ローマに3-0完敗のチェルシーは、アトレティコ・マドリードのドローで半歩前進!
しかしキックオフからわずか1分、昨季プレミアリーグ王者はローマにゴールを許してしまいました。20秒過ぎにバカヨコのパスからペドロが縦に突破を図ったときは、アウェイチームがいきなりゴールかと腰が浮いたのですが、カットした後のボールをコラロフが左サイドから持ち込み、ジェコをめがけてロングフィード。ヘッドで後ろに落としたボールに走り込んでパーフェクトなボレーを叩き込んだのは、エル・シャーラウィでした。劣勢に立たされたチェルシーは4分、セスクのパスでラインの裏に出たアザールが独走。今度こそ決めるかと思われたチャンスは、背後から迫ってくるDFを気にした10番が工夫のないシュートをGKアリソンにぶつけてしまいます。
プレミアリーグでは力を発揮できなかったファシオとジュアン・ジェズスのコンビは、裏へのボールに対して後手を踏むことが多く、チェルシーの3人ならすぐに崩せるのではないかと思っていました。しかし10分を過ぎるとローマがゲームをスローに落とし、チェルシーは開始当初の縦に速い攻撃に入れません。20分、ドリブルで上がったアザールがボックスのコーナーに入ると、切り返しからファシオをかわして放ったシュートはアリソンの正面。アスピリクエタの右サイドを執拗に攻めてくるローマは、クロスを入れる寸前でダヴィド・ルイスに止められています。24分の速攻は、ペドロのパスを中央で受けたアザールが反転して打つと、これもGKがキャッチ。敵陣深くでコラロフのキックをペドロがカットし、こぼれ球がゴール右にいたモラタに出た決定機は、プレミアリーグ6ゴールのエースが焦ったのか打ち上げてしまいました。
35分、ダヴィド・ルイスがトラップミスをジェコに拾われ3対2の形に持ち込まれるも、エル・シャーラウィの2本のシュートはクルトワとマルコス・アロンソがブロックします。CKの後、左サイドから前線に長いボールを送ったのはナインゴラン。リュディガーがクルトワにまかせようとすると、裏にはアスピリクエタを引き連れたエル・シャーラウィがいました。GKの前で軽くタッチしたボールがゴールに転がり2-0。痛い失点を喫したチェルシーは、前半のうちに1点でも返そうと攻勢に転じますが、アザールのパスをもらったマルコス・アロンソの丁寧なシュートはアリソンがセーブ。CKをジャストミートしたバカヨコのヘッドは左に外れてしまいます。
後半は、チェルシーが猛攻を仕掛けてくるのではないかと期待していたのですが、ローマの中盤の寄せが的確で、アウェイチームのボールはなかなか前につながりません。54分、ペロッティ、エル・シャーラウィと渡り、左のジェコにつながったチャンスは、左足のシュートが枠を外れます。コンテ監督は、57分にケーヒルをウィリアン。WBのアスピリクエタを3バックに下げ、ウィリアンの突破力でサイドを崩す狙いでしょう。しかし、標的とした右サイドは、アスピリクエタのフォローがなくなったことからペドロがペロッティにやられ始め、自軍のウィークポイントと化します。63分、セスクが自陣でコラロフにパスをカットされ、ペロッティにボールが渡ると、ペドロをちぎった8番にセスクもチェックに行けず、CBがいく前にミドルをニアに叩き込まれます。
68分、ローマのカウンターで、ジェコに3バックが全員いったにも関わらずコースも切れず、左のペロッティにノーマークで打たれるピンチ。昨季プレミアリーグで憎らしいほどの堅さを見せた守備陣が、これほどの判断ミスをするシーンは見たことがありません。負傷者が発生したことによる試行錯誤の配役が、チェルシーの選手たちをナーバスにしているのかもしれません。失点は、中盤を省略するロングフィードという弱点と、今までならカンテとヴィクター・モーゼスがいてくれたエリアを崩されてのミドル。マノラスの至近距離からのヘッドをクルトワが止めなければ、チェルシーは4点差で敗れていたでしょう。
サイドを封じられたため、攻撃は中に寄ることが多く、スペースを創れないパス回しは人数を足されると簡単に止められてしまいました。3失点はともかく、さほど強固ではなかったローマのCBを破れずにクリーンシートを許したのが気になります。今日のチェルシーは、攻守ともプレミアリーグを制したあのチームではありませんでした。
完敗の後、チェルシーに朗報が舞い込んできました。アトレティコ・マドリードがホームでカラバフにドローです。これによって、チェルシーは次節のカラバフとのアウェイゲームに勝てば、グループリーグ突破決定。引き分けても、最終節のスタンフォード・ブリッジでのアトレティコ・マドリード戦で負けなければOKです。彼らに必要なのは、この完敗を忘れること。プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド戦で、今日のような試合を繰り返すわけにはいきません。
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