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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

クロップのヘヴィメタルフットボール炸裂!強引な3発と完璧な守備でマン・シティに圧勝!

アンフィールドは、いい雰囲気です。チャンピオンズリーグ2017-18シーズン準々決勝、プレミアリーグ対決となったリヴァプールVSマンチェスター・シティ。クロップ監督のチームはマティプ、ジョー・ゴメス、クラヴァンとCBに負傷者が続出しており、プレミアリーグ首位チームはアグエロが不在。両チームのスタメンを見てみましょう。レッズのGKはロリス・カリウス。アーノルド、デヤン・ロブレン、ファン・ダイク、ロバートソンの最終ラインに、ミルナー、ヘンダーソン、チェンバレンの3センター。前線はもちらんフィルミーノ、マネ、サラーです。マン・シティはGKエデルソン、DFカイル・ウォーカー、オタメンディ、コンパニ、ラポルテ。フェルナンジーニョ、ダヴィド・シルヴァ、デブライネはいつもの3枚。左右にギュンドアンとサネが入り、真ん中にガブリエウ・ジェズスです。開始早々からマンチェスター・シティがポゼッションを主張。ホームチームの守備陣はボックスに押し込まれています。

5分を過ぎ、ようやくハーフラインを越えられるようになったレッズは、12分に鮮やかなカウンターを決めました。アーノルドが縦パスでサラーを走らせると、プレミアリーグ得点王はボックス右に流れたフィルミーノにフィニッシュを託して中央へ。切り返しからのフィルミーノのシュートはエデルソンがストップしますが、リバウンドに先着したブラジル代表が左にいたサラーにプッシュし、得意の左足の容赦ないシュートがネットに突き刺さります。直後、お返しとばかりにカウンターからサネが単独突破を図りますが、クロスに放ったシュートはポストの外。マン・シティは前線へのフィードが通らなくなり、20分を過ぎてもシュートチャンスを創れません。

アレックス・オックスレイド=チェンバレンのスーパーショットが左隅に刺さったのは21分でした。左サイドからのフィルミーノのアタックがつぶされ、こぼれ球をミルナーが中に送ると、セントラルMFは迷わず右足一閃。プレミアリーグ23節のマン・シティ戦で先制ゴールを決めた24歳は、水色のシャツにいいイメージを抱いているようです。2-0とされたマン・シティは、焦る必要はありません。アウェイゴールが1発決まって2-1で帰れれば、エティハドで心理的に優位に立つのは彼らでしょう。しかし31分、サラーの仕掛けからリヴァプールが3点めを奪います。右から持ち込み、シュートをコンパニにブロックされるとレフティはすかさず方針変更。逆サイドに浮かした柔らかいボールがフェルナンジーニョとカイル・ウォーカーの間に通り、マネが叩きつけたヘディングシュートにエデルソンはノーチャンスでした。

プレミアリーグ最強チームが、これだけシュートを打てない試合は観たことがありません。左サイドから再三押し込むロバートソンが40分にオーバーラップすると、ファン・ダイクがゴール前に入ろうとしています。マン・シティがボールをまわすと、アンフィールドはブーイング。この空気のなかにスターリングを投入するのは勇気が要ります。オタメンディのミドルが左に切れ、FKに競り勝ったファン・ダイクのヘッドが右に流れると、間もなくハーフタイム。最初の45分は、圧倒的なレッズの時間です。ペップは、このピンチをどう打開するのか。複数のフォーメーションを自在に操る名将の采配に注目です。

50分、ダヴィド・シルヴァが左から蹴ったCKをコンパニがヘディング。サラーは股関節を痛めたのか、ピッチ脇で治療を受けています。52分、右からフェルナンジーニョが浮かしたボールをサネがハーフボレー。サラーはピッチに戻れず、クロップ監督は52分という早い時間にワイナルドゥム投入を余儀なくされます。これで展開は変わるのか。右サイドで機能しなかったギュンドアンは中央に入り、デブライネとダヴィド・シルヴァのポジションは上がっています。守りに入ったレッズ。3-0から追いつかれたセヴィージャ戦をトレースしてはいけません。

大ブーイングのなか、57分にスターリングが登場。ギュンドアンは持ち味を発揮できませんでした。サラーが去った左サイド一辺倒だったマン・シティの攻撃は、選択肢が増えそうです。オンターゲットがないマン・シティ。サイドの主導権は譲り渡しても中央を締めているレッズは、ここまではうまく時間を進めています。3-0ながら、次の1点が2試合トータルの結果を決めるような気がしてなりません。デブライネからサネへのパスを何度見たでしょうか。マネはマイボールをキープできず、落としのボールをさらわれ続けるレッズ。68分、クロップ監督の2枚めは、フィルミーノに代わってプレミアリーグノーゴールのソランケです。

74分、スターリングが右サイドを突破し、ニアにクロスを入れると、ガブリエウ・ジェズスのボレーは右に大きくアウト。ここまで何もできなかったブラジル人ストライカーは、苛立ちを隠せずイエローカードをもらいました。残り時間は10分。デブライネにもイエロー。プレミアリーグの下位クラブのようにベタ引きしているレッズは、もはや耐え続けるしかなさそうです。クロップ監督の最後のカードは、チェンバレンをアルベルト・モレノ。2枚残しているペップは、ベルナルド・シウヴァもジンチェンコも使いません。サラーがいないサイドでジンチェンコに勝負させてもよかったのではないでしょうか。追加タイムには何も起こらず、リヴァプールが3-0でマンチェスター・シティに完勝しました。

