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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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スタンドにはカンテ…優勝メンバーが全員揃ったレスターが、セヴィージャを撃破してベスト8進出!

シュマイケル、シンプソン、フート、ウェズ・モーガン、フクス、ドリンクウォーター、エンディディ、マフレズ、オルブライトン、岡崎慎司、ジェイミー・ヴァーディ。チャンピオンズリーグのセヴィージャ戦を本拠地キングパワーで戦うレスターは、プレミアリーグ優勝を成し遂げた昨季のレギュラーメンバーを10人揃えました。いないのは、移籍したカンテだけ。いや、もうひとり、忘れてはならない人物がいます。クラウディオ・ラニエリにはここにいてほしかった…。シェイクスピア体制になったからこその原点回帰ではありますが、前年残留争いをしていたチームを頂点に導いた名将がいないことに寂しさを禁じ得ません。

2月22日に行われたファーストレグは、セヴィージャが2-1で勝利。その後の両者は、対照的な道を歩んできました。レスターは、プレミアリーグのリヴァプール戦とハル・シティ戦をいずれも3-1で連勝。ジェイミー・ヴァーディが2発決めて優勝争いに残ろうとしていたレッズを粉砕すると、ハル・シティとの残留シックスポインターでは、リヤド・マフレズが今季プレミアリーグで初めてPK以外でゴールを奪いました。一方のセヴィージャは、格下アラベスと残留争いのレガネスに1-1の連続ドローで首位争奪戦から脱落。「こんなパフォーマンスでは、チャンピオンズリーグを勝ち抜くのは困難だ」と、サンパオリ監督は不調を認めており、最悪のタイミングで大事な試合を迎えることになりました。レスターのおとぎ話は続くのか、セヴィージャが地力の違いを見せつけるのか。サポーターの大歓声に押されるように、レスターは立ち上がりから積極的にプレスをかけています。

4分、最初の決定機はアウェイのセヴィージャ。サラビアからの縦パスを受けたナスリがウェズ・モーガンを右にかわし、ニアを狙った強烈なシュート。シュマイケルが左手に当ててCKに逃れますが、清武弘嗣から出場機会を奪ったトップ下には要注意です。執拗に敵陣から追いかけていたレスターは、9分にヴァーディがもらったFKをマフレズが中へ。岡崎慎司の振り向きざまのシュートはDFのブロックに阻まれますが、ここまでの彼らはプレミアリーグを制したあのチームです。焦りからか、パスミスが目立つセヴィージャ。17分にラミが蹴った直接FKは大きく上に外れ、ナスリはイエローカードをもらいました。20分を過ぎても、レスターがポゼッションで上回っています。

21分、セヴィージャの速攻。右に流れたイェデルが横にパスを通すと、サラビアの左足シュートはポストの脇に切れていきます。中盤で競り勝つシーンが多いレスターは、27分、左サイドでヴァーディが取ってくれた2度めのFKから先制ゴールを奪います。マフレズのFKはファーサイドへ。メルカドが触れなかったボールをウェズ・モーガンが執念で膝に当てると、GKリコの左手は届きませんでした。これで目が覚めたか、セヴィージャが波状攻撃。ドリンクウォーターのクリアをエスクデロがヘッドで前につなぐと、イェデルの右足シュートはニアポストの右に逸れていきます。サイドを2人でカバーし、クロスを入れさせない守備は昨季のレスターそのものです。

40分に敵陣の左サイドで再三相手ボールを奪い、ボックスに入ったフクスが粘った攻撃は、シュートが弱くなりリコがキャッチ。43分にヴァーディが右サイドを走ったカウンターは、岡崎慎司へのラストパスが合わず、クリアを拾ったエースのシュートは右に外れます。前半は1-0。ナスリの持ちすぎが目立ったセヴィージャは、ダイレクトパスを使うなどでサイドでフリーになるシーンを創れなければ、中が厚いレスター守備陣に捕まります。

