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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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シュート33本で1ゴール…攻めて攻めて攻め続けたリヴァプールは、悔し過ぎるドロー!

先週末のプレミアリーグはトッテナムとのアウェイ戦だったため、クロップ監督にとってはアンフィールドで戦う初めてのゲーム。ヨーロッパリーグ・グループステージ第3節のルビン・カザン戦は、決勝トーナメント進出に向けて勝ち点3を乗せなければならない重要な一戦です。先週のプレミアリーグからは、ルーカスをジョー・アレンに代えただけでゲームに臨んだクロップ監督のチームは、週末のサウサンプトン戦のことは考えずにフルスロットルで走り続けるのでしょうか。

走るレッズと、前線から詰めるルビン・カザン。キックオフ早々から激しい試合です。8分、エムレ・ジャンのミドルはわずかに右。リヴァプールの選手たちは積極的にシュートを狙っています。しかし14分、縦へのロングボール1本で、レッズは簡単に先制されてしまいました。ナサニエル・クラインを体で抑え、ワントラップボレーを決めたのはデヴィッチ。いきなりのビハインドですが、時間はたっぷりあります。巻き返しに入ったリヴァプールは19分、コウチーニョのFKをララナがバックヘッドで狙うもバーの上。直後にナサニエル・クラインが右からえぐったクロスは、わずかにオリギの後ろに出てしまい、シュートは枠を外れます。23分には、敵陣でインターセプトに成功したコウチーニョが、そのまま持ち込んで左足のシュート。アタックの数ではルビン・カザンを圧倒しています。

27分のピンチは、エムレ・ジャンが3度にわたって守備の対応を間違えたことが原因でした。敵陣でボールを奪われた瞬間、寄せるかパスコースを切るかが曖昧で、自陣に戻った後もアルベルト・モレノと2人で対応しながら中へのパスコースを切れず、ワンツーに棒立ちになってフリーのシュートを許しました。ここぞというときに多人数が一気に上がるクロップサッカーには、こういったプレイは大きなリスクです。31分から、コウチーニョとララナが続けてミドルを放ちますが、いずれもGKの正面。33分、左からのクロスを受けたゲオルギエフにフリーでボレーを打たれるピンチは、ミニョレがビッグセーブでしのぎ、1点差をキープします。

アウェイチームが望む展開だったゲームは、たった1分で世界が激変します。36分、エムレ・ジャンのドリブルに足をかけたSBクズミンが2枚めのイエローで退場。コウチーニョのFKに競り勝ったのはオリギでしょうか。落としたボールは左から詰めたエムレ・ジャンの目の前に落ち、イージーなボレーで同点に追いつきます。43分、ジョー・アレンの縦パスをオリギが落とし、コウチーニョがダイレクトのミドル。このプレイひとつとっても、リヴァプールが「シュートで終われるチーム」になったのがわかります。1-1の前半。クロップ監督は拍手をしながらロッカールームに消えていきます。

ジョー・アレンに代えてルーカスが入った後半のリヴァプール。47分、1度奪われたボールを素早く取り返し、前線にいたララナを走らせたシーンこそが、クロップサッカーの真骨頂でしょう。55分にはナサニエル・クラインが右サイドを完全に崩したものの、ラストパスを出す前に1拍入れたフェイントが裏目に出てCKに逃れられてしまいます。58分、コウチーニョの直接FKはポストの右。61分、ゴール前の混戦の外にいたコウチーニョにチャンスボールが出ると、これは決まった!と腰が浮くコースにシュートが転がりますが、DFが触ってまたもCK。リヴァプールは一方的に攻めながらも、なかなか勝ち越し点が奪えません。

63分、リヴァプールの最前線にこの男が帰ってきました。コウチーニョに代わったクリスティアン・ベンテケは、プレミアリーグ6節のノリッジ戦以来の登場です。レッズのシュートチャンスは、ゴール前に数を確保したルビン・カザンDF陣がことごとくCKにします。73分、右からのクロスに反応したベンテケは決められず。75分に左足で狙ったエムレ・ジャンもGKの正面。背番号9と同じく負傷から復帰したフィルミーノは、まだまだ動きが重く感じられます。80分、ララナからのパスを左でもらったベンテケのコントロールショットはファーのポストを直撃!リヴァプールは、攻めて攻めて攻め続けながらも、10人の相手から「もう1点」を奪えませんでした。1-1、ヨーロッパリーグでは3戦連続となるドロー。シオンがアウェイでボルドーに勝つという番狂わせがあり、2位との差を勝ち点4に引き離したため、レッズはルビン・カザンと再度戦うロシア遠征で負けるわけにはいかなくなりました。

正直に申し上げると、後半立ち上がりのリヴァプールを見たときは、2~3発決めて勝つのではないかと思っていたのですが、10人の相手にドロー狙いで引かれ、がんばられてしまいました。勝てなかった要因を挙げるとすれば、焦りからかクロスもシュートも不正確だったこと、終盤に横からのボールにこだわり過ぎたことでしょうか。33本のシュートで、枠内はわずか8本(出典/UEFA.com)。多くの時間でサイドを制しながらも、クロスをGKに取られたり、ニアでカットされるシーンが目立ち、なかなかいい形でシュートに持ち込めませんでした。クロスが上がる際には、ペナルティエリアにもう1枚入ってこないとコースが読まれやすく、ベンテケさえケアすればOKという対応をされてしまいます。

一方で収穫は、ロジャース監督時代よりもシュートに持ち込めるようになったこと、ボールを失った直後に奪い返すシーンが増え、最終ラインの手前で相手の攻撃を止められるようになってきたこと、ケガ人が戻ってきたことだと思います。コウチーニョを下げ、フィルミーノまで投入したのは、日曜日のプレミアリーグ、セインツ戦をにらんでの対応だったのでしょうか。今日のゲームを勝ちきることだけを考えるなら、背番号10は残しておきたかったところでした。

CLとELで、イタリアのクラブが2勝しかできなかった3節、プレミアリーグ勢もおつき合いして2勝で止まってしまいました。楽勝がないので、観ていると体力を使います。ひとくくりで語れるような「勝てなかった理由」はないのだと思われますが、全体的に「相手が嫌がることをできていない」「先にゴールを奪われるチームが多い」のが気になります。明日は、この3日間の激闘について、それぞれのクラブごとに冷静に振り返ってみたいと思います。すみません、観戦直後のレポートは、どうしても熱くなりがちでして…。

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“シュート33本で1ゴール…攻めて攻めて攻め続けたリヴァプールは、悔し過ぎるドロー!” への2件のフィードバック

  1. a より:

    >ワントラップボレーを決めたのはデヴィッチ
    一瞬、ヴィディッチかと思いましたw

  2. makoto より:

    更新ご苦労様です。
    ご指摘の通り相手が嫌がる攻撃がまだできていないですね。ベンテケ1人だと分かりやすいですね。
    ジャンは攻めは良かったですが、DFはまだまだ課題がありそうですね。
    勝利を欲しましたが、まだまだ発展途上でしょうかね。CL&ELは共にイングランド勢は頑張る必要があるので、今年はいつも以上力が入るのが分かります。

    —–
    aさん>
    惜しい!(笑)

    Mackiさん>
    ハイクロスだけでなく、ラインの裏に出してあげるなど、ベンテケの活かし方を増やせたらいいですね。攻撃が単調になってしまっていました。

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