サラー、チェンバレン、ロバートソン、そしてファン・ダイク。今季の補強は大成功と宣言するような完璧な試合でした。抜け目ないフィルミーノ、絶品ミドルのチェンバレン、1ゴール1アシストのサラーなどMVP選びに苦しむ一戦でしたが、タイムアップと同時に名前を叫びたくなったのはアーノルドとロバートソンです。サネとスターリングに決定的な仕事をさせなかったSBの奮闘が中央に余裕をもたらし、ファン・ダイクとデヤン・ロブレンがガブリエウ・ジェズスを見失うシーンは1度もありませんでした。マンチェスター・シティのオンターゲットはゼロ!レッズの3ゴールには驚きませんが、プレミアリーグ88ゴールの首位チームが完全に封じられたことにびっくりしました。タイムアップの瞬間、「クロップのヘヴィメタルサッカーは、アイアン・メイデンのライヴよりエキサイティング」という「BBC」のリスペクトを思い出しました。

前半のギュンドアンの右サイド、ベルナルド・シウヴァの温存と不可解だったペップ采配。使える戦力をすべて投入して望む結果を手に入れたクロップ。次の一戦は、ベンチに戻って笑顔を見せていたサラーと、間に合わなかったアグエロに元気な姿を見せていただき、最高の殴り合いを披露していただければと思います。重いビハインドを覆すセカンドレグの逆襲はあるのでしょうか。レッズ圧倒的優位で迎えるエティハドでのゲームは、4月10日の夜に開催されます。(トレント・アレクサンダー・アーノルド 写真著作者/joshjdss)

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“クロップのヘヴィメタルフットボール炸裂!強引な3発と完璧な守備でマン・シティに圧勝!” への7件のフィードバック

  1. うえ より:

    まさかここまで点差つけられるとは。

    リバプールはコウチーニョが抜けてこの成績はちょっと凄いですね。
    ファンダイク加入でむしろ強くなってる。
    今のリバプール相手に4点取れるとは思えないな。

    —–
    更新ご苦労様です。
    予想を覆す結果でした。これぞレッズ!というゲームで2ndレグが今から楽しみです!
    皆が気持ちの入ったプレーを展開し嬉しい限りです。チームがさらに結束したのではと思います。

    —–
    遂にペップはやらかしてくれました。まさに策士策に溺れるとはこの事です。いつも通り433でいけばいいものを色気出してボコボコにやられると。選手も選手で浮き足立ちまくりで1月のアンフィールドの敗戦から何も学んでなかったですね。
    点が必要にも関わらずラポルテの左SBに拘るという謎の采配など、ペップの采配、試合内容共に今季ワーストです。
    それに対してリバプールはクロップのプラン通りに戦い、サラーやアーノルドにロバートソンと素晴らしい活躍でしたね。
    シティサポですが、リバプールの突破はほぼ濃厚と言って過言じゃないでしょう。
    ダービーでプレミア優勝を決めて、このクソみたいな試合を忘れたいです

  2. ペップの街 より:

    前半の勢いだと6点ぐらい入れられそうで恐怖感すら覚えました。クロップのチームは攻撃もさることながら素晴らしい出足で守備をしてシティの精密機械を狂わせることに成功しました。やっぱり気迫が大事ですね。シティも、サネがミスを取り返そうと必死の守備と仕掛けで頑張りました。2ndレグは非常に厳しいけれど、サネ、スターリングに期待!

  3. 坊主21 より:

    完敗でした。
    プレスを躱すためのギュンドアンの起用だと思いますが上手くハマりませんでしたね。
    長い縦パスは出足の良い守備でカットされ、中盤では激しい寄せで尽く潰され為す術がなかったという印象です。
    エティハドで奇跡が起きないかなーと願うばかりです。

  4. ユナイテッド より:

    アウェイゴールなしの三点差ですか。これはさすがにゲームオーバーですかね。
    ここまで来たら是非リバプールに優勝してほしいですね!!

    —–
    リバプール爆強くてビビりました…
    というかクロップがペップと相性がいいのかもしれないですね。
    シティはなんというか力を出し切れてない印象を受けました。
    そしてサラーを完璧に抑えたヤング師匠の株がますます上がっていく…

  5. タムコップ より:

    完璧な試合。重要度から言っても今季ベスト。
    全員に10点満点です、加えるならば、サネ相手に大健闘したアーノルドと左サイドそのものを制したロバートソン、そして90分集中力を切らさなかったロブレンには+10点を…!!!
    次戦までにサラーとジャンが間に合えばという不安はあるものの、これでシティはキックオフから前に出続けるしかないので、3点取られても4点取るくらいの強い気持ちでノーガードの撃ち合いを制してもらいたいですね、既に来週が楽しみだ!!!

  6. シティふぁん より:

    シティはプレッシャーに負けましたね
    リバプールは攻守共によかったです
    ペップが負け越してるのはクロップだけだとか
    頼みのシルバも低調なプレーでした

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    何も出来ていなかったのにも関わらずペップがカードを2枚残したまま敗戦するのはちょっと気になりますね。
    2ndレグでの切り札を見せたくなかったのか、はたまた最早打つ手が無いのか…
    1st レグでのペップの表情的には後者だと思いますが。
    まさか週末のユナイテッド戦に向けて戦力を温存?確かに、本拠地でライバルに勝利して優勝!はこれ以上ない素晴らしいシナリオではありますが…

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