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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

攻撃、守備、中央、サイド…何が足りない!? プレミアリーグ勢の欧州戦線を振り返る

昨日、唯一の希望であったチェルシーが敗れ、今季のプレミアリーグ勢の欧州チャレンジが終わりを告げました。ひと頃は、ベスト4に2チーム残っているのが当たり前。2007-08シーズンにはマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーがモスクワでファイナルを戦うなど、わが世の春を謳歌していたプレミアリーグのクラブは、ここ5年は完全に劣勢。2011-12シーズンに専守防衛のチェルシーが番狂わせを演じ、ビッグイヤーのトロフィーを獲得していますが、めぼしい成果はこれぐらいです。スペイン、ドイツのトップクラブと当たると、まず間違いなく自陣にこもることを強いられ、悔しいことに「チェルシー以外は戦えていない状態」なのです。

まずは、簡単に今季を振り返りましょう。昨季までは、マンチェスター・シティの2季連続をはじめ、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドなど、グループリーグで終わってしまうクラブが続出していたプレミアリーグ勢でしたが、2013-14シーズンは無事に4チームとも通過。しかし決勝トーナメントでは、マンチェスター・シティとアーセナルがそれぞれ1勝もできずにバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンに1回戦負け。オリンピアコスに大苦戦の末勝ったマンチェスター・ユナイテッドも、バイエルン・ミュンヘンに本拠地オールド・トラフォードで勝てず、ベスト8敗退でした。悲しかったのは、ファーストレグのドローにマンチェスターのファンが湧いたことですね。負けなかったことが嬉しいという状況自体が、今の彼我の差を表しているように思います。

さて、ここからが本題。「プレミアリーグ勢には何が足りなかったのか」。今季は、アトレティコ・マドリードに敗れたチェルシー以外は、現世界王者と元世界王者に負けているので、「だって相手が強かったんだもん」ということになるのですが、ではその強さとは何か。逆にいえば、どんなところを強化すれば、プレミアリーグの復活なるのか。バイエルン・ミュンヘン、バルセロナ、レアル・マドリードに、せめてホームでは勝てるぐらいの足場を創れないと、この先数年が真っ暗になります。個別の要素はさまざまあるのですが、この問いに対して私が着目したのは「中盤の守り方」「サイドでの優位構築」の2点です。

モドリッチとシャビ・アロンソ、ハビ・マルティネスとシュバインシュタイガー、シャビとブスケツ。チャンピオンズリーグでベスト4を狙えるクラブは、ボールを奪う戦略が明確であり、センターMFがコンセプトを体現する存在になっています。敵陣でボールを奪おうとするバルセロナやバイエルン・ミュンヘンは、前線やサイドの選手と連携して相手を囲い込み、コースを切って奪い取ります。彼らがワントップや、ゼロトップに近い3枚のFWにしているのは、「前線に張り続けるトップを2人置くとボールを奪う選手が足りず、前で獲れないから」でしょう。

一方、カウンターに徹したときのレアル・マドリードは、ペナルティエリアの前のスペースを確実に埋めてきます。そのうえで、トップとその下の選手がコースを限定できれば、ヨミの早さでインターセプトし、そこから速攻。モドリッチもシャビ・アロンソも対人プレーに強く、的確なロングフィードができる選手。まさに「このサッカーにしてこの人材あり」ですね。

プレミアリーグのクラブで、守備戦略が明確で適材適所ができているのはチェルシーぐらいでしょう。マンチェスター・シティのヤヤ・トゥレは、当たりは強いものの守備にはムラがあり、アーセナルは獲るポイントが不明確。マンチェスター・ユナイテッドは中盤と最終ラインの間が空きすぎで、時折このスペースを狙われ、プレミアリーグ中堅以下のチームにもミドル一発でやられたりしていました。リヴァプールが来季欧州で勝つためには、いま一度、守り方とそのための人材の整備を図らないと、アンフィールドでスペイン、ドイツのクラブにアウェイゴールを大盤振る舞いする結果になりかねません。

