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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【CL決勝速報】巧かったバルサ。一気に逆転を狙ったユヴェントスは背番号10のカウンターに屈す!

1982年、中学生の頃、私のアイドルはミシェル・プラティニとブライアン・ロブソンでした。当時はプレミアリーグではなくイングランドリーグでしたが、ロブソンとホワイトサイドのマンチェスター・ユナイテッドを応援しつつ、欧州屈指のスター軍団だったユヴェントスのサッカーにも胸をときめかせていたものです。1984-85シーズン、ヘイゼルを包む悲しみのなかで、プラティニが歓喜なきPKを決めてチャンピオンズカップで初優勝を遂げると、1995-96シーズンにはリッピ監督の下でデルピエロ、デシャン、ラヴァネッリらが2度めの戴冠。ここから3季連続でファイナル進出を果たしたユーヴェは、2006年に発覚した八百長事件もあって欧州のトップ集団から後れをとり、今回のベルリンは12年ぶりの決勝戦です。心情的にはユヴェントスに勝ってほしいのですが、絶好調バルセロナが優勢でしょう。メッシ、ネイマール、スアレスは止められるのか、モラタやテベスがシュテーゲンのゴールにボールを流し込むシーンは訪れるのか。2014-15シーズン、チャンピオンズリーグ最後のゲームがいよいよ始まります。

開始早々から前線でプレスを効かせていたユーヴェは、最終ラインが引いて受ける時間を極力減らしたいという意図だったと思われます。しかし4分、先制点をやらずにゲームを進めたかったユーヴェの思惑は、一発のサイドチェンジからあっさり破られます。左サイドでロングボールを受けたジョルディ・アルバがネイマールにダイレクトパス。相手を振り切ってペナルティエリアに侵入してきたイニエスタに対するネイマールのパスは完璧でした。イニエスタがすぐ横にいたラキティッチに落とすと、イージーな左足ボレーがゴール中央に突き刺さります。

この失点は、痛い。ユヴェントスは、自陣に空くスペースに多少は目をつぶって、リスクをとって攻め込むことを強いられます。7分、右サイドをモラタが疾走。切り返しから落とした優しいボールに、ビダルのシュートは力み、枠の上を超えていきます。直後に下がりめの位置からメッシがネイマールにパス。右に持ち込んで放ったネイマールの一撃も、惜しくもゴールの上。予想に反して、ファイナルは攻め合いの様相を呈しています。

13分、右のメッシが裏に飛び出したネイマールにクロス。ネイマールは触れなかったものの、この形にユーヴェは最後まで悩まされるでしょう。直後に今度は右サイド。スアレスのグラウンダーをダニエウ・アウヴェスが狙うと、ブッフォンは逆を突かれたものの、何とか左手に当てて難を逃れます。

ユヴェントスの失点後の混乱は15分まで尾を引いたものの、これを過ぎるとサイドからチャレンジするシーンが増え、ポグバやモラタがラストパスを入れるシーンが目立ってきました。23分、テベスが初めてドリブルで敵陣に斬り込みループシュート。1分後、モラタの左足はゴール左に逸れていくものの、この時間は出足よく中盤でボールを奪い始めたユーヴェの時間です。35分、テベスの縦パスから最終ラインを破ったかに思われたポグバはアルバともつれて倒れますが、笛は鳴らず。バルセロナはペースをスローに落とし、マイボールの時間を増やすことでユーヴェの攻勢を緩和させようとしています。44分、ブッフォンの右へのパスをネイマールがインターセプトする絶好のチャンスがバルサにありましたが、浮き球は中央でフリーだったスアレスに合いません。前半は1-0、バルサ。ユーヴェ守備陣は、ネイマールとスアレスにきわどいシュートを許すシーンはあったものの、メッシへのマークはうまくいっています。

47分、ユーヴェ最初のチャンスは、ピルロのFKも直後のCKもシュートは打てず。するとバルサがカウンターを仕掛け、5対3の状況から左に展開。スアレスの強烈なシュートがブッフォンのニアサイドを襲います。50分を過ぎると前半同様、フォアチェックを徹底するユーヴェとスローかつセーフティにボールをまわすバルサという構図。ユーヴェの執拗なプレスが実を結んだのは54分でした。敵陣で奪ったボールを受けたマルキージオが絶妙なヒールパスでリヒトシュタイナーの突破につなげると、自身の後ろに出たグラウンダーを振り向きざまに蹴り込んだのはテベス。シュテーゲンは弾くのが精一杯で、こぼれ球に反応したモラタが無人のゴールに流し込みます。

