偏愛的プレミアリーグ見聞録

レッズサポーターの多くが、「またか…」と思ったのではないでしょうか。チャンピオンズリーググループステージ4節、レンジャースVSリヴァプール。キックオフから、ホームチームの速攻とハイクロスに悩まされていた昨季ファイナリストは、17分にあっさり先制ゴールを許してしまいました。

自陣左で奪われたのはファビオ・カルヴァーリョ。ポストプレーでリターンをもらったライアン・ジャックも、中央でパスをもらったアーフィールドも迷いはありませんでした。思い切りよく打ったシュートが左隅に決まって1-0。ニューカッスル、ナポリ、アヤックス、ブライトン、アーセナル…クロップ監督のチームは、直近8試合のうち6試合でビハインドを背負っています。

苦しい展開になるかと思われたゲームは、7分後にイーブンに戻りました。右からのCKがニアに入ると、頭で合わせたのはフィルミーノ。プレミアリーグで7戦6発と絶好調のベテランは、今や最も頼りになるアタッカーです。

速攻の応酬、いわば殴り合う展開は、強者にとってリスクだったのではないでしょうか。42分にツィミカスがサカラに抜かれ、ニアのアーフィールドにグラウンダーが渡ったシーンは決定的でしたが、コナテの捨て身のブロックで難を逃れました。前半は1-1、シュート数は5対5。ダルウィン・ヌニェスは1本も打っていません。

レッズサポーターの多くが、「まさかこんな試合になるとは…」と驚愕したのではないでしょうか。ピッチの入り口でダッシュを繰り返してから、キックオフのポジションについたアウェイチームは、難しい状況でも積極的に打っていこうという指示があったのでしょう。

均衡が崩れたのは55分。右から上がったジョー・ゴメスは、いつアーノルドから教わったのでしょうか。完璧なアーリークロスがゴール前に届き、フィルミーノがプッシュして逆転。落ち着いてボールを支配できるようになったレッズは、66分に鮮やかな速攻で追加点をゲットします。

GKのキックを敵陣でカットしたファビーニョから、ファビオ・カルヴァーリョ、フィルミーノと縦につなぐと、優しい落としをもらったダルウィン・ヌニェスが右のサイドネットに流し込みました。ゴールに絡んだダルウィン・ヌニェス、フィルミーノ、ツィミカスが下がったのは68分。サラー、ジョッタ、ロバートソンの登場は、ショータイムの始まりを告げる合図でした。

75分、ジョッタが競って浮き上がったボールを足元に収めたサラーが、角度のないところからニアポスト際を抜いて1-4。80分にジョッタの縦パスをボックス手前で受けたエースは、キックフェイントでGKのタイミングをずらす技ありのシュートをニアサイドに決めました。

いきなり2発ゲットの昨季プレミアリーグ得点王は、1分後にジョッタが右に出したボールを同じ位置で収め、今度はファーにコントロールショットを決めてハットトリック！6分12秒の3連発は、チャンピオンズリーグ史上最速です。締めの1発は87分。左にいたサラーが中央にグラウンダーを入れると、ジョッタがGKと競ったボールが右にこぼれ、エリオットがプッシュしました。

サラーに励まされながら、神に祈っていた19歳は、逆転勝訴の判決に歓喜しています。かくして1-7。大爆発のリヴァプールは、次節のアムステルダムで負けなければグループステージ突破が決まります。レッズサポーターの多くが、「これが見たかった！」と叫んだのではないでしょうか。

次節のマン・シティ戦に、この勢いを持ち込んでいただければと思います。くれぐれも、立ち上がりにハーランドにやられないように。