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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ジョー・ハートの神セーブ連発も報われず。無策のマン・シティ、バルサははるか上に…!

今夜の試合が始まる前にこれを書いていますが、チャンピオンズリーグ決勝トーナメント・ラウンド16の初戦を終えた段で、プレミアリーグ勢3クラブのうち、いちばん厳しいのがバルセロナと戦うマンチェスター・シティだと思っていました。スランプに陥ったレアル・マドリードをかわしてスペインで首位に立ち、調子を上げているバルセロナに対して、最近のプレミアリーグ10試合を4勝3分け3敗とすっかり停滞しているマンチェスター・シティ。初戦は1-2とバルセロナに1点のアドバンテージ、アウェイゴールは2本。戦いの舞台はカンプ・ノウ。材料を並べると、マンチェスター・シティが希望を持てる要素は見当たりません。主将コンパニが以前の輝きを取り戻せるか、アグエロ、ミルナー、ナスリらの攻撃陣が、年末のバイエルン・ミュンヘン戦のような開き直りを見せられるか。2点が必要な昨季プレミアリーグ王者は、ワールドクラスのストライカーが3枚もいる相手に対して、リスクをとって攻めなければなりません。

試合開始から、圧倒的なバルサのペース。メッシ、ネイマール、スアレスにいいように持たれ、6分には左サイドで完全にフリーになったネイマールのシュートが左ポスト直撃。マンチェスター・シティの守備陣は混乱し、カットしたボールを取り返されるミスを頻発させています。11分、イニエスタとのワンツーで左を抜けたメッシがニアに強烈なシュート。GKジョー・ハートの体を張ったセーブが先制を許さなかったものの、ホームチームがクリーンシートで負けることはないでしょう。マンチェスター・シティ最初のチャンスは13分。彼ららしいパス回しから右サイドを突破したのは、古巣との対戦となったヤヤ・トゥレ。グラウンダーのクロスはDFに触れ、ミルナーの前にこぼれるもののシュートを打ちきれず。マン・シティ守備陣は、そろそろ落ち着きを手に入れることができたでしょうか。

グアルディオラ監督時代の小気味いいパスワークは影を潜め、長いドリブルが多いごつごつしたサッカーになってはいるものの、ペナルティエリアの手前からダイレクトパスを駆使してシンプルに崩すバルサの攻撃はやはり脅威です。27分、メッシを後ろから倒したダヴィド・シルヴァへのイエローカードは、フェルナンジーニョ、コラロフに続く3枚め。20メートルのFKがバーをわずかに越え、直後に左から放ったスアレスのシュートはジョー・ハートが弾きますが、30分、ついにバルサが先制です。カウンターから、右サイドの「いつもの起点」でボールを受けたメッシがドリブルで仕掛けると、コラロフとミルナーはチェックにいきながら足を出せず。ここで中央のマークは完全にずれており、ネイマールの裏に走り込んだノーマークのラキティッチをメッシは見逃しませんでした。正確なラストパスをワントラップ、ループシュート。ジョー・ハートはボールを見送るしかありません。

40分、DF陣の頭越しにネイマールを狙ったメッシのパスは完璧。ジョー・ハートしか前にいなかったネイマールが、シュートを打たずに中に折り返してくれて助かりました。43分、バルサの鋭いカウンター。左サイドのネイマールから、縦に走ったスアレスに見事なスルーパス。ひとり旅となり、GKの動きを見てアウトで軽く流し込もうとしたスアレスのシュートは、ファーのポストに当たって2点めはなりません。前半は1-0ながら、絶望的な力の差。マンチェスター・シティがひっくり返すイメージは、全くありません。

スアレスのクロスとイニエスタのミドルで始まった後半。48分には、メッシの左からの長いパスに、後半頭からナスリと代わって入ったヘスス・ナバスが頭を越され、ジョルディ・アルバがGKと1対1。ハートのセーブを、今日は何回見たでしょうか。マン・シティは何度も同じ形でやられています。50分、ダヴィド・シルヴァのパスに抜け出しかけたのはアグエロ。ゴールにいちばん近いのは彼の個人技、一瞬のスピードでしょう。ラッキーでもいい、相手のミスでもいい。サッカーでは、1点が流れを大きく変えることがあります。早い時間に追いつければ、前半とは別な試合になるかもしれません。60分、敵陣でのインターセプトからヘスス・ナバスが右サイドを突破。アグエロの手前でGKシュテーゲンにキャッチされますが、ゴールを奪うならこの形です。62分、またも左が空いてスアレスがシュート。コンパニとサニャのサイドの綻びは、ハーフタイムの確認を経ても埋められないようです。

