偏愛的プレミアリーグ見聞録

1-1の30分。右からのショートコーナーがカーティス・ジョーンズに入った瞬間、彼は最前線にポジションを取っていました。縦に突破するのは無理と判断した17番が後方のアーノルドに預けると、完璧な浮き球がゴール前に上がりました。ディアッラを体で押さえて合わせたヘディングは右隅へ。18歳のGKレステスは、呆然と見送るしかありませんでした。

遠藤航、リヴァプールで初ゴール、ヨーロッパリーグ初ゴール！リーグアンで10位のトゥールーズをアンフィールドに迎えたレッズは、日本代表MFの決勝ゴールの後に3発を重ね、5-1の圧勝で3連勝となりました。次節のスタジアム・ドゥ・トゥールーズでのリターンマッチに勝てば、2試合を残してノックアウトラウンド進出が決まります。

鮮烈、完璧、豪快、爆笑、納得。リヴァプールの5発を、順を追って振り返りましょう。エリオット、ジョッタ、ダルウィン・ヌニェスというトリッキーなフロントスリーでキックオフしたチームは、9分にあっさり先制しました。カウンターに対応したジョー・ゴメスは、とりあえず前に蹴り出したボールがアシストになるとは思わなかったはずです。

ゴールに背を向けてトラップしたジョッタは、左にターンしてカセレスをかわすと瞬時にスピードUP。白いシャツを2人従えて中央を突破すると、ローガン・コスタを股抜きでかわして右に出て、GKの左脇を抜きました。アウェイチームのサポーターが絶叫したのは16分。ドヌムが縦に出したスルーパスで右から抜け出したのは、ダリンガです。

逆サイドのアーノルドは、自分がオフサイドラインと気づいたのですが、1歩前に出たとき、既に9番は独走態勢に入っていました。必死に追ったチェンバースは、GKケレハーの股間を突いたシュートがネットを揺らすのを見て肩を落としました。キャプテンマークを着けていた右SBは、14分後に自らのクロスで遠藤に決めさせ、ポジショニングのミスを帳消しにしています。

勝利の最大の決め手は、2-1になった4分後の追加点でしょう。左からドリブルで仕掛けたフラーフェンベルフが中央のカーティス・ジョーンズにパスを通すと、ワンタッチで2人をかわして打った左足シュートはDFにヒット。ゴール左でこぼれ球を拾ったダルウィン・ヌニェスは、GKの肩越しにニアを射抜くセオリー通りの一撃で、リードを2点に広げました。

この試合のクライマックスは、65分の4点めでした。味方がゴールを決めたのを確認した直後に、ピッチに突っ伏して悔しがっている選手を見たのは初めてです。ジョッタの縦パスで左から抜け出したのはダルウィン・ヌニェス。ニコライセンをダブルタッチで抜き去り、キックフェイントでGKもかわしたストライカーの仕事は、無人のゴールに流し込むだけでした。

完全にフリーだったので、もうひとつタッチしてもよかったのですが…。フィニッシュはポストにヒットし、拾ったフラーフェンベルフがレステスを再度振り切って左隅に決めました。肩を抱いてなぐさめるアーノルド兄貴、ハイタッチで奮闘を称えるチームメイト。ちなみに「BBC」のMVP投票は、2ゴールを生み出したストライカーではなくフラーフェンベルフです。

最後の1発は、70分に登場した真打です。左からカットインしたのはジョッタ。ラストパスを受けたガクポがトラップをカットされ、ボールが脇に転がると、ディアッラをかわしたサラーが右足でバーの下に当てました。今季公式戦12試合で9発4アシストのエースは、直近3戦で5発と絶好調。極上のデザートを堪能したサポーターは、大満足で家路に着いたのではないでしょうか。

この夜の最大の収穫は、ショボスライとマック・アリスターが完全休養で圧勝したこと。私のMVPは、みんなに声をかけられるまで自分のことしか考えてなかったダルウィン・ヌニェスです。SASを見てテンションが上がっていた者としては、ああいうキャラは大歓迎です。左足で豪快に決めた3点め、よかったですよ！