そしてもうひとつは、サイドでの優位構築です。今季のチャンピオンズリーグでは、チェルシーはファンフランにアザールやアシュリー・コールがかわされ、マンチェスター・シティはダニエウ・アウベスを自由にさせ過ぎ、アーセナルはギブス負傷後のモンレアルのサイドをラフィーニャとロッベンにボコボコにされるなど、弱いサイドを確実に崩されて失点していました。一方、マンチェスター・シティのヘスス・ナバス、サバレタ、コンパニが揃った右は堅く、アーセナルもサニャとラムジー、チャンバレンなら安定。チェルシーも、アザールがしっかり走れるときは問題ありません。プレミアリーグ勢に時折みられる「サイドで守備をおろそかにしてしまい、相手にイニシアティブを取られる」ところを強化しないと、ロッベン、リベリー、イニエスタ、クリスティアーノ・ロナウドと優秀なSBたちの連携で崩され、対応に追われるCBがゴールエリアまで下がり続けることになるでしょう。

現状から、欧州の頂点への距離を考えれば、勝利に近いのはチェルシーとリヴァプールだと思います。マンチェスター・シティは「世界一、選手のサラリーが高いクラブ」で、旬のトップクラスに高額の給料を払っているため、レギュラー選手の伸びしろが小さく、若手が育ちにくいと思われます。ウィークポイントであるCBとGKを補強すれば今季より強くなりそうですが、「主軸を少しでも欠くと、必要以上にクオリティが下がる」状態は改善しないのではないでしょうか。もしこれを何とかしたければ、短期的にはFFP違反を続けるほかに手はありません。

マンチェスター・ユナイテッドは課題となるポイントが多く、時間がかかりそう。アーセナルは、ヴェンゲル監督がどこまで改革を志向するか、ですね。今の延長線上には、チャンピオンズリーグのベスト8はあっても、ビッグイヤーはないのではないかと思います。頭のいい監督なので、変化を求めさえすれば、さらにチームを強くすることは可能だと思うのですが…。

チェルシーには、バイタルエリアを支配できる強力なセカンドトップと点取り屋。モウリーニョ監督が、昨夏ルーニーを狙っていたのは納得です。そしてリヴァプールは、ジェラードとルーカスですらオプションに追いやれるような万能型のセンターMFと、トップ下のオプション。さらに欲をいえば、シュクルテルの相棒として、確動性が高くて統率力があるタイプのCBまで揃えば、欧州の頂点に近づけますね。プレミアリーグ勢の巻き返し、さしあたっては夏のチームづくりに、引き続き注目していきたいと思います。

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“攻撃、守備、中央、サイド…何が足りない!? プレミアリーグ勢の欧州戦線を振り返る” への7件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    毎回とても勉強になります。
    リバプールは、最近報道を賑わしているララナが取れればトップ下問題は解決。チェルシーは、噂のコスタが取れれば点取り屋問題が解決しますね。あとは、アーセナルとユナイテッドがどこまでテコ入れしてくるのか?
    まだまだシーズンがおわってませんが、楽しみですね。

  2. アーセナル より:

    うちは対人の強いMFがまず欲しいですね(グスタボが欲しかった
    後は決定力のあるFWもですね
    何よりけが人の多さをせめて今の3分の1くらいに減らさないと永遠にトップレベル
    には届かないでしょうね・・・

  3. 本城 より:

    チェルシーファンの私ですが
    ①得点力のあるストライカーとしてコスタ
    ②攻撃的な左SBとしてルークショー
    ③オフェンスのオプションとしてプレースキックの精度も高いチャルハノール
    ④クルトワ、ズマ、チャロバ、ルカク等のレンタル組の復帰
    ⑤下部組織からの引き上げ
    以上の5点が実現すると嬉しいです(^ ^)

  4. Uボマー より:

    プレミアは日程も厳しいですよね。
    リーガのチームが強いのは下位チームが上位チーム(特にレアルマドリーとバルセロナ)対策をしっかり練ってくるからというのもあるかもしれません。プレミアは下位チームに個性があって面白いのですが、上位チーム対策は練りきれてない感はあります。
    あとマンチェスターユナイテッドはゴタゴタしすぎ。とりあえずチームを落ち着かせる監督を置いてほしい。

  5. makoto より:

    リバサポさん アーセナルさん>
    確かに、アーセナルとマンチェスター・ユナイテッドは、いろいろ気になるところがあるので「どこまでやるか」ですね。アーセナルにはベンゼマという話もあり、加えて、サニャの後釜問題と、中盤の整理ができればそれなりにいけそうです。個人的には「ソングの出戻り」がおすすめですね。

  6. makoto より:

    本城さん>
    勘弁してください。それをすべてやられたら、背中がみえなくなってしまいます(笑)

  7. makoto より:

    Uボマーさん>
    ファン・ハール就任5日に発表、という報道がありましたね。バイエルン時代の舎弟的な選手を何人か連れてくるのでしょうか。ミュラー、クロースあたり。

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