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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ラスト5分からの大逆転!アグエロ執念のハットトリックで、マンチェスター・シティが残った!

チャンピオンズリーグもいよいよ大詰め。明暗分かれるプレミアリーグ勢のなかで、いちばん厳しいのはマンチェスター・シティ。ここまで4戦未勝利で、既に自力突破の可能性はなくなっています。本日のバイエルン・ミュンヘン戦に勝てば、最終戦のローマとのアウェイは、勝利もしくは得点を獲ってのドローで可能性あり。ドローなら、ローマ戦の勝利が必須条件。負けた場合は、CSKAモスクワを直接対決のスコアで上回れずに敗退決定です。いずれにしても、CSKAモスクワが最終戦でバイエルンに勝ったら終わりですが、勝ち点さえ奪えれば、最終決戦に残れる状況。ルドゴレツに1-0で負けたら、その瞬間敗退が決まるリヴァプールともども今節は必勝です。得るもの・失うものが大きい試合ほど、盛り上がるのがスポーツの常。グループステージ突破がほぼ決まっているロンドン勢より、北の2チームが気になります。

両SBにサニャとクリシー、セントラルMFにランパードとフェルナンド。一見守備的なチョイスのマンチェスター・シティですが、ベンチをみると、攻撃的な選手で使えそうなのはヨヴェティッチのみ。何のことはない、前節でヤヤ・トゥレとフェルナンジーニョがレッドをもらった彼らには、このメンバーしかないのです。ペジェグリーニ監督としては、先にゴールを奪って、アタッカーの投入を必要としない展開に持ち込みたいところ。開始早々、ヘスス・ナバスからのパスを受けたナスリがミドルを放つなど、積極的な姿勢を見せていたマン・シティでしたが、10分もしないうちにバイエルンに中盤を支配されます。

序盤は3対7という支配率ながら、トマス・ミュラー、シュバイニー、ラームがいないバイエルン・ミュンヘンの攻撃にいつもの連動性がありません。彼らのチャンスは、ロッベンらが時折放つミドルシュートのみ。最終ラインの裏を狙うボールはコンパニとマンガラがしっかりケアしており、バイエルンのサッカーは単調です。すると19分、マンチェスター・シティの久しぶりのカウンターで、ゲームは大きく動きました。縦パス1本で完全に抜け出したアグエロを、ベナティアが後ろからつぶしてしまい、非情のジャッジは1発レッド&PK!名手ノイアーも、冷静なアグエロにゴール右隅に強く蹴られてはノーチャンスです。マンチェスター・シティに、どうしてもほしかった先制点が入りました。

25分という早い時間に、中盤のロデを下げてCBダンテの投入を余儀なくされたバイエルンは、その後もマンチェスター・シティのカウンターに苦しみます。33分にはヘスス・ナバス、ナスリ、ミルナーが絡んでバイエルンのファールを誘うと、ここからの展開でランパードがきわどいロングシュート。2点めを奪うのはプレミアリーグ王者だろうという展開のなか、しかし37分に10人のバイエルンが追いつきます。マンガラがレヴァンドフスキを引っかけて、中央からのFK。シャビ・アロンソのグラウンダーのシュートは、ゴール右隅に一直線。壁が悪かったとしかいいようがないあっけないゴールで1-1とされ、マンチェスター・シティは浮足立ってしまいました。

前半はせめて同点のまま終わりたいところでしたが、マン・シティの最終ラインは、それまで完全に抑えていたレヴェンドフスキにイーブンの態勢で勝負するチャンスを与えてしまいます。右サイドからのロングクロス一発、コンパニはかぶり、サニャのマークは及ばず。レヴァンドフスキのヘッドは、GKハートの左手の先を抜けてきっちり右隅に決まりました。1-2、アウェイで10人のバイエルン、逆転!

