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老獪ユヴェントス、無策のレアル・マドリードに狙い通りのドローでファイナル進出!

バイエルン・ミュンヘンVSバルセロナよりも、プレミアリーグから出ていった選手が多いこちらの試合を楽しみにしていました。レアル・マドリードにはクリスティアーノ・ロナウドとチチャリート、ベイル。ユヴェントスにはエヴラとテベス。ポグバを入れることが許されるなら、5人までが元マンチェスター・ユナイテッドです。ユーヴェのホームで戦ったファーストレグは2-1。レアル・マドリードから移籍したモラタが先制点を挙げると、クリスティアーノ・ロナウドのヘディングでアウェイチームが追いつき、決勝ゴールはテベスでした。

「アウェイゴールを決めての1点ビハインドなら、昨季王者が優勢」といわれていたセカンドレグは、順序こそ違えどクリスティアーノ・ロナウドとモラタのゴールで1-1となったところまでは同じです。しかし、緒戦でユーヴェが決めた勝ち越し点を、レアル・マドリードは決めることができませんでした。ユヴェントス、12年ぶりのファイナル進出。ベルリンで戦うクラシコを楽しみにしていたバルサの面々は、よりやりにくい相手とビッグイヤーを争うことになりました。

両者のメンタルが状況を大きく変えたゲーム。この一戦は、大きく3つのフェイズに分かれるのではないかと思います。0-0で進んだ序盤は、リードを守りたい気持ちとアウェイへの気遅れでユーヴェがよそ行きのサッカーとなり、レアル・マドリード優勢。20分にハメス・ロドリゲスがキエリーニに倒されクリスティアーノ・ロナウドがPKを叩き込むと、焦ったユーヴェがカウンターを許すようになり、さらにレアル・マドリード優勢。しかし、57分のモラタのゴールが戦況を変えるターニングポイントとなり、ユーヴェが落ち着きを取り戻す第3のフェイズに突入します。クロスをクリアした後、他の選手がラインを上げるなか、セルヒオ・ラモスは残ってマークの指示をしており、レアル・マドリードの最終ラインの統制が乱れます。高々と上がったボールがフリーのポグバに向かって落ちると、セルヒオ・ラモスは逆サイドまで走ってカバーしようとしますが、これはさすがに間に合いません。中央への落としにクロースより早く反応したモラタが渾身の左足ボレー。ここで初めてユヴェントスがメンタルで優位に立ち、レアル・マドリードは追い込まれてしまいました。

ベンゼマを軸に、いわゆる「BBC」とハメス・ロドリゲスがテンポのいいパス回しを披露していた序盤。最終ラインで奪ったボールをイスコやクロースにつないで、ロングボールを一発で通す鋭いカウンターが脅威となっていた1-0の時間帯。ゴールが必要となった残り30分の昨季王者に、このどちらかのエッセンスがあればよかったのですが、彼らは単調なサイド攻撃に終始してしまいました。右のベイルがカルバハルをうまく使えないため、クロスはマルセロとクリスティアーノ・ロナウドが揃う左サイド一辺倒。前線でタメを作って左右のウインガーをうまく活かしていたベンゼマがチチャリートに代わってからは、クリスティアーノ・ロナウドにシュートがなくなり、ベイルの無理めなミドルばかりが目立ちました。

前線と中盤の距離が遠く、クロスが上がったときに1~2枚しか中にいないレアル・マドリードの薄いアタックは、ユーヴェからすると守りやすかったでしょう。イスコをイジャラメンディに代え、ハメス・ロドリゲスをセカンドストライカーのように機能させるなどの思い切った打ち手があれば、ユヴェントスは嫌だったはずですが、「いつもの形」にこだわるアンチェロッティ監督は無策でした。もうひとりの元プレミアリーグ、モドリッチの不在が痛かったのは確かですが、交代カードを2枚余らせて終わった指揮官にオプションのアイデアと大胆さがあれば、違う試合になっていたのではないかと思います。

チームを追われたモラタに連覇の夢を打ち砕かれたのは、サンチアゴ・ベルナベウに集結したサポーターにとっては悔しさ倍増でしょう。チームメートにもみくちゃにされながら、喜びの表情をみせなかったモラタが印象的でした。

それにしても、ユヴェントスはよくやりましたね。スローインに誰もいこうとしなかったり、さほどの当たりでもないのに痛がってピッチに倒れ込むなど、旧式な時間稼ぎには思わず笑ってしまいましたが、最終ラインが最後まで集中力を失わずにうまく試合を畳みました。シュート数は22対8とレアル・マドリードが圧倒したものの、枠内シュートは5対4。後半、モラタとビダルのつなぎからマルキージオが抜け出したシーンと、ポグバのフリーのミドルはどちらも1点モノで、ドローは妥当な結果でしょう。ブッフォン、キエリーニ、テベス、ピルロと、要所にタフなゲームを知るベテランがいるのが、老獪な試合運びができるユーヴェの強みなのかもしれません。早々に大会を去ったプレミアリーグ勢に足りなかったのは、今夜ユーヴェがみせたしぶとさ、冷静さだったのではないかとあらためて感じました。

さあ、ファイナルはバルセロナVSユヴェントスに決まりました。大方の予想はスペインの圧勝でしょう。しかし私は、「セリエAとプレミアリーグが争っているUEFAランキングを考えるとイタリアが勝つのはまずい」などという小さなことはいわずに、ユーヴェ持ちで観戦しようと決めています。昔、プラティニ、ボニエク、ロッシがいた頃に胸をときめかせて観ていたクラブの、久しぶりの晴れ姿ですから。

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“老獪ユヴェントス、無策のレアル・マドリードに狙い通りのドローでファイナル進出!” への5件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    決勝は、スアレスvsキエッリーニ、スアレスvsエブラという因縁の対決も楽しみなポイントです。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    リバサポさん>
    そうなんですよね。握手してほしいなと思います。

  3. a より:

    どちらにも関与しているスアレスwwww

  4. nao より:

    スアレスまた何かやらかしそう。。笑
    ユーベ応援してセリエ勢に勢いをつけてもらってガンガンプレミア勢を焦らせて欲しい。
    欧州でもっとプレミアの意地を見せてほしいです。
    来季のマンUデパイには超期待してます!
    シティは補強次第ですけど来季今以上に不安だなぁ。。

  5. makoto より:

    aさん>
    よりによって2人とも、ですよね。

    naoさん>
    おっしゃるとおりです。ユーヴェの活躍が起爆剤となることを期待します。

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