偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ勢にとっては、最悪の組み合わせとなりました。マンチェスター・シティはレアル・マドリード、アーセナルはバイエルン・ミュンヘン。チャンピオンズリーグの準々決勝に進出した8チームのうち、主要リーグのチャンピオンと3連戦の可能性があるのは、アルテタとアンチェロッティだけです。

今回の組み合わせ抽選の結果を、ネガティブ・ポジティブ両方の視点で見てみましょう。昨シーズンは欧州初戴冠＆トレブルという最高の着地だったペップは、最も当たりたくない相手を引いてしまいました。ラ・リーガで首位を快走するレアル・マドリードは、ベンゼマとアセンシオが抜けて得点力ダウンかと思いきや、ベリンガムの加入でむしろ安定感が増しています。

今季の公式戦で、3失点を喫した試合は3つしかなく、すべてマドリードダービー。「シビタス・メトロポリターノ以外で無敗」という表現もできます。ラ・リーガ28試合のうち14試合がクリーンシートで、失点はわずか18。カマヴィンガ、バルベルデ、ベリンガムらが中盤に流動性をもたらし、トニ・クロースとモドリッチに依存しないチームに進化しています。

プレミアリーグのビッグ6との直接対決で、マンチェスターダービー以外で勝っていないペップにしてみれば、「より嫌なチームになった」といえるでしょう。サンティアゴ・ベルナベウのファーストレグでリードを許すと、ホームでは難しい展開を強いられそうです。何とか勝ち抜けたとしても、次のラウンドはバイエルンかアーセナル。どちらもラクに勝てる相手ではありません。

そのアーセナルは、最後のCLで5-1、1-5で惨敗したドイツ王者とのリベンジマッチ。2000年以降の対戦成績は3勝2分7敗で、3戦連続で5失点を喫しています。しかも今季のチームの最前線にいるのは、ノースロンドンダービーで19戦14発という最多ゴール記録を持つハリー・ケイン。ブンデスリーガで25戦30発のストライカーは、ピークを迎えているのかもしれません。

■チャンピオンズリーグ2023-24　準々決勝組み合わせ
アーセナル（プレミアリーグ） VS バイエルン（ブンデスリーガ）
アトレティコ・マドリード（ラ・リーガ） VS ドルトムント（ブンデスリーガ）
レアル・マドリード（ラ・リーガ） VS マンチェスター・シティ（プレミアリーグ）
パリ・サンジェルマン（リーグアン） VS バルセロナ（ラ・リーガ）

ネガティブなネタを拾うと、両者ともにクジ運最悪ともいえる相手です。さて、ここからはポジティブに捉えてみましょう。マンチェスター・シティは、昨季CLのセミファイナルでロス・ブランコスを撃破しています。敵地で1-1ドローの後、マンチェスターに戻って4-0圧勝。開幕から10戦10発と無双状態だったベリンガムは、2月の負傷以来ノーゴールです。

準決勝がバイエルンなら、こちらも1年前に3-0、1-1で退けています。アーセナルにはコミュニティシールドとプレミアリーグで連敗中ですが、「リーグの開幕前とロドリ不在の試合でしょう？」と笑い飛ばしておきましょう。12月にヴィラに敗れてから、公式戦19試合連続無敗のチームは、デブライネとエデルソンの負傷以外に懸念する材料はありません。

バイエルンと聞いて震えたグーナーがいるなら、前回のメンバーを振り返ってみることをおすすめします。CBはムスタフィとコシールニー、中盤センターはジャカとコクラン、サイドはイオビとチェンバレン。アルテタの下で進化した現在のチームで、同じポジションにいる選手の顔を思い浮かべたら、勇気が湧いてくるのではないでしょうか。

失うものがないチームゆえ、レアル・マドリードかマン・シティとセミファイナルを戦えたら、大盛り上がりでしょう。ここをクリアしたら、逆サイドは…グループステージで敗退寸前だったパリ、ラ・リーガで不振のバルサ、最近絶不調のアトレティコ・マドリード、CL出場権確保が危ういドルトムント。彼らと戦うステージは、そう、ウェンブリーです！

マン・シティにとっても、母国でファイナルを戦えるのは大きなアドバンテージでしょう。ネガティブ、ポジティブ両方の視点で見てみましたが、厳しい相手と準々決勝を戦う羽目になったという事実は動きません。それでも大いに期待しながら、ホーム＆アウェイの4試合を堪能したいと思います。準決勝は、ぜひ直接対決を！