偏愛的プレミアリーグ見聞録

ブライトンはプレミアリーグ5勝2敗で6位、ウェストハムは4勝1分2敗で7位。CL出場権を狙うダークホースたちは、ヨーロッパリーグでは明暗分かれる展開となっています。ウェストハムは敵地でフライブルクに競り勝ち、連勝スタート。死のグループに入ったブライトンはマルセイユとドローで、1分1敗という苦しい状況です。

ブンデスリーガ8位のチームに勝ち切ったハマーズのほうから先にレポートしましょう。プレミアリーグのシェフィールド・ユナイテッド戦から6枚チェンジで臨んだアウェイチームは、8分にあっさり先制しました。GKアレオラが右脇のマヴロパノスに預けて静かに始まった攻撃は、右サイドにいたクドゥスが内側から上がったツォウファルに通し、一気にスピードUPします。

ドリブルで上がったSBは、右サイドに出たボーウェンにパス。縦に突破を図った絶好調の20番は、スピードを落とすことなく中央にピンポイントのクロスを合わせました。頭で叩きつけてネットを揺らしたのは、ルーカス・パケタ。あの体勢から完璧なクロスを上げるとは…体を密着させていたリーンハートを責められないスーパープレーでした。

11分には、敵陣で奪ったボールがルーカス・パケタにまわり、ボックス右に出したスルーパスでクドゥスがフリー。中に持って打ったシュートをGKアトゥボルが弾くと、ボールはファーポストに当たって追加点とはなりませんでした。フォルナルスが左からカットインしたのは13分。外から上がり、ラストパスを受けて決めたルーカス・パケタはオフサイドです。

序盤は圧倒的に押していたハマーズは、35分過ぎから受けにまわる時間が長くなっています。追加タイム3分、ルーカス・パケタの絶妙なパスでボックスに入ったウォード＝プラウズの左足シュートは、アトゥポルが冷静にキャッチしました。ハーフタイムは0-1。後半頭から堂安律が加わったフライブルクは、49分に同点に追いつきます。

決め手となったのは、右サイドの堂安が斜めに出した高速パス。振り向きざまのシャッライのシュートをセーブしたファビアンスキは、こぼれ球に先着したキュブラーの一撃も足でブロックしますが、左足を振り抜いたシャッライの3発めは手に当てるのが精一杯でした。1-1となってからは、完全なるホームチームペースです。

55分、左からのロングフィードがファーから上がったシルディリアへ。高く浮かしたヘッドが左のポストにヒットすると、フォローしたヘーラーは至近距離から打ち上げてしまいました。61分に左から仕掛け、2人をかわしたボーウェンのシュートは、GKが足でブロック。ハマーズの決勝ゴールは66分、ウォード＝プラウズのプレースキックという新兵器が炸裂しました。

左からのCKは、GKの前に入ったナイフ・アゲールの頭にぴったり。再びリードしたプレミアリーグのクラブは、オンターゲットを1本も許さずにゲームを畳みました。昨日、マンチェスター・シティが追いついた欧州で16試合連続無敗という記録は、1日で更新されました。昨季のECLを無敗で制した王者は、17戦負けなしです。

3年連続で欧州で戦うウェストハムに対して、クラブ史上初のELとなるブライトンは厳しい展開を強いられました。ホームでアテネに2-3で敗れ、2戦めはアウェイでマルセイユ。19分から立て続けに喰らった2発は痛恨でした。最初のゴールは、ワンツーで抜け出したジョナタン・クラウスが右から入れたきれいなグラウンダーを、ムベンバがプッシュ。1分後の2発めはCBのエラーがきっかけです。

相手のクリアを蹴り返そうとしたルイス・ダンクが空振りし、奪ったアミーヌ・アリが中央に送ると、オーバメヤンの外にいたベレトゥのダイレクトショットがGKスティールの手を弾きました。6-1で惨敗したアストン・ヴィラ戦でも冴えなかったCBは、悪いイメージを引きずってしまったのかもしれません。

25分のPKのジャッジが逆転敗訴となったブライトンは、追加タイム1分に絶好のチャンスをつかみます。フェルトマンの縦パスでウェルベックが抜け出した瞬間、左脇でアンス・ファティもフリー。パスを出せば決まっていたはずですが、見えていなかったストライカーはGKパウ・ロペスにぶつけてしまいました。

2点のビハインドを背負ったブライトンは、後半立ち上がりのピンチをしのぐと、自らの戦い方を取り戻します。54分、ランプティのパスを受けた三笘薫がゴールライン際から折り返し、フリーのパスカル・グロスが冷静に決めて2-1。73分にパスカル・グロスのロングフィードを受けた三笘が左から上がり、強烈なシュートを放つも、好調のパウ・ロペスが左に飛んでセーブしました。

早い時間に追いついていれば、逆転できたかもしれません。ランプティが倒されて得たPKを、ジョアン・ペドロが左に流し込んだのは88分。ひっくり返すほどの底力を見せられなかったアウェイチームは、1ポイントを持ち帰れたことを喜ぶしかありません。次節からのアヤックスとの連戦で勝てなければ、最下位のままで大会を去ることになりそうです。

ミルナー、エンシーソ、エストゥピニャンを負傷で欠いたブライトンは、プレミアリーグとヨーロッパリーグを両立させられるでしょうか。引いて守る戦い方を選べるハマーズのほうが消耗が少なく、木曜日開催の大会に向いているような気がします。中2日の週末はブライトンVSリヴァプール、ウェストハムVSニューカッスル。厳しいですね…！