偏愛的プレミアリーグ見聞録

アーセナルが望外のグループステージ首位通過に沸いた夜、グループCではマンチェスター・シティが静かに最後の試合を終えました。消化試合となったシティ・オブ・マンチェスターでのセルティック戦は、若手の成長を確かめるためのゲーム。アダラビオヨ、マフェオ、サネ、イヘアナチョがスタメンに抜擢され、プレミアリーグのチェルシー戦における退場で4試合出場停止のアグエロはベンチスタートです。マンチェスター・シティのサポーターにとっては、この試合にはもうひとり、気になるヤングスターがいました。セルティックにレンタル移籍中のパトリック・ロバーツです。

ビルドアップのボールをさらわれ、カバジェロがボックスから飛び出してクリアするなど不安定な立ち上がりとなったホームチームは、4分にもカバジェロのキックをぎりぎりでトラップしたサネがボールロスト。これを右サイドで受けたのがロバーツでした。「イングランドのメッシ」は、ドリブルでクリシーをかわしてボックスに侵入すると、左足を振り抜いて先制点をゲット。最下位が確定しているブレンダン・ロジャース監督のチームがリードしますが、4分後にマン・シティが追いつきます。ギュンドアンがノリートにつなぎ、スルーパスを受けたイヘアナチョが持ち込んで決めた速攻は、縦、縦と続いた2本のパスが鮮やかでした。

マン・シティは、自陣でのボールロストやプレスをかいくぐられるシーンが目立ち、負けてもおかしくない試合でしたが、デンベレ、グリフィス、スティーブンの決定的なシュートがことごとく外れて1-1のままドロー決着。キックの精度が低かったカバジェロは、セービングは素晴らしかったと思います。これで決勝トーナメント進出チームが、14まで出揃いました。プレミアリーグ勢は、トッテナムを除く3チームが勝ち抜けを決めています。パリを逆転して首位通過となったアーセナル、バルサに次ぐ2位のマンチェスター・シティ、ひと足先にグループ1位が確定しているレスターは、どこと当たる可能性があるのでしょうか。

■アーセナルの対戦相手候補
ベンフィカ、バイエルン・ミュンヘン、レヴァークーゼン、ドルトムントorレアル・マドリード、ポルトorコペンハーゲン、ユヴェントスorセヴィージャorリヨン

■レスターの対戦相手候補
パリ・サンジェルマン、ベンフィカ、バイエルン・ミュンヘン、レヴァークーゼン、ドルトムントorレアル・マドリード、ユヴェントスorセヴィージャorリヨン

■マンチェスター・シティの対戦相手候補
ナポリ、アトレティコ・マドリード、モナコ、ドルトムントorレアル・マドリード、ユヴェントスorセヴィージャ

アーセナルはコペンハーゲン第1希望で、ベンフィカ、ポルト、レヴァークーゼン、リヨンならまずまず。セヴィージャとポルトが順当に2位以内を決めた場合は、戦いやすい相手を引く確率は50％です。プレミアリーグで3勝4分7敗と沈み、参加32クラブのなかで国内最下位のレスターにとってはどこも強敵ですが、ベスト8進出の可能性が上がるのはポルト、レヴァークーゼン、リヨン。セヴィージャとユーヴェはどちらも避けたいので、リヨンが敗退すれば幸運の確率は33％です。グループステージが楽だったぶん、アーセナルより条件が厳しくなっていますが、しばらくは戻ってこられないであろう晴れの舞台で、バルセロナやレアル・マドリードと夢のガチンコ勝負をするのもいいかもしれません。昨季プレミアリーグでCL出場権獲得が決まった際に、「Barcelona, we’re coming for you」とチャントしていたサポーターにとっては、本拠地で本気のメッシを観られるのは感無量でしょう。

2位通過のマンチェスター・シティは、うーん、全部回避したくなります。比較的与しやすいのはナポリ、モナコでしょうか。1位通過組は、アトレティコ・マドリードとドルトムントを除けば今季好調のクラブばかりですが、ペップはCL常連のマドリード勢とドイツは避けたいでしょう。こうして見ると、アーセナルの首位通過は大ヒットです。チャンピオンズリーグ2016-17決勝トーナメント、ラウンド16の組み合わせ抽選は日本時間の12月12日20時。「UEFA.com」でライブストリーム配信があります。いやー、今から緊張しますね！