イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

欧州激闘レポート~進化するEL勢、停滞のCL勢、プレミアリーグの地図は変わるか?

 「欧州激闘レポート~チャンピオンズリーグ敗退危機の3チーム、落ちるのはどこだ!?」より続きます。マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナルがチャンピオンズリーグ敗退の危機を迎えているなかで、プレミアリーグ勢で唯一グループステージ突破を決めたのはマンチェスター・シティ。ユヴェントスにクリーンシートで敗れた水曜日のゲームは、相手のほうが一枚上手だったと認めざるをえない内容。これではベスト8を見ずに大会から去ってしまうのではないかと懸念する向きもあるのかもしれませんが、彼らの未来はさほど暗くはないのではないでしょうか。ユヴェントス・スタジアムでの試合は、「アグエロが負傷明け、ダヴィド・シルヴァとコンパニという絶対的な主力抜き」だったわけで、微妙だったペジェグリーニ采配以外は気にしなくてもいいのではないでしょうか。

マンチェスター・シティがアーセナルに迫る勢いで負傷者を出しているのは確かですが、重傷はナスリだけ。この時期に軽度のケガ人が多数いることを前向きに捉えれば、「少し早めにウィンターブレイクを取ったようなもので、2月以降の疲労による失速を回避できる」ともいえそうです。プレミアリーグでレギュラーメンバーとして初めて戦うデブライネと、移籍は失敗だったといわれないようプレミアリーグ開幕から相当のハイテンションで走り続けてきたスターリングをどこかでうまく休ませることができれば、今季のチャンピオンズリーグはベスト8以上を狙えるチャンスだと思います。

懸念は、「緊張感の高いゲームでペジェグリーニさんが平常心の采配を振るえるか」です。セビージャ戦勝利以降の停滞は、主力の離脱が最大の原因ではあるものの、監督がチームをいじり過ぎている感があり、相手の戦い方や弱点を見据えた選手起用と戦術選択ができなければ、残念な負け方でチャンスをつぶしてしまうでしょう。顔ぶれだけでいえば、スペインの2強とバイエルンに次ぐレベルの戦力が揃っています。負傷者の復帰とともにコンディションを上げていただき、ベスト8といわず4強入りを実現してもらえればと期待しています。

さて、苦戦のチャンピオンズリーグ組に対して、リヴァプールとトッテナムはあっさりヨーロッパリーグのグループステージ突破を果たしました。日曜日に対戦するトッテナムについて、モウリーニョ監督が「素晴らしいチームだ。監督も選手もいい。安定しており、うまく戦っている。本当に、本当に、本当にいいチームだと思う」とリスペクトしておりましたが、いや、同感です。タウンゼント以外にくすぶっている選手がいないエネルギー効率のよさは、ポチェッティーノ監督が意識的に若手や控え選手にチャンスを与えている成果だと思います。1点しかリードがなかったカラバフ戦でも、相手に脅威はないと見切ると3枚の交代カードはキャロル、ヌジエ、オノマーです。今季も試行錯誤を強いられているファン・ハール監督には、ここまでの大胆さはありません。

アルデルヴァイレルトの獲得とエリック・ダイアーの中盤起用で中央の守備を安定させ、攻撃時には4人がペナルティエリアに殺到するのは当たり前となっている厚みのある攻撃。ハリー・ケイン、エリック・ダイアー、デル・アリ、エリクセンはミドルシュートを積極的に狙う意識が高く、移籍の噂があったデンベレとラメラをきっちり戦力として蘇生させています。ベンタレブとシャドリの負傷が癒え、ソン・フンミンとヌジエがよりフィットするようになれば、プレミアリーグNo.1の走行距離を誇るポチェッティーノサッカーが疲労で崩れるリスクは大きく減りそうです。ヨーロッパリーグで健闘が期待できそうなトッテナムは、プレミアリーグでも久しぶりのチャンピオンズリーグ出場権に手が届くかもしれません。

ダニー・イングスとジョー・ゴメスが今季絶望となり、エースのスタリッジがいつ戻ってくるかわからないという痛手を負いながら、リヴァプールのサッカーは確実にレベルアップしています。クロップ監督は、2-1で逆転勝利したボルドー戦で、ボールを持ち過ぎて間接FKを取られるというエラーを犯したミニョレを試合後にすぐさまねぎらっていました。記者会見では、質問がとぎれた際に、司会に対して「あなたはこのくらい待つのは大丈夫なの?ミニョレよりも長い時間待てるんだね」とジョークにしてしまうなど、チームに明るさをもたらすセンスはさすがです。コウチーニョとシュクルテルを欠いての完勝は、手応え充分だったでしょう。ヘンダーソン、ロシター、サコ、フラナガンが年内に続々と復帰してくるクロップ監督のチームは、コンディショニングを間違えなければ年明けは相当やれるのではないでしょうか。

ナポリ、ドルトムント、ビジャレアルは強そうですが、レッズとスパーズにはヨーロッパリーグ優勝をめざして万力込めて戦っていただければと思います。ベスト4なら、決してない話ではないでしょう。あまり乗り気ではないのですが、赤いチームが援護射撃に伺うかもしれませんので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。

コンセプトが明確なので、選手が多少入れ替わってもクオリティが落ちにくくなったELの2チームと、個人力への依存が高いために主力がいないとレベルダウンしがちで、オプションが少ないCLの停滞組。伸びしろがあるリヴァプールとトッテナムがさらにレベルを上げてくれば、プレミアリーグの勢力地図は大きく塗り替わるかもしれません。現状戦力の調子が上がる以外にプラス材料が見えにくいチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドは、指揮官も選手もフレッシュな彼らに対抗できるでしょうか。巻き返し策として1月の大物獲得という劇薬はありますが、どうも出物が少ないようで、しょっぱい市場になりそうな予感が…。(ユルゲン・クロップ 写真著作者/Titô)

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“欧州激闘レポート~進化するEL勢、停滞のCL勢、プレミアリーグの地図は変わるか?” への2件のフィードバック

  1. ルタレック より:

    前にベンさんがCLでグループ突破してすぐ負けるよりELで勝ち上がったほうがポイントを稼げると言っていたのでプレミア勢でELに押し寄せてポイント荒稼ぎも個人的には面白いと思っています。

  2. makoto より:

    ルタレックさん>
    リアリティでいえば、そうなんですよね。昨季のイタリアのように。ロマンがない話ではありますが。

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