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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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致命的なミス、失った冷静さ…守備が乱れたアーセナル、3失点でグループステージ突破は絶望的!

チャンピオンズリーググループステージ第2節、アーセナルが対戦するのは、ここ7年で同じグループが4回めとなるオリンピアコス。戦績はわかりやすく、エミレーツではアーセナルが3戦全勝、ギリシャでは逆に全敗です。オリンピアコスはプレミアリーグ勢とのアウェイ戦に弱く、ただいま12連敗中で得点3、失点37と散々です。状況的にも、数字からもヴェンゲル監督は負けるわけにはいかない一戦。GKにオスピナ、最終ラインにはガブリエウが復帰してコシールニーとコンビを組み、両サイドにはベジェリンとギブスが入ります。アレクシス・サンチェス、エジル、カソルラ、チェンバレンにケガが癒えたコクランが戻った中盤はベストといっていい顔ぶれ。初戦で退場になったジルーが不在のトップは、ストライカーらしくなってきたウォルコットです。

試合開始からのアーセナルは、プレミアリーグでもここまではなかなかない圧倒的なポゼッション。9分、5人が一斉に全力で駆け出したカウンターは、アレクシス・サンチェスからのパスを持ち込んだチェンバレンが右からシュートを放つもサイドネットに当たり、最初のチャンスを活かせません。2分後には、同じような形からウォルコットがシュートを狙いますが、GKロベルトの正面。ボールに触る機会が少ないオリンピアコスは、セットプレーではいいボールを中央に入れており、プレミアリーグでもFKからの失点が多いアーセナルは要注意です。

23分、昨季までレスターにいたカンビアッソが右から崩し、フォルトゥニスが左足ミドル。この一撃はポスト右に切れますが、アーセナルは遠めからの一発にも警戒しないといけません。アウェイチームがボールを持つ時間が長くなってきました。エジルは消え、カソルラはいい形でボールを受けられません。32分、縦パスに反応したイディエにコシールニーとガブリエウが両方いってかぶってしまいピンチを招くと、シュートチャンスにはコクランがカバーに加わり、最後はガブリエウがクリア。このCKをペナルティエリアの外から狙われ、バルドのシュートがチェンバレンに当たってゴールイン。何と何と、アウェイチームが先制です。しかしこのリードは、3分しか持ちませんでした。左からドリブルで上がったアレクシス・サンチェスが裏に出したラストパスに、フリーで追いつき右足で狙ったのはウォルコット。GKに当たったボールがゴールに吸い込まれ、1-1のイーブンとなります。

ところが40分、フォルトゥニスのCKをオスピナがこぼしてゴールに入れてしまうという信じられないミス。プレミアリーグ勢とのアウェイでは4試合で1点ペースのオリンピアコスに、前半だけで2失点です。アレクシス・サンチェスとガブリエウに立て続けにイエローが出る苦しいガナーズ。前が薄すぎる攻撃に希望は感じられず、後半必要な2ゴールは高いハードルに見えます。オリンピアコスは、守備を固めてカウンターとセットプレー狙いに徹してくるでしょう。勝たなければならなかった日本代表が手を焼いた、ブラジルでのあの一戦が思い出されます。

やはり、ギリシャのクラブは引いて縦狙いです。1枚カードをもらっているガブリエウのスピード頼みでカウンターをさばくのはいかにもリスキー。早く追いつきたいアーセナルは、崩しきろうとやっきになるのではなく、もっと遠めから狙ったほうがいいのではないでしょうか。55分、コシールニーがスライディングで太ももの裏を痛め、メルテザッカーにチェンジ。2戦めも厳しいゲームです。ヴェンゲル監督は、コクランを下げてラムジーというギャンブルに出ました。60分、ラムジーのスルーパスを受けたアレクシス・サンチェスが右サイドを完全に崩したシーンは、メルテザッカーとカソルラのシュートがことごとくDFに当たり、アーセナルは同点機を逃します。

64分、中央のカソルラが放ったミドルはGKロベルトがセーブ。すると65分、ウォルコットのクロスを高い打点でアレクシス・サンチェスが合わせ、ついにホームチームが同点に追いつきます。ところがその1分後、中盤のチェックが緩いままミドルを喰らうと、ラインを上げるのか相手に付くのかはっきりしなかった守備の隙を突かれ、浮き球が右のエラブデウライへ。ゴールライン際までえぐられて出されたグラウンダ―のコースを変えたのは、ハーフタイムにイディエに代わって入ったフィンボガリン。コシールニーのリタイアで混乱した最終ラインは、あっけなく失点を許してしまいました。

