偏愛的プレミアリーグ見聞録

ランスに勝てば、CLのグループステージ首位通過が決まるアーセナル。アルテタ監督は、ガチガチのベストメンバーで3ポイントを取りにいっています。GKラヤ、DF冨安健洋、サリバ、ガブリエウ、ジンチェンコ。MFデクラン・ライス、ウーデゴーア、カイ・ハヴェルツ、FWサカ、ジェズス、マルティネッリ。立ち上がりから主導権を握るホームチームは、7分に最初のチャンスをつかみました。

冨安、ウーデゴーア、サカで右サイドを崩せず、後方で受けたガブリエウが左に展開。ジンチェンコがファーに上げたクロスに反応したジェズスは、右足のボレーがミスキックです。サカのパスでオーバーラップした冨安が、ファーにクロスを通したのは11分。カイ・ハヴェルツのヘディングは、右のポストの脇に落ちました。

13分にも冨安が左に浮かし、アブドゥル・サメドが頭に当てたボールが真上に上がると、落下点にいたジェズスがヘッドで中央に折り返しました。フリーで入ってきたカイ・ハヴェルツがGKサンバに当ててねじ込み、1-0。プレミアリーグのブレントフォード戦に続く連発となった29番は、耳に手を添える変顔パフォーマンスも2試合連続です。

21分、ドリブルで中央に持ち込んだサカが2人に潰され、ルーズボールがジェズスの足元へ。冷静なストライカーはキックフェイントでダンスのマークを外し、サンバの左脇を抜きました。3点めは23分、起点はラヤ。前線に入ったボールをマルティネッリが競り、こぼれ球を回収したカイ・ハヴェルツが左の11番にラストパスを通しました。

右足のシュートをサンバが前に弾くと、詰めていたサカが体に当てて押し込みました。さらに27分、素晴らしいサイドチェンジをマルティネッリに通したのは冨安健洋です。カットインした11番は、切り返しで縦にいくと見せかけて右にタッチし、コントロールショットを右隅に突き刺しました。

フロントスリーとカイ・ハヴェルツが決めて4-0は、グーナーが最高に盛り上がる展開でしょう。31分にサカのパスでラインの裏を狙ったジェズスが、中央に上がってきたマルティネッリにラストパスを転がすも、わずかに合わず。カイ・ハヴェルツが自陣で奪われた40分のショートカウンターは、メディーナのミドルが右のポストに阻まれています。

44分のフルジーニのミドルは、ラヤが正面でキャッチ。45分のガナーズのアタックは、左サイドからでした。ルーズボールに競り勝ったジェズスが後ろのカイ・ハヴェルツに落とし、右にいたサカが足元に収めると、ボックス右に出た縦パスで抜けたのはマルティネッリ。ニアを狙った強烈なシュートはポストの外です。

5点めが決まったのは追加タイム1分。クロスのクリアを拾ったサカが右からドリブルで上がると、自陣ボックスからスプリントした冨安が外から追い越します。サカのパスをもらったSBのクロスは絶妙で、走り込んできたウーデゴーアの左足にぴったりでした。前半は5-0、冨安はアーセナルで初の2アシストです。

アルテタ監督は、週末のプレミアリーグで起用したい左右のSBをハーフタイムで下げ、ベン・ホワイトとキヴィオルをピッチに送り出しました。ペースをスローに落としたプレミアリーグ首位チームは、セーフティ重視にギアチェンジしています。ラインの裏を狙うアウェイチームは、ロングフィードの精度を欠いています。

63分にスパイクの裏でウーデゴーアを削ったアイダラは、プレミアリーグならレッドカードが出ていたかもしれません。66分にサカがお役御免となり、リース・ネルソン。67分に左に出たカイ・ハヴェルツがクサノフを抜き去り、ゴールライン際からボックスの外にグラウンダーを送ると、ウーデゴーアの左足シュートはサンバがセーブしました。

75分、デクラン・ライスに代わってジョルジーニョ。82分のCKをヘッドで叩いたベン・ホワイトは、うまく落とせませんでした。ガナーズの指揮官が切った最後のカードはこの直後で、ジェズスをエンケティア。83分にマルティネッリの顔をはたいたクサノフは、同時にボールを触っており、オンフィールドレビューの結果はPKです。

ジョルジーニョがサンバの逆を突いて右に流し込み、6-0。今季公式戦で最多ゴールの一戦は、カイ・ハヴェルツが機能したのが最大の収穫でしょう。ジェズスが左に出ると中央に寄り、下がってくると最前線へ。クロスが出てくるときは近い位置にいることが多く、前線で体を張るジェズスから打てるボールをもらった先制のシーンは、今後も見られる決め方になりそうです。

直近3試合でシュート2本だったマルティネッリと、調子を落としていたウーデゴーアが決めたのも、次につながる好材料です。目に見える結果がほしかった2人のテンションを上げたという意味合いでも、冨安の2アシストは価値があります。いやー、凄かったですね、冨安。2本のクロスはいずれも決定的で、ロングフィード成功3本のうち1本がアシストです。

ついこの間まで、左サイドをケアする偽SBとして中央でボールをさばいていた男とは別人のような攻撃的SBでした。アルテタ監督が、重要な試合で起用するのは当然でしょう。首位通過決定、おめでとうございます。ウルヴス、ルートン、ヴィラの3試合を主力中心で戦った後、最終節はサブと若手を試せます。プレミアリーグは首位、CLは得失点差が最多…うらやましい限りです。