サンパオリ監督は、ハーフタイムにサラビアとメルガドを下げ、マリアーノとヨヴェティッチを投入。後半開始からしばらくは、セヴィージャのペース。右サイドを執拗に攻めるアウェイチームに対して、レスターは岡崎慎司までがゴール前に戻っています。52分、右サイドから仕掛けたナスリの左足シュートは、強引過ぎました。53分、エスクデロがアウトにかけた超ロングシュートがクロスバーにヒット。フォローしたイェデルは、フリーの左足シュートを打ち上げてしまいます。54分、何と何とレスターに追加点。フクスのロングスローを岡崎慎司がバイタルエリアに持ち込み、シュートを放つとこぼれ球は右のマフレズへ。クロスのクリアを拾ったオルブライトンが迷いなく放った左足シュートに、リコは一歩も動けませんでした。

苦しくなったアウェイチーム。ナスリとエンゾンジの元プレミアリーグコンビが創る中盤は足元へのパスばかりで、60分を過ぎてもヨヴェティッチは完全に消えています。プレスをかけ続けた岡崎慎司は、63分にイスラム・スリマニに後を譲ります。拍手が鳴りやまないキングパワー。レスターにもう1点入れば、ベスト8に近づきます。67分、スリマニとヴァーディが敵陣右サイドでボールを奪取したチャンスは、速いクロスをリコが弾いた後、ヴァーディがフリーのボレーをミスしてしまいました。イェデルをコレアに代えたサンパオリ監督は、猛攻を仕掛けてイーブンに戻したいところです。しかし…。

一方的に攻めていたセヴィージャ。73分、ボックスの右に流れたコレアにビトーロから絶妙な縦パスが通ると、11番の強烈なシュートはシュマイケルがビッグセーブ。ボールをまわし続けていたセヴィージャのなかで、ひとりだけ立ち止まった選手がいました。ヴァーディに頭突きを喰らわせたナスリが、2枚めのイエローで退場!これで終わったかと思われた勝負は、78分にクライマックスを迎えます。ヨヴェティッチのスルーパスでビトーロがラインの裏に出ると、飛び出したシュマイケルにシュートが当たってフートがクリア。すかさず笛が鳴り、ジャッジはPKです。キッカーはエンゾンジ。シュマイケルは、ファーストレグでコレアを止めています。右に蹴ったボールはコースが甘く、またしてもレスターの守護神がセーブしました。

83分、いるべき場所から離れて叫んでいたサンパオリ監督が退席処分。86分、フクスのロングスローを受けたオルブライトンがダイレクトで見事なクロスを入れますが、ゴールの真ん前でフリーだったヴァーディはGKの正面にヘディングしてしまいました。88分、マフレズとヴァーディが2対1になったカウンターは、ラストパスをもらってリコと1対1になったヴァーディが打ち上げるミス。シェイクスピア監督はマフレズを下げ、アマーティを中盤に入れて逃げ切りを図ります。CKを叩いたコレアのボレーは枠にいきませんでした。2-0、レスターが逆転でベスト8進出!3週間前までプレミアリーグ降格危機に瀕していたチームが、昨季のサッカーを思い出してスペインの強豪を下しました。

チャントが鳴り響くキングパワー。今日のMVPは、声を切らさず選手を鼓舞し続けたサポーターでしょう。先制ゴールを決めたウェズ・モーガンは、昨季プレミアリーグでともに戦った11人めのメンバーを指差しています。スタンドに、エンゴロ・カンテがいます!内気なセントラルMFは、彼らしく控えめにOKのジェスチャーをしています。スランプに苦しんでいたキャプテンと出番が減ったサイドアタッカーのゴール、しつこい守備が戻った両SB、2点めのきっかけを創った岡崎慎司…今季いちばん涙腺が緩んだゲームでした。2017年3月14日、イングランド中部の歴史ある街に、忘れられない歴史がもうひとつ刻まれました。

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“スタンドにはカンテ…優勝メンバーが全員揃ったレスターが、セヴィージャを撃破してベスト8進出!” への2件のフィードバック

  1. おはむ より:

    強いレスターを思い出す、感動した試合でした。しかし、ラニエリはなぜこのサッカーに納得できなかったのか、非常に不思議ですね

  2. makoto より:

    おはむさん>
    もっと強くなろう、チャンピオンズリーグとプレミアリーグを同時に戦えるようになろう、とがんばったのでしょうね。

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