃、先制ゴール。26分にも、左からのベルナトのクロスをヘッドで叩き込み(バーに当たったボールがGKに触れて入ったので記録はオウンゴール)、トータルスコアはイーブンです。ここまで、セビージャは打つ手なし。

後半に入っても互角のまま進んだ試合は、69分のCKで均衡が崩れます。ゴール左にいたマテューの足元にボールがこぼれ、背番号22はこれを思いっきり蹴るだけ。バレンシアがホームで3-0とし、私が「地力に差がある」と推していたセビージャが、敗退のピンチです。…いや、しかし、サッカーがおもしろいのは、ここからですね。前半に、バッカの超絶ヒールパスでフリーになったレジェスがGKにぶち当てたシーンしか、これといったチャンスがなかったセビージャが、3-0とされると別のチームのように巻き返してきます。やはり、サッカーはメンタルのスポーツ。この形勢の変化は、セビージャが発奮したというより、「バレンシアが守りに入った」面が大きいと思われます。

とはいえ、セビージャの攻撃は単発で、さほど迫力なし。90分が過ぎ、5分あった追加タイムも残り1分半を切ります。誰もが地元クラブの勝利を疑わず、バレンシアのホームグラウンド、メスタージャはお祭り騒ぎ。94分、スローインを得たセビージャ。近くにいる選手に渡そうとしたラキティッチに、エメリ監督が大声でロングスローを指示します。ふわりとゴール前に浮いたボールをファツィオが頭で流すと、そこに飛び込んだのはMFムビア、渾身のヘディングシュート!

あまりに残酷な映像でした。「スタジアムが泣いている」という形容がぴったりです。土壇場で追いつかれたバレンシアは、トータルスコア3-3ながらも、最後の最後に許したアウェイゴールでファイナリストの夢を断たれました。選手はピッチに崩れ落ち、号泣するサポーター。悲しみに耐えようとする人たちの目も、バレンシアオレンジのようなピンク色で、涙があふれるのを止められません。私にとっては他人事ですが、こういう光景は観続けていると胸が痛くなってきますね。チャンピオンズリーグ、スタンフォード・ブリッジに観たパリのサポーターの悲しみも印象的でしたが、ここでもまた、サッカーのおもしろさと残酷さを深く感じる劇的なシーンが展開されました。決勝に進んだのは、2005年から2007年にかけて、ヨーロッパリーグを連覇しているセビージャです。

一方のユヴェントスVSベンフィカは、勝てば決勝を本拠地ユヴェントス・スタジアムで戦えるホームチームが、ベンフィカの攻撃をシュート2本に抑えながらもゴールを奪えず、スコアレスドロー。ファーストレグを2-1で制していたベンフィカが逃げ切り、2季連続のファイナル進出を決めました。昨季はSBイヴァノヴィッチに追加タイムで決勝ゴールを許し、チェルシーに敗れたベンフィカですが、今季の相手も侮れません。

それにしても、ヨーロッパリーグにおけるイベリア半島勢の強さはハンパじゃないですね。セビージャ、バレンシア、アトレティコ・マドリード、FCポルトの4チームで、ここ11回のうち7回を勝っています。特に目立っているのが、リーガ・エスパニョーラの中堅クラブの強さ。ブンデスリーガやプレミアリーグは、トップクラブは欧州で戦えても、5番手以下をスペインと比べると大きく力が落ちるのでしょうね。今季はチャンピオンズリーグもマドリードダービーとなったため、まさに「スペインの年」です。

それぞれ決勝は楽しみですが、来季こそはプレミアリーグ勢をファイナルで観たいものです。ぜひ、がんばってくださいね。どちらかといえば、「お金がたっぷりある青」の2チームより、「お金をさほど使わない赤」の2つを応援しています。(ソフィアン・フェグリ 写真著作者/Victor Guttiérez Navarro)

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