63分、ヤヤ・トゥレとのワンツーで抜けたヘスス・ナバスがシュテーゲンと向き合い、中に折り返し。2人がフリーでいた絶好のチャンスにボールが合わず、コラロフ、ミルナーのシュートも枠に飛びません。カットしたバルサはメッシとネイマールのカウンター。ネイマールのラストパスに、メッシがGKハートをかわしにいくものの、ジョー・ハートが足元にぴったりついてフィニッシュを許しません。ジョー・ハートは、この直後もオフサイド崩れからどフリーになったメッシをストップ。イングランド代表のエースGKは、チームでいちばん集中力があり、いつも以上の力を発揮しています。ペジェグリーニ監督はヤヤ・トゥレを下げてボニーを投入。1月に加入したストライカーは、水色のユニフォームで臨んだプレミアリーグで未だノーゴール。残り15分で爪痕を残すことができるでしょうか。

76分、マンチェスター・シティ最大のチャンス。右からドリブルで仕掛けたアグエロが倒され、PKです。決めれば逆転の可能性が広がる大事なキックは、シュテーゲンが止めやすいコースに蹴ってしまったアグエロのミスといっていいでしょう。1-0は変わらず。直後のカウンターで、ネイマールとの1対1をまたも止めたジョー・ハートの奮闘は報われません。コンパニという大きな穴を、GKは何度埋めたでしょうか。85分、右からのスアレスもハートがストップ。1-0で耐えているのは奇跡的です。87分にやっと切ったペジェグリーニ監督3枚めのカード、フランク・ランパードは遅すぎでしょう。指揮官は勝ちたかったのか、わずかな希望を失いたくなかったのか。バルサのチェックに苦しんでいたミルナーは、最初に代えてもいい出来だったと思います。

88分、4対2のカウンターからゴール正面でフリーになったメッシも、ジョー・ハートがブロック。これは感動的です。2分しかなかった追加タイムは、ネイマールの強烈なシュートをCKに逃れたジョー・ハートのファインプレーをひとつ増やしただけでした。1-0、マンチェスター・シティの完敗で、今季プレミアリーグ勢のチャンピオンズリーグは終わりを告げました。

うーん。メッシを止めるためのアイデアも、崩しの狙いどころも感じられなかったペジェグリーニ采配は、無策でした。「自分たちのサッカーをすれば勝てるからがんばろう」と試合を始め、「厳しいけど、何とか1-0で食い止めよう」と終わってしまった印象。メッシ、ネイマール、スアレスの強力な3人に対して、まともに正面からぶつかったらこうなるであろう、という世界をトレースしただけの92分でした。ヘスス・ナバスの突破とPKという2度のチャンスを活かせていれば…などとつぶやこうものなら、GKとの1対1だけで7回はあったバルサにあれを全部決められていればと返され、沈黙するしかありません。コンパニは厳しかったですね。自信を完全に砕かれるような守備の崩壊は、今後のプレミアリーグに影響を残すかもしれません。

ペジェグリーニ監督には、サッカーのスタイルはひとつしかなかった。「思いっきり引いてひたすらカウンター」「サバレタやジェコを最初から入れた攻撃的布陣」というような勝つための思い切ったプランより、大敗しないための堅実策を選んだ(幸運にも大敗しなかっただけというゲームでしたが)。つまりは、勝利への渇望が薄かった。そう思われても仕方がないような、平板で予想通りの試合だったのが残念です。最後に、ひとつだけ。ジョー・ハートさん、今夜のあなたは、涙が出るほど素晴らしかったです!

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“ジョー・ハートの神セーブ連発も報われず。無策のマン・シティ、バルサははるか上に…!” への6件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    プレミア王者がここまでやられると言葉もないですね・・・
    やはりプレミアは時代に取り残さてるような・・・

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    プレミア勢全てが消えてしまいましたね。
    このゲームはハート決めさせてたまるか!という意地だけを感じました。彼は素晴らしかった。プレミア勢は欧州で勝つためには何か改善が必要かもしれませんね。
    最後の希望はELのエバートンだけですね。

  3. いちマンCサポ より:

    敵地とはいえプレミアチャンプが零封とは不甲斐ないですが、
    完璧に力負けですね。レベルの違いを見せ付けられました。
    いやーしかし、個人的にはハート様にMOMあげたいです。

  4. ルーニー より:

    バルサが強いのかシティが弱すぎるのかどっちなんでしょうね

  5. ぐら より:

    点差以上に絶望的な差がある試合でした…
    ハートは本当に凄かった

  6. makoto より:

    みなさま>
    お返事遅くなり、すみません。本日、みなさまからいただいたさまざまな問いかけに対して、私なりの答えを出すべく4つの仮説を出してみました。結論からいえば、プレミアリーグの戦い方は、欧州の最先端でも、スタンダードですらもなくなってしまったのではないかと思います。よろしければ、ご一読ください。

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