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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ヴァラン、痛恨のミス連発!戦術で上回ったマンチェスター・シティがスペイン王者を撃破!

2018-19シーズンは、マンチェスター・シティがプレミアリーグを制覇し、2位のリヴァプールがチャンピオンズリーグ優勝。今季はリヴァプールがプレミアリーグ創設以来の初優勝を遂げ、2位のマン・シティが悲願のビッグイヤー獲得をめざします。ラウンド16の相手は、欧州で最も多くのトロフィーを獲得しているレアル・マドリード。デブライネの活躍で、アウェイゲームを1-2で制したペップのチームは、1失点以内に抑えれば8強進出です。

さっそく、ペップの11人を見てみましょう。GKエデルソン、DFカイル・ウォーカー、フェルナンジーニョ、ラポルテ、ジョアン・カンセロ、MFロドリ、ギュンドアン、デブライネ。前線はフィル・フォーデン、スターリング、ガブリエウ・ジェズスの3人です。キックオフから1分もしないうちに、厳しいプレスでレアル・マドリードのパスコースを遮断するホームチーム。4分に右からスプリントしたカルバハルは、ベンゼマへのラストパスをカットされます。

アウェイチームが、ビルドアップで失敗したのは9分でした。クルトワのパスを受けたヴァランが、中に切り返したところでガブリエウ・ジェズスに奪われ、フリーで待っていたスターリングの前に優しいボールが転がります。イージーなボレーが決まり、1-0。欲しかった先制点をあっさりゲットしたマン・シティが、完全に中盤を支配しています。12分、デブライネの縦パスがボックス右のフォーデンに通ると、切り返しから放った左足のシュートはDFにヒット。リバウンドを取ったギュンドアンの一撃は、ヴァランが身を挺してブロックしました。

15分にスターリングが放ったミドルは、惜しくもクロスバーの上。19分にフォーデンのパスでボックスに入った7番が、巧みなタッチで3人をかわしてクルトワと向き合いますが、戻ったカゼミーロがスライディングでさらい、追加点は決まりません。21分、3人に囲まれたアザールが、前線で空いたベンゼマを見て斜めに走るラストパスを通します。フェルナンジーニョをかわして打った9番のシュートが右隅を襲いますが、エデルソンが左に弾き出すビッグセーブ!直後にアザールが左足で放った地を這うようなミドルも、プレミアリーグ屈指の守護神が懐に収めてリードをキープしました。

28分、ベンゼマから短いパスをもらったロドリゴが、ジョアン・カンセロの股を抜く予想外のタッチでボックスの右脇を突破。ノーマークで浮かしたクロスが走り込んだベンゼマの頭にピタリと合い、さすがのエデルソンも触れません。1-1、同点。スペイン王者が次のゴールを決めれば、アウェイで2ゴールというマン・シティのアドバンテージは消え去ります。37分、ギュンドアンが敵陣でカゼミーロから奪取し、ボールは左サイドへ。ドリブルで持ち込んだジョアン・カンセロのコントロールショットは、微妙なバウンドを嫌がったクルトワが意図的に前に弾き、ヴァランのクリアで事なきをえました。

42分、アウェイチームがまたもビルドアップでミス。クルトワのキックがデブライネへのプレゼントとなり、中央にいたフォーデンにボールがまわりますが、左足のシュートは右ポストすれすれを抜けていきました。マン・シティが優勢だった前半はイーブンで終了。レアル・マドリードは、絶対にゴールを決めなければなりません。後半開始直後の47分、デブライネがカルバハルの裏を取る完璧なスルーパス。抜け出したスターリングの左足シュートは、クルトワがかろうじて腕に当てました。

前半は左サイドにいたガブリエウ・ジェズスがセンター、右にいたスターリングは左へ。マン・シティに守り抜くという思想はないようです。53分のトニ・クロースのミドルはフェルナンジーニョがブロック。54分、カゼミーロのパスを敵陣でインターセプトしたフォーデンが、ドリブルで持ち込んで中央のギュンドアンに預けると、左から上がってラストパスを受けたスターリングは、クルトワの飛び出しをかわせず胸に当てるのが精一杯でした。

ジダン監督は、61分にロドリゴをアセンシオ。66分に縦パスを受けて反転したガブリエウ・ジェズスのクレバーな一撃は、反応が速かったクルトワが右に弾き出します。ペップの最初のカードは、67分にフォーデンに代えてベルナルド・シウヴァ。ホームチームの勝ち越しゴールが決まったのは、この直後でした。ロドリの浮き球の処理に手間取ったヴァランが、痛恨のバックパスミス。狙っていたガブリエウ・ジェズスがクルトワの前で追いつき、左足で浮かして無人のゴールを陥れました。

72分にカイル・ウォーカーが打った強烈なミドルはクルトワがセーブ。自陣でのパス回しが不安定なスペイン王者は、一方的に押し込む展開に持ち込めません。残り10分、マンチェスター・シティはカウンター狙いにギアを切り替えています。81分にスターリングが下がってダヴィド・シルヴァ。ヨヴィッチ、バルベルデ、ルーカス・バスケスを一気に投入したジダン監督の策は、実を結びませんでした。前線からのプレスを徹底し、ヴァランの2つのミスを活かしたマンチェスター・シティが2-1で勝ち切り、ベスト8に駒を進めました。

マン・シティのアタックは、CBとSBの間に通す高速の縦パスが効果的で、ヴァランとカルバハル、ミリトンとフェルランド・メンディが迷うと、スターリングやフォーデンにシュートチャンスが生まれました。奪われた直後から始まるプレスによって、最終ラインと中盤を分断されたレアル・マドリードは、モドリッチとトニ・クロースがいい形でキープする時間を創れず、アザールやベンゼマの個人技に頼るしかありませんでした。

数的不利のなかでプレイすることが多かったアザールは効果的とはいえず、ロドリゴが輝くのは時折見せるドリブルのみ。カゼミーロを潰してボールを奪い、前線の3人が空いた瞬間にパスを通す戦術が徹底されていたマン・シティが終始イニシアティブを握ったゲームでした。ヴァランの致命的なミスがなくても、結果は逆にはならなかったでしょう。勝つべくして勝った優勝候補の次の相手は、ユーヴェを倒したリヨン。ベスト4に進めば、バイエルンかバルセロナと戦うことになるのではないかと思われます。今の彼らなら、いけるのではないでしょうか。もう3試合、ペップの手綱さばきを堪能させていただければと期待しています。


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