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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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完璧なオーバーヘッドとFKを喰らったマンチェスター・ユナイテッドは、主力総動員で完敗!

プレミアリーグで8位に沈んでいるマンチェスター・ユナイテッドは、ヨーロッパリーグでメンバーを大きく変えてきました。2勝1敗で迎えた4節のフェネルバフチェ戦は、キャプテンのルーニーがトップに返り咲き、左右にマルシアルとラシュフォード。エレーラとポグバがインサイドMFに入り、シュナイデルランがアンカーの4-3-3という布陣でしょう。バイリーとスモーリングがいない最終ラインは、ルーク・ショー、ダルミアン、ブリント、ロホ。ベンチにはイブラヒモヴィッチとムヒタリアンが控えています。サポーターが熱いことで有名な敵地シュクル・サラコグルで、モウリーニョ監督と選手たちは浮上のきっかけをつかめるでしょうか。

慎重に入ったはずのモウリーニョ監督のチームは、またもやゲームプランを崩されます。開始2分、プレミアリーグ9節のチェルシー戦の悪夢を思い出させる衝撃のゴール。左SBカルディリムのクロスを完璧なオーバーヘッドで叩き込んだのは、ムサ・ソウです。左隅にきれいにおさめられては、名手デ・ヘアもどうしようもありません。マンチェスター・ユナイテッドは、早い時間にイーブンに戻したいところ。ボールを支配するアウェイチームには、トルコ名物の容赦ないブーイングが叩きつけられています。

ラシュフォードのミドルが左に外れた後、フェネルバフチェは追加点を奪うべく、右サイドを執拗に突いてきます。12分、シュナイデルランがイェレマイン・レンスを倒したボックス右からのFKは、メフメト・トパルのヘッドが左に外れます。アドフォカート監督とともにサンダーランドから来たアタッカーは、プレミアリーグで戸惑っていた頃が嘘のように積極的にドリブルで仕掛けてきます。18分、マン・ユナイテッドに痛いアクシデント。自陣で倒されたポグバは腿を痛めたのか、ゲームに参加できず左足を引きずっています。21分、中央のマルシアルからのラストパスでルーニーがGKと1対1になりかけますが、トラップが大きくシュクルテルにクリアされてしまいました。23分、ドリブルで左から上がり、ミドルを放ったポグバは足の痛みに飛び跳ねています。

24分、左からのクロスをレンスがヘッドでスライドさせると、ボールは右ポストの外。ああ、やはりポグバはプレイ続行不可能。29分に自分からピッチを去り、代わって入ったのはイブラヒモヴィッチです。33分、敵陣で奪ったボールをズラタンが右のラシュフォードに預けると、ラシュフォードがゴールライン際から折り返したグラウンダーはズラタンに届きません。マンチェスター・ユナイテッドの選手たちは苛立ちを募らせ、接触プレイの後の口論でしばしばゲームが止まります。前半終了間際に右のポトクが上げたロングクロスは、ブリントに競り勝ったムサ・ソウのヘディングが浮いて助かりました。前半は1-0、マンチェスター・ユナイテッドのシュートはわずか2本。プレミアリーグで3試合ノーゴールのアウェイチームは、ブーイングが鳴りやまないピッチで苦しげに沈黙を続けています。

モウリーニョ監督は、ハーフタイムにシュナイデルランを下げてマタを投入しました。サイドでボールをキープした後が続かず、マンチェスター・ユナイテッドはシュートを打てるエリアにパスを入れられません。54分にマルシアルが左から浮かしたボールを中央のルーニーが頭で滑らせるも、ファーのズラタンは飛び込めず。マルシアルが左から突破した56分のチャンスは、クリアを拾ったズラタンがマタに落としますが、ダイレクトの一撃は右に外れます。59分、フェネルバフチェに決定的な2点めが入りました。短い助走から右足を振り抜いたイェレマイン・レンスのFKは、鋭く曲がって外から右隅に飛び込む素晴らしい弾道。デ・ヘアは一歩も動けず、シュクル・サラコグルに歓喜の叫びが爆発します。モウリーニョ監督が早々に切った3枚めのカードは、ラシュフォードをムヒタリアン。プレミアリーグのマンチェスターダービー以来のアタッカーは、久しぶりのチャンスで結果を残すことができるでしょうか。

69分、フェネルバフチェのカウンター。右からのクロスで入ったばかりのエメニケが抜け出し、デ・ヘアと1対1になるもGKが足でブロック。ホームでは4-1で勝ったマンチェスター・ユナイテッドは、直接のライバルに得失点差で並ばれるわけにはいきません。75分、ムヒタリアンのミスからエメニケに強烈なミドルを喰らい、デ・ヘアが必死のセーブ。78分にもホームチームのカウンターでマン・ユナイテッド守備陣が混乱し、レンスのグラウンダーをスライディングで押し込もうとしたエメニケは、手前で浮かなければ決めていたはずです。ボールを奪われたとき、取り返しにいくことも素早く戻ることもない緩慢なマン・ユナイテッドは、出会いがしらの事故のようなパーフェクトな2発とポグバの負傷を嘆く前に、3-0、4-0にされなかったことに安堵するべきでしょう。

89分、枠内シュート1本のチームが、ミドル一発でゴールを奪います。左隅に文句なしの強烈なミドルを叩き込んだのは、ウェイン・ルーニー。プレミアリーグ開幕戦以来のゴールは、次につながる唯一の光でした。終了間際のCK3回は、ルーニーのヘッドとエレーラの強烈なシュートをカットされ、タイムアップ。あまりに素晴らしかった3つのゴールシーンは、ニュートラルなファンなら大満足でしょう。マンチェスター・ユナイテッドはフェネルバフチェにかわされ、グループ3位に転落しましたが、オールド・トラフォードのフェイエノールト戦に勝てば決勝トーナメントには行けそうです。しかし…。

問題は、「どうやってこの停滞から抜け出すか」です。バレンシア、バイリーに続いてポグバまで欠くとなれば、今季のヨーロッパリーグどころか来季のチャンピオンズリーグまで年内に諦めなければならなくなるかもしれません。ズラタンの復活を待つならマタを主軸に固定した4-3-3継続、4-2-3-1で戦うならCFラシュフォードでマタをトップ下がいいと思いますが、いかがでしょうか。いずれにしても、背番号8のゲームメーカーを出したり引っ込めたりせずに、軸をはっきりさせて攻撃のスタイルを構築するのが最重要なのではないかと思います。ズラタンとルーニーがいいときのフォームを取り戻し、ミキがチームになじめば、ポグバ抜きとなってもそれなりに戦えるはずです。12年前にラニエリ監督の後を継いでチェルシーを率いたモウリーニョ監督が、「ティンカーマン」というよろしくないニックネームまで引き継がないことを祈ります。

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“完璧なオーバーヘッドとFKを喰らったマンチェスター・ユナイテッドは、主力総動員で完敗!” への2件のフィードバック

  1. yuto より:

    いつも楽しい記事をありがとうございます。
    ゴールシーンはすべてがスーパーなものばかりで結果は仕方ないと思っています。
    しかしこのユナイテッドの停滞感は辛いですね。
    攻撃は選手がバラバラの印象で、ルーニーのスーパーミドルも有力なパスコースもないために撃って入ったとも受け取れるような・・・

  2. makoto より:

    yutoさん>
    動いてないわけではないんですが、かみ合ってないですね。ハブになれるマタがいないと、ミドルとロングクロスばかりのモイーズ時代を思い出させるチームになってしまいます。

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