エヴァートンらしさ爆発の逆転勝利!一発で世界を変えたロメウ・ルカクの強引3人抜き!
雨のグディソン・パーク。GKティム・ハワードと絶対的エースのルカクを筆頭に、ジャギエルカ、コールマン、ロス・バークリー、ミララス、ネイスミスなど、おなじみのメンバーが揃うエヴァートン。気がかりは、レイトン・ベインズがいない左サイドです。試合開始から、サイドを制圧してゴール前に危険なクロスを再三上げてくるキエフ。エヴァートンはパスの本数は多いものの、縦に効果的なパスが入らず、ゴールを陥れる予感はありません。攻めを催促するトフィーズサポーター。クロスへの対応が混乱した前半14分、DFラインを落ち着かせられないまま、ヤルモレンコがニアに入れたCKにロス・バークリーが出遅れ、グセフに合わせられて先制点を奪われてしまいます。
プレミアリーグ14位と低迷中のロベルト・マルティネス監督にとっては、この大会で勝つほかに来季の欧州へのルートはありません。楔のルカクに密着マークがつけられ、20分を過ぎてもエヴァートンの攻撃はつながりません。24分、ようやくガバットからおもしろいクロスが入り、27分にはルカクがDFを弾き飛ばして左サイドを突進。グラウンダーのクロスはクリアされるものの、プレミアリーグのクラブらしい直線的な攻撃に静かだったグディソン・パークにも歓声が湧き始めます。
30分、ヤルモレンコが得意ではない右足で上げたクロスは完璧。エンボカニの強烈なヘッドはジャギエルカが体に当てて難を逃れますが、ホームで2点差をつけられた瞬間、エヴァートンには突破の可能性がほとんどなくなるでしょう。32分、シドルチェクのミドルはハワードが体を伸ばしてセーブ。直後にキエフGKショフコフスキーがペナルティエリアを飛び出してキックミスをしてしまい、拾ったルカクが無人のゴールを狙うものの、シュートは左に外れていきます。
37分のルカクの直接FKはショフコフスキーが左手で上に弾き、このCKから放ったジャギエルカのヘッドはゴールライン上でDFがクリア。エヴァートンに勢いがついてきました。すると39分、ついに同点ゴールが決まります。いや、凄かったルカク。体をぶつけながら3人を抜き去ったプレイは重戦車という表現がぴったり。倒れながらラストパスを裏に通すと、ネイスミスがフリーです。落ち着いたシュートがGKの脇を抜け、1-1。ここから笛が鳴るまでの5分間、エヴァートンは猛攻を仕掛けます。43分、ハーフライン付近のインターセプトからショートカウンター。左のルカクが逆サイドに通したパスに、ミララスがGKをかわして中に折り返しますが、これはDFがブロック。前半のうちに逆転したかったエヴァートンですが、後半もこのサッカーができれば追加点は奪えるでしょう。ホームで1点を失った以上、2点差をつけて厳しいウクライナ遠征に臨みたいものです。
48分、CKに合わせたネイスミスのヘッドは当たりが薄く、左へ流れます。後半もエヴァートンのペースは落ちません。53分、ガーバットの直接FKはGKが弾き、CKからネイスミスがそらしたボールはルカクがシュートに持ち込めません。早く勝ち越し点がほしいエヴァートン。65分、クロスに反応してDFの上から叩いたコネのヘッドはGKの正面。キエフの攻撃は、ヤルモレンコのミドルなど単発で、試合開始当初の怖さはありません。71分、左からドリブルで仕掛けてニアを狙ったルカクの左足はGKがキャッチ。73分、ロベルト・マルティネス監督は力を出し切れていないロス・バークリーをレオン・オスマンにスイッチします。雨が激しくなったグディソン・パーク。エヴァートンは、1-1で敵地に乗り込むわけにはいきません。
80分、左に出たギャレス・バリーの速いグラウンダーはわずかにコネが触れず。右SBコールマンもサイドからダッシュを繰り返し、再三クロスを中に入れます。エヴァートンの執念が実ったのは、82分。ペナルティエリアに右から入ったレオン・オスマンのクロスがダニーロ・シウバの手に当たり、PK!決めたのはもちろん、ロメウ・ルカク。攻め続けたエヴァートンがようやく勝ち越しました。まだ10分はあるでしょう。もう1点ほしい。ルカクのマークは3人がかりです。87分、右サイドでルカクが持つと、キエフは誰もボールに触れず、素晴らしいクロスに飛び込んだネイスミスは頭に当てながらも枠を押さえられません。惜しかった!エヴァートン。結局、ゲームは2-1でフィニッシュ。チャンピオンズリーグのプレミアリーグ勢がホームでよそ行きのサッカーをしてしまい、後悔が残る結果に終わったことを考えれば、自分たちらしいサッカーをサポーターに見せられた今日のエヴァートンは素晴らしかったと思います。
ディナモ・キエフの選手たちにとっては、同点ゴールのシーンがターニングポイントでした。それまで40分、完全に抑えていたルカクにまとめてなぎ倒されてからは別なチームのようにビビッてしまい、ラインは下がる一方。ルカクに対しては囲むだけで当たりにいけず、楔を入れてからサイドに展開するマルティネスサッカーを許してしまいました。とはいえ、後半は一方的に押されながら、アウェイゴールありの最少得失点差でウクライナに帰れるのは彼らにとっても悪い話ではないでしょう。
それにしても、ルカクです。戦術や連携はもちろん大事ですが、ときどきひとりの選手がワンプレーで世界を変えてしまうのがサッカーのおもしろいところですね。来週のチャンピオンズリーグでも、奇跡を起こしてくれそうなエースに期待したいと思います。アレクシス・サンチェス、そしてセルヒオ・アグエロ。
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ロメルじゃないですかね
ちなみに、マンユーではロホとヤヌザイを持っています。
3ヶ月前から毎日拝見しています。ゲーム解説や移籍ゴシップやニュース解読など、ほかのどの媒体よりも洞察深く、たいへん勉強になります。
わたしは、スパーズファンで、今シーズンからイギリス人のグループにまじってファンタジーリーグに参加しています。幸い、サンチェス・ケインを持ったわたしのチームは大健闘。イギリス人もびっくり状態です。
いまは、来シーズンに誰を買おうか頭を悩ませていますが、今回の原稿を拝見して、ルカクを取ろうと思いました。これからもよろしくお願いします。
パックンさん>
メディアによってまちまちですね。欧米の言語の発音をカタカナにするのは、ときどき難しいです。
はるやさん>
ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします。