偏愛的プレミアリーグ見聞録

チャンピオンズリーグに続き、 ヨーロッパリーグの組み合わせ抽選が行われました。プレミアリーグ勢は、一昨日のプレーオフでサウサンプトンが負けてしまったため、リヴァプールとトッテナムの2チームのみの出場。予選3回戦で敗退したウェストハムを含め、最大4チーム出場の可能性があったことを考えれば、少々寂しい状況ではあります。ちなみに、セインツを倒したデンマーク王者のミッティランは、ヨーロッパリーグ本大会初出場。グループDの本命、イグアインとカジェホンを擁するナポリは厳しい相手ではあるものの、マンチェスター・ユナイテッドとのCLプレーオフに完敗してこちらにまわってきたクラブ・ブルッヘ、ワルシャワとはいい試合をするのではないかと思われます。吉田麻也がここで観られたかもしれないと思うと、ホントに残念です。

…気を取り直して、未来に目を向けましょう。プレミアリーグの2チームが入ったグループを見ると、リヴァプールは突破間違いなし、トッテナムは油断できないドローです。リヴァプールのグループBは、いわば「絶不調グループ」。2012-13シーズンにヨーロッパリーグでベスト8に入っているルビン・カザンやフランスの名門・ボルドーは、名前を聞くと侮れないと身構えてしまいますが、それぞれ国内リーグで低迷中。ルビン・カザンはホーム3試合全敗でロシア・プレミアリーグ14位、ボルドーも3戦勝利なしでリーグ・アン15位。このグループではアウトサイダーと目されるスイスのシオンもリーグ5位で、3チームのリーグ戦成績を合算すると15試合でわずか3勝という低空飛行です。ベンテケ、フィルミーノ、コウチーニョ、ヘンダーソン、ミルナー…リヴァプールの選手の顔を思い浮かべてみると、このグループで敗れ去る姿はまったく想像できません。

ロジャース監督は、ロシア遠征でどこまでメンバーを落とすかと、決勝トーナメントでどうやってスペイン勢に勝つかに頭を使っていただければいいのではないでしょうか。昨季優勝のセビージャが厳しい大会のほうにまわってくれたので、ヨーロッパリーグは一見、チャンスがありそうですが、ユヴェントスやマンチェスター・シティと同じ組となったスペインの「ELスペシャリスト」は、グループステージで敗れて住み慣れたこちらへ舞い戻ってくる可能性があります。

一方のトッテナムは、あまり知られていないのですが欧州でいちばんヨーロッパリーグに実績があるクラブなのです。出場回数はPSVとクラブ・ブルッヘに次ぐ5回。前身のUEFAカップまで含めれば、総勝ち点数53とトータルゴール数64ゴールはぶっちぎりの1位。長らくクラブの顔だったジャーメイン・デフォーの15ゴールは歴代最多です。今大会でもぜひ、輝かしい記録を更新していただきたいのですが、グループJのアンデルレヒトとモナコは要注意。労せず勝てそうなカラバフはモスクワよりも余裕で遠いアゼルバイジャン、カスピ海のほとりまで長旅をしないといけません。

昨季のチャンピオンズリーグでアーセナルを苦しめたモナコは、CLプレーオフで運悪くバレンシアと当たってしまい、惜敗でヨーロッパリーグ参戦となりました。彼らがELグループステージ初出場というのは意外です。この夏は、コエントランやエル・シャーラウィという大物補強に成功しており、プレミアリーグ未勝利でエンジンがかかっていない今のトッテナムよりは、あちらのほうが上でしょう。アンデルレヒトは、ミトロヴィッチをニューカッスルに引き抜かれたとはいえ、ベルギー期待の若手の宝庫でしぶといチーム。昨季のチャンピオンズリーグではエミレーツのアーセナルに3-0から追いつくという離れ業を演じており、簡単に勝てる相手ではありません。ポチェッティーノ監督は、2014-15シーズンで見せた「プレミアリーグとヨーロッパリーグで11人総とっかえ」というワザは使えないのではないでしょうか。「プレミアリーグ重視で、こちらはあっさり土俵を割る」という姿を観るのはウェストハムで充分堪能しましたので、ぜひとも避けていただきたいと思います。

グループステージ第1節は、9月17日。リヴァプールはボルドーとのアウェイ戦。調子が上がっていないトッテナムにとっては、ホワイト・ハート・レーンでのカラバフ戦から始められるのはいいですね。チャンピオンズリーグともども、プレミアリーグ勢の勝ち上がりに期待しております。

【ヨーロッパリーグ2015-16シーズン　グループステージ組み合わせ】
グループA/アヤックス（オランダ）、セルティック（スコットランド）、
　　　　　フェネルバフチェ（トルコ）、モルデ（ノルウェー）
グループB/ルビン・カザン（ロシア）、リヴァプール（イングランド）、
　　　　　ボルドー（フランス）、シオン（スイス）
グループC/ドルトムント（ドイツ）、PAOK（ギリシャ）、
　　　　　クラスノダール（ロシア）、ガバラ（アゼルバイジャン）
グループD/ナポリ（イタリア）、クラブ・ブルッヘ（ベルギー）、
　　　　　レギア・ワルシャワ（ポーランド）、ミッティラン（デンマーク）
グループE/ビジャレアル（スペイン）、プルゼニュ（チェコ）、
　　　　　ラピッド・ウィーン（オーストリア）、ディナモ・ミンスク（ベラルーシ）
グループF/マルセイユ（フランス）、スポルティング・ブラガ（ポルトガル）、
　　　　　スロバン・リベレツ（チェコ）、フローニンゲン（オランダ）
グループG/ドニプロ・ドニプロペトロウシク（ウクライナ）、ラツィオ（イタリア）、
　　　　　サンテティエンヌ（フランス）、ローゼンボリ（ノルウェー）
グループH/スポルティング・リスボン（ポルトガル）、ベシクタシュ（トルコ）、
　　　　　ロコモティフ・モスクワ（ロシア）、スカンデルベウ（アルバニア）
グループI/バーゼル（スイス）、フィオレンティーナ（イタリア）、
　　　　　レフ・ボズナン（ポーランド）、ベレネンセス（ポルトガル）
グループJ/トッテナム（イングランド）、アンデルレヒト（ベルギー）、
　　　　　モナコ（フランス）、カラバフ（アゼルバイジャン）
グループK/シャルケ04（ドイツ）、アポエル・ニコシア（キプロス）、
　　　　　スパルタ・プラハ（チェコ）、アステラス（ギリシャ）
グループL/アスレティック・ビルバオ（スペイン）、AZ（オランダ）、
　　　　　アウクスブルク（ドイツ）、パルチザン（セルビア）