76分、エジルが右隅を狙った素晴らしいFKはGKがストップ。ベジェリンをジョエル・キャンベルというスクランブルは実りませんでした。猛攻をしのいだオリンピアコスがプレミアリーグ勢に対してアウェイ初勝利を決めました。

衝撃の結果でした。他はともかく、アーセナルだけは負けないと思っていました。実際に試合を観ていても、負けてはいけない相手にみえました。3回しかチャンスがなかったアウェイチームが3点を奪ったという結果は、それだけアーセナルのミスが致命的だったということです。ゴールを決めるたびに後ろが失敗をしてビハインドを背負うという最悪の展開。オスピナはどうしたのでしょうか。勝ち越しゴールを決められたシーンは、その場にいた5人がなぜ全員マークを捨てて、ただ後ろに下がってしまったのでしょうか。

プレミアリーグ勢に、欧州では普段通りに戦えず、ありえないミスや微妙な采配をしてしまう「内弁慶シンドローム」が蔓延しているようです。ガナーズの決勝トーナメント進出は難しいでしょう。ヴェンゲル監督は、何とか3位を死守してヨーロッパリーグにまわるという現実的な目標まで見据えなければなりませんが、そのためにはバイエルン・ミュンヘンから勝ち点1を奪わないといけません。本拠地アリアンツ・アレナとはいえ「ザ・インヴィンシブルズ」ザグレブの45戦無敗というレコードを5-0の圧勝で止めた欧州最強候補に、この日のようなアーセナルが2失点以下でゲームを終えられるとは思えませんが…。

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“致命的なミス、失った冷静さ…守備が乱れたアーセナル、3失点でグループステージ突破は絶望的!” への15件のフィードバック

  1. ガナユ より:

    後付けにはなりますが、アーセナルはCLでターンオーバーをしたのが悔やまれる形になりましたね…
    チームの選手のクオリティ事態には問題を感じないので2.3失点目の強いチームならやらないミスをしてしまう所がリーグやCLで優勝出来ない要因なのかもしれません

  2. シティズン より:

    CL16には残れるのがアーセナルだったんですけどね
    EL頑張ってもらいましょう

  3. a より:

    CLではこんな結果でも、週末のプレミアでは容赦してくれないんだろうなー……(ユナイテッドサポ

  4. シティさぽ より:

    ほぼベストメンバーでしたよね
    なんだかんだ突破はすると思いますが
    補強も全然してないし
    ELでも仕方ないかな
    カップ獲得が目標なんですかね

  5. フッチ坊 より:

    『良いときの』『悪いときの』といった枕言葉がつかない、強いアーセナルになるにはここで下は向けませんね。
    成熟路線の分水嶺がきた感じですが、今のところ少しチームとして動けてない気がします。頑張ってほしい(切望)

  6. ひとっちゃん より:

    GKのオスピナもそうですが、左SBのギブスが攻守、特に攻撃で機能してませんでした。ターンオーバーはいいのですが、試合勘が不十分な選手に重要な試合を任せたのは納得できません。
    GL敗退が現実味を帯びてきました。

  7. makoto より:

    ガナユさん>
    痛かったですね、特にオスピナのミス。先に点を獲られると落ち着きを失ってしまい、ゴールした後に集中力がなくなる(モナコ戦もそうでした)メンタルの脆さが気になります。

    シティズンさん>
    バイエルンと2つ残してますからね…。

    aさん>
    主審がアーセナルに厳しく、バンバンカードを出す方だそうです。風はわれわれにいい方向に吹いているようです。

    シティさぽさん>
    唯一、補強した選手をベンチに置いて負けてしまいました。この負け方は、ショックが大きいのではないでしょうか。

    フッチ坊さん>
    そうですね。バイエルンやバルサ、ミラン、モナコ相手にセカンドレグで追いつく寸前までいった「土壇場力」に期待したいです。

    ひとっちゃんさん>
    おっしゃるとおり、左からの攻撃が詰まり気味でした。とはいえ2点は獲ったんですけどね…。

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    ほんと使えないクラブだな
    悪くてもCLべスト16敗退ができるクラブだったのに(笑)
    ほんとプレミアの枠が減っちまうぜ

