イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

復活、チャーリー・オースティン!サウサンプトンがスパルタ・プラハを圧倒して34年ぶりの欧州勝利!

吉田麻也が、プレミアリーグ開幕戦以来の先発です。ヨーロッパリーググループステージ開幕節、サウサンプトンVSスパルタ・プラハ。GKフォースターとファン・ダイク、フォンテを中心とした堅守を武器に、昨シーズンは6位に食い込んだセインツが、今季のプレミアリーグでは2分2敗の18位と出遅れています。ペッレ、サディオ・マネ、ワニャマがチームを離れたのが痛かったのか、ピュエル新監督のチームづくりがうまくいっていないのか。本拠地セント・メアリーズで戦う欧州初戦で今季初勝利を挙げ、その勢いをプレミアリーグに持って帰りたいところです。GKフォースター、4バックはクコ・マルティナ、吉田麻也、ファン・ダイク、マット・ターゲット。中盤にはロメウ、ウォード=プラウズ、ホイビュルク、タディッチが並び、シェーン・ロングとチャーリー・オースティンの2トップ。チェコの名門には、アーセナルで10年を過ごしたトマシュ・ロシツキがいません。キックオフから攻める姿勢を鮮明に打ち出していたセインツは、開始4分にいきなりPKをゲットしました。

右から突破したチャーリー・オースティンがクロスを上げると、ボールは飛び込んだナモイネスの肘に当たります。CKでゲームが再開されるかと思いきや、副審に確認を取った主審が指差したのはPKスポット。至近距離からのボールをハンドとは厳しい判定ですが、セインツの選手は淡々とPKの準備を…いえ、ボールを置いたチャーリー・オースティンに、タディッチが激しく抗議しています。おそらく、「オレが蹴ることになってただろう」といっているのでしょう。ファン・ダイクがタディッチを宥め、羽交い絞めにして引き離さなければゲームは再開しませんでした。チャーリー・オースティンは落ち着いて左隅に蹴り込み、ホームのセインツが先制です。

8分には、右からのFKを吉田麻也がヘッド。10分のCKはファン・ダイクが高い打点で頭を振りますが、いずれも枠を捉えられません。どうやら空中戦はサウサンプトンにアドバンテージがあるようです。13分、プラハの反撃。右サイドを突破したフリデクが速いグラウンダーをニアのユリシュに合わせますが、吉田麻也が滑りながらコースに入ってシュートを許しません。直後、縦パス1本でチャーリー・オースティンが裏を取りかけるも、GKコウベクがボックスを出てクリアし、難を逃れます。15分を過ぎると、縦を急ぎ過ぎるセインツの攻撃はことごとくカットされ、プラハがペースを握ります。バーハの2度のグラウンダーは、今やチームになくてはならない大黒柱ファン・ダイクが冷静にクリア。18分に左からのクロスをニアのカドレツがボレーで狙ったシーンは、吉田麻也が寄せなければいけません。

26分、右からのクロスを倒れ込みながら枠に押し込んだチャーリー・オースティンは、ラインを見て1度引いていただけに、オフサイドの判定に不満そうです。しかしそれから1分もしないうちに、セインツの10番がこの日の2点めを奪います。クロスを弾かれたリバウンドを自ら拾い、アウトにかけてファーに上げたクコ・マルティナのプレイに鳥肌が立ちました。チャーリー・オースティンが、GKの位置を見て脇にヘディングシュートを叩きつけると、コウベクは触るのが精一杯。ボールはネットに転がり、セインツサポーターの歓喜の叫びが鳴り響きます。2014-15シーズンにQPRでプレミアリーグ18ゴールを挙げた男は、欧州の大会のピッチを自分の庭のように手のうちに入れています。

昨季のプレミアリーグで、アントニー・マルシアルにバックパスをさらわれたことを今もサポーターにいじられている吉田は、今日も危険なバックパスをフォースターにクリアしてもらい、地元サポーターをどよめかせています。前半の2-0は、セインツにとっては大満足の折り返し。後半開始当初はプラハの攻撃を受けたものの、徐々に自分たちのペースに持ち込んでいます。53分には、右サイドでクコ・マルティナの縦パスをもらったタディッチが、中に斬り込んでシュート。昨季のプレミアリーグで10ゴールを挙げ、ペッレがリタイアしてもその不在を感じさせなかったシェーン・ロングは、ボールが足につかず「Not his day」のようです。58分から続いたプラハのFKとCKはセインツ守備陣がはね返し、2点のギャップは変わりません。

67分、ドリブルで中央に進路を取ったカドレツのシュートがブロックされると、リバウンドをダイレクトで叩いたラファタの強烈な一撃はフォースターがセーブ。前線からプレスをかけ続け、前でボールを奪っているセインツは、うまく時間を遣っています。残り20分でタディッチが下がり、新戦力のネイサン・レドモンドが登場。73分にホイビュルクが自陣から仕掛けたカウンターは3対1の形になりましたが、タッチミスで焦ったホイビュルクの強引なヒールパスがレドモンドに届かず、セインツは絶好機を逃します。76分、2ゴールのチャーリー・オースティンはジェイ・ロドリゲスに交代。79分に左サイドを完全に崩したカドレツは、ロメウの必死のスライディングで止まりました。

82分にホイビュルグのスルーパスで最終ラインの裏を取ったクコ・マルティナは、入りが遅い中を咎めるくらいなら自分で打ってもよかったでしょう。直後のCKで吉田麻也がホレクに倒されますが、笛は鳴らず、サポーターが騒然としています。ラスト5分を切りました。もう勝利は間違いないでしょう。セインツの欧州での勝利は、1981-82シーズンにELの前身となるUEFAカップでアイルランドのリムリックに勝って以来、34年ぶりとなります。92分、セインツはカウンターからの3点めで勝利を祝福しました。左サイドを走り、ロメウと代わったばかりのスティーブン・デイヴィスからパスをもらってグラウンダーを入れたのは、シェーン・ロング。ノーマークで巧みなボレーを流し込んだのは、途中出場のジェイ・ロドリゲスです。

3-0の完勝に、サポーターの拍手が鳴りやみません。素晴らしい勝利でした。フォンテ、バートランド、レドモンドをベンチスタートとしたピュエル監督のチームは、ターンオーバーでクオリティを下げることなく、スパルタ・プラハを終始圧倒しました。前半2ゴールのチャーリー・オースティンに加えて、ファン・ダイクのポジショニングと統率力、ホイビュルクのパスセンスが目を引きました。このチームが、プレミアリーグのホームゲームでサンダーランドに勝てなかったのが信じられません。次戦の相手はスワンズ。カドレツを抑えきれなかった吉田に代わってフォンテが戻ってくる週末は、プレミアリーグでも今季初めての勝ち点3を手に入れるのではないでしょうか。スタジアムにいたら、お金を返してくれといいたくなる2時間前の退屈なゲームを忘れさせてくれる快勝劇でした。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“復活、チャーリー・オースティン!サウサンプトンがスパルタ・プラハを圧倒して34年ぶりの欧州勝利!” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    セインツ戦観られませんでしたが、EL本戦での勝利は大きいですね。リーグ戦は不調ですが、ELとの両立が負のスパイラルにならなければと、、、面白いチームだけにやや心配してしまいます。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    大きな勝利だと思います。CBやアタッカーなど、選手層が厚くないので、プレミアリーグとの兼ね合いをどうするのかがキモですね。

コメントを残す