ハーフタイム。ドイツで戦うモウリーニョ監督は、シャルケに0-3のリードでクルージングの準備。ペジェグリーニ監督は、自らのクビさえ危ない絶体絶命の状態です。後半、リスクをとってゴールを奪いにいかなければならないホームチームは、46分に4対2の形を創られ、シャビ・アロンソにフリーのシュートを許します。同点か、惨敗か。攻めるマン・シティ。49分、ナスリのスルーパスに抜けたヘスス・ナバスがニアに強烈なシュート。51分には、ペナルティエリア左手前でナスリとスイッチしたミルナーが、カーブをかけたシュートでゴール右上を狙います。

後半のバイエルンは、安全運転。モウリーニョ監督のいう「試合を殺す」モードで、3点めを無理に狙わず、相手にスペースを与えないことと、ボールを動かすことに徹しています。ぺジェグリーニ監督は、ミルナーをヨヴェティッチ、サニャをサバレタ。これしかないという攻めのカード2枚を使い切った直後の69分、アグエロの落としを受けたランパードが強烈なミドル!いいシュートでしたが、ノイアーに上に弾かれ、ゴールならず。敗色濃厚のマンチェスター・シティ。バイエルン守備陣に綻びはなく、残り時間は5分少々しかありません。

まさかここから、あの感動的なシーンが観られるとは思いませんでした。シャビ・アロンソが犯した、たったひとつのパスミス。84分、DFへのバックパスをヨヴェティッチが足を伸ばしてインターセプトすると、これを拾ったアグエロ、独走。ノイアーの位置をみてクロスに流し込んだ左足は完璧でした。ついに2-2、マンチェスター・シティはグループステージ敗退の地獄から抜け出しました。ゲームは追加タイム。ドローで終わる空気が流れていたエティハド。しかし91分、バイエルンが2度めのミス。マン・シティにとっては2度めの奇跡が起こります。サバレタが苦し紛れに放り込んだロングキックをヨヴェティッチがヘッドでそらすと、これをクリアしようとしたボアテングが、詰めてきたアグエロに当ててしまいます。速い、アグエロ。あっという間の1対1。プレミアリーグ得点王がノイアーの脇を破った瞬間、マンチェスター・シティの勝利は決定的となりました。

試合が終わる30秒ほど前、感動的な光景を目にして、私は思わず涙ぐんでしまいました。デミチェリスとの交代を告げられ、ベンチに向かうアグエロ。サポーターに大きく手を挙げ、ピッチを去ろうとするエースを、エティハドの青いサポーターたちは満場一致のスタンディングオベーションで称えます。そこにあったのは、爆発的な歓喜ではなく、厳かという言葉がぴったりのプレミアリーグらしい空気でした。立ったまま、無言でただただ拍手をする彼らが示したのは、ハットトリックを決めたヒーローへの最大の敬意。アグエロの姿が消えるまで、拍手は鳴りやみません。自分がプレミアリーグを愛する理由を、またひとつ実感した気がしました。

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“ラスト5分からの大逆転!アグエロ執念のハットトリックで、マンチェスター・シティが残った!” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    最後まで何が起きるか本当にわかりませんね。
    バイエルンは前半の退場が響きましたが、それよりもアグエロの執念は素晴らしいですね。愛する選手を惜しみない拍手で送り出すのはイングランドフットボールの素晴らしい部分だと思います。最終戦まで分かりませんが、プレミア勢には決勝トーナメントに4チーム行って欲しいです!

  2. makoto より:

    アグエロ凄い。ホントに凄いですね。
    相手がノイアーでもお構いなしに点獲りますね。
    優勝した時の決勝ゴールもそうですが、真のエースというのはここぞという時にホントに決めてくれるもんですねぇ。

    レッズのストライカーだと多分止められてたんだろうなぁー・・・(TдT)

    これからも永くプレミアに在籍してもらって、あわよくば何か間違いが起きてレッズに・・ゴホッゴホッ

    —–
    Mackiさん ご さん>
    ホントに素晴らしかったです。3本しかシュートを打っていないのに、すべて決めましたね。とにかく冷静でした。

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