  9. デリック より:

    頼みの綱のコシエルニーが怪我とかもう週末も諦め気味です。ゴールラインテクノロジーってプレミアだけなんですか?使われてなかったですけど。それにしても信じられないミスだし、点とって2回ともすぐかえされるとか攻撃陣は辛いわな。
    バイエルンに勝つしかないけど、全く勝てる気がしません。
    補強せずCL敗退となり、3.4位だったら解任でいいんじゃないですかね。

  10. tomo より:

    更新ご苦労様です。

    私も衝撃でしたよ。まさか負けるとは・・・現在のアーセナルがバイエルン相手に勝ち点を
    奪うとは私には思えません。GL敗退が高い確率で決まりましたね。
    個人的にはELを経験するのも悪くないとは思います。より若手を起用しやすいでしょうし
    ブレイクを遂げる若手がいるかもしれません。現時点ではELすら・・・難しいですが。

    週末の結果次第ではベンゲルへの風当たりが強くなるでしょうね。アーセナルにベンゲルを
    解任する『勇気』など絶対にないでしょう。それでも今シーズン終了後にベンゲル自身から
    辞任を申し出る可能性はあると私は思いますよ。輝かしい監督としてのキャリアに本格的な
    傷がつく前に決断するかもしれません。

    いずれにせよ今季のベンゲルは今までよりも強く責任を問われます。主力選手の放出が全く
    なかっただけでなくチェフを獲得した上に資金があるにも関わらずそれ以上の補強を自らの
    意思で補強を見送ったわけですからね。いかなる言い訳も通用しません。

    とりあえず週末のマン・U戦での頑張りに期待します。この試合に負けるようだと・・・

  11. queen より:

    「チーム状況が悪くてもどうにかリーグ4位以内とCLのGL突破まではもっていけるのはヴェンゲルのおかげ」と見るか、「優勝争いにさっぱり絡めないのはヴェンゲルのせい」とみるか。どちらも正しいと考えますが、ついにグループリーグ突破もできなくなりつつありますね。
    ユナイテッドの事例もあるので長期政権の交代は大変そうですが、そろそろフロントもサポーターも監督本人も腹をくくって決断する時が迫っているのかな、と感じます。

  12. 新参 より:

    一度、このコメント欄でヴェンゲル監督不要論に反論していましたが、今回は擁護できないですね。それぐらい絶望感を感じた内容でした。

    ヴェンゲル監督には最低でもCLは3位でEL行き&上位進出、プレミアは4位以上死守を目指して頂き、勇退というのが引き際としていいんじゃないでしょうか。後任には守備戦術に定評があり、攻守ともにセットプレーを得意とする監督が良いと思います。逆にいうとそれをするだけでプレミア制覇・CLベスト4をやってのけるだけのポテンシャルを持つチームだと信じています。

    とにもかくにもシーズン早々、変化が求められていることは間違いありません。

  13. 実はグーナー より:

    攻撃の多彩さは世界屈指でも守備組織は中学レベル
    騙し騙しやってきたけどついに世界にそれを晒しちゃいましたね
    ELを死守して頑張るしかないなー

  14. カズベイ より:

    昨シーズンのモナコ戦が脳裏によぎりながら観戦してたけど‥
    まさかのまさかでした

  15. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    なかなか見られないミスが出たゲームで、敗因云々という話をするのが難しいですね。

    デリックさん>
    何とか4連敗だけは避けてほしいですね。バイエルンには正面から当たるのではなく、対抗策をひねってほしいところですが、ヴェンゲル監督はやらないでしょうね。

    tomoさん>
    さすがに選手のショックも大きそうですね。私も負けは絶対にないと思い込んでいました。

    queenさん>
    バイエルンにまったく歯が立たずに欧州を後にすることになれば、そういう話が出てもおかしくないと思います。

    新参さん>
    層が薄いポジションはあるものの、選手構成は悪くないので、マンチェスター・ユナイテッドのように世代交代の失敗で大崩れすることはないと思います。

    実はグーナーさん>
    コシールニーがいなくなった後に立て直せなかったのが激痛でした。

    カズベイさん>
    ホントに。ミドルに弱い、リスタートの集中力に課題があるなど、相手にモナコ戦を研究されていた感があります。

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