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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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恍惚の90分、残酷な10分、あと一歩だったシメオネ軍団…レアル・マドリード、ついにデシマ達成!

90分を過ぎても0-1、アトレティコ・マドリードがリード。5分という長めの追加タイムが何事もなく過ぎれば、ガレス・ベイルの3度の逸機と、中途半端な飛び出しで痛恨の失点を許したカシージャスのミスが咎められ、シメオネのチームの運動量と堅い守りが称賛されるところでした。

しかし93分、モドリッチのCKを決めたのは、直近5試合で4ゴールを決めていたセルヒオ・ラモス!セットプレイからの失点の原因は、すべからく「DFが先に触れなかった」「マークを外してしまった」ということになるわけですが、ここはゴール左隅に有無をいわせぬヘディングを叩きつけたセルヒオ・ラモスをほめるべきでしょう。この瞬間、リスボンで行われたチャンピオンズリーグ決勝は、レアル・マドリードのものとなりました。70分を過ぎて完全に燃料切れに陥り、レアル・マドリードのサイドからの突破を一方的に受け続けていたアトレティコ・マドリードには、もはや劣勢をはね返す力は残っておりません。延長戦の彼らが相手なら、プレミアリーグの下位クラブでもゲームを支配できていたでしょう。

延長に入ると、それでも最初の15分を耐え抜いたアトレティコ・マドリード。1年間、90分を世界一の運動量で走り抜くサッカーを繰り返してきた彼らの辞書に、100数分という数字はありません。延長のハーフタイムにシメオネ監督がベンチを飛び出し、レフェリーに訴えていたその中身は「少し休ませてくれ」という悲しい懇願だったのかもしれません。後半に入ると、「いつそのときが来るのか」を待っていただけのシーンが、ついに110分に訪れます。左からのディ・マリアのドリブルに3人が抜かれ、GKと1対1から強烈な左足シュート。GKクルトワの必死の左足ブロックで浮いたボールに反応したのは、90分までは戦犯リストのトップに名を記されていたガレス・ベイル!右からのヘディングがゴールに吸い込まれた瞬間、100億円を超える移籍金の元をとったと確信したであろうペレス会長をはじめ、レアル・マドリードサポーターが狂喜します。2-1、レアル・マドリード、ついにリード。

ここからの10分は残酷でした。まったく走れなくなったアトレティコ・マドリードは、60分にピッチに入ってスタミナ充分のマルセロのドリブルを止められないどころか、追いかけることすらできません。マルセロの強烈なシュートは、クルトワのセーブ及ばず、左手の下を抜けてゴールに突き刺さります。最後にクリスティアーノ・ロナウドをペナルティエリアで引っかけたシーンも、普段の彼らならまず犯さないミスです。クリスティアーノ・ロナウドは、PKを止める理由を失ったクルトワの逆にあっさり決め、4-1でタイムアップ。レアル・マドリードが、モウリーニョ政権下で達成できなかったデシマ(チャンピオンズリーグ10回めの優勝)達成です!

この試合は、間違いなくアトレティコ・マドリードのゲーム、シメオネのシナリオでした。しかし、策士シメオネは、ひとつだけ大きなミスを犯しています。大黒柱ジエゴ・コスタの強行出場、たった9分のあっけないリタイア。この1枚を、土壇場の守備固めと時間稼ぎに使えていればと考えると、「わかっていたはずの裏目」の代償は、準優勝監督の想定よりも相当高くついたのではないかと思われます。一方、リーガ・エスパニョーラ同様、終盤に相手が息切れすることを読み、残り30分になってから個人力で打開できるマルセロとイスコをピッチに送り出したアンチェロッティ監督の采配は見事。セルヒオ・ラモスの一発がなければ、評価は真逆に転がっていたのは重々承知ながら、カードの出しどころを間違えなかったベテランのイタリア人監督が、勝負師になりきれずにエースと無理心中してしまった若い指揮官を僅差で上回ったゲームでした。

2013-14シーズン、欧州最後の試合が終わりました。最後に、ひとつだけ。「チャンピオンズリーグ優勝クラブ大予想!」、2季連続で当たりました!これはこれでうれしかったのですが、シメオネ監督に有終の美を飾ってほしかった気持ちもあり、複雑です。プレミアリーグのリヴァプール、チャンピオンズリーグのアトレティコ・マドリードのどちらかが勝っていれば、すっきり終われたのですが…。

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“恍惚の90分、残酷な10分、あと一歩だったシメオネ軍団…レアル・マドリード、ついにデシマ達成!” への3件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    クルトワが3点目のセーブを足でするべきでした。少し判断ミスったかなぁと。
    しかし、レアル強かったですね。とくに、人外的なパスを出し続けたモドリッチと、いつのまにかなんでもできるセンターハーフとなったディマリアは圧巻でした。どちらのチームも速い、強い、上手いを兼ね揃えたチームだったので、とても楽しめました。

  2. チェルシー より:

    更新お疲れさまです

    緊張感が高くて面白い試合でしたね
    デシマを達成したレアルも準優勝のアトレティコも互いに素晴らしかったです
    近いうちにプレミア勢同士の決勝が見れる日が来るといいですね

    後半終了間際のラモスのゴールに二年前のドログバを思い浮かべたのは僕だけではないはず…(笑)

  3. makoto より:

    チェルシーさん リバサポさん>
    いい試合でした!セルヒオ・ラモスのシュートは、打ったほうをほめるべきですね。シメオネさんがもう1枚交代カードを持っていれば、90分でたためたのにと思うと、やはり残念です。確かに、ドログバを思い出しますね。

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