1-1となると、再度攻めのスイッチをオンにしたバルセロナ。プレスの深さもカウンターのスピードも、それまでの彼等とは別なチームです。決してひるまないユーヴェも、62分にモラタの右からのパスをテベス渾身の右足。フリーでドライブをかけたシュートは当たりがよくなかったのか、ゴールの上に消えていきます。明らかに優勢を意識し始めたユヴェントス。一気に逆転を狙ったアレグリ監督のチームは、試合前に確認したはずの大事なことを忘れてしまっていたようです。メッシを自由にしないこと。67分、ダニエウ・アウヴェスのカットからラキティッチにつながったボールは背番号10へ。左から持ち込んだメッシのシュートをブッフォンが弾くと、そこにいたのはプレミアリーグで因縁の2人でしたが、エヴラよりスアレスの反応が先でした。ウルグアイの英雄とゴールの間を遮るものは何もなし。バルサが再び勝ち越しです。

前がかりになったユーヴェに、バルサは再三カウンターで襲いかかります。70分、敵陣で奪ったボールをアルバがドリブル。正確なクロスをヘッドで叩いたネイマールのシュートがゴール右隅に決まりますが、頭に当たったボールが手に触れており、ジャッジはこれを見逃しませんでした。1点を追うユーヴェは、ポグバの高さに勝機を見出そうとするものの、シュートが枠にいきません。92分のテベスのミドルが、最後のチャンスでした。追加タイムが6分をまわり、ユーヴェが最後のFKをゴール前に放り込むも、結果は残酷です。途中出場のペドロとネイマールにカウンターを許したユヴェントスは、フリーになったネイマールに左足で決められ、ゴールとともに鳴り響いたタイムアップの笛で今季最後の試合を終えました。

両者の差は、試合運びの巧拙だったのではないでしょうか。「強力な3人を抑え込むためには、前線からプレスをかけて彼らからボールを遠ざけておくこと」というアレグリ監督の戦術はうまくいっていたものの、後半優位に立った時間帯にメッシから目を離してしまったのが命取りとなりました。プラティニ、デル・ピエロという輝かしい10番を擁して2度のビッグイヤーを獲得したイタリアの名門は、相手の10番を止められず、失意のうちにベルリンを去ることになります。敗れはしたものの、彼らは持てる力を出し切りました。ユーヴェ、ブラボー!勝者にも敗者にも拍手を送りたい、いい試合でした。(ルイス・スアレス 写真著作者/Lluís)

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“【CL決勝速報】巧かったバルサ。一気に逆転を狙ったユヴェントスは背番号10のカウンターに屈す!” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ユーベは開始早々の失点でシナリオが崩れましたが、モラタの同点ゴールで希望が見えましたが、やはりバルサの方が試合巧者でしたね。
    ユーベのCL決勝への帰還は大変嬉しかったのですが相手が強すぎでしたね。しかしセリエAの力が着実に戻ってきている感じがするのは私だけでしょうか、、?

  2. モウ より:

    バルサは本当に強いですね。
    これを来季以降プレミア勢がどうやって止めるのか、自分には思いつきません(^_^;)

    各国王者を倒し、シャビを最高の形で送り出しバルサ、敗れはしたものの健闘しセリエ復権の狼煙をあげたユベントス、お互い
    讃えられるべきですね。
    レフリングもかなり良かった気がします!

    来季はプレミア勢ほんとに頑張って欲しいですね、CLもELも。

    あと70分のところ、アラバになってますよ。

  3. makoto より:

    Mackiさん>
    セリエA、強くなってますね。戦術的にはプレミアリーグよりも明らかに緻密です。ユーヴェのプレス、ポグバの前線への絡み方は、おもしろかったです。

    モウさん>
    同感です。両者とも出来がよく、きびきびしたいい試合でした。アルバのご指摘、ありがとうございます。訂正させていただきました。

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