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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ぎりぎりのマネジメント、紙一重の勝負。ペップがハーランドとデブライネを代えた理由。

90分でアーリング・ハーランドを諦め、フリアン・アルバレス。112分にケヴィン・デブライネに代えてマテオ・コヴァチッチ。いずれも指揮官に理由を問いたい交代策です。チャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグ、マンチェスター・シティVSレアル・マドリード。ロドリゴとデブライネのゴールで1-1となった一戦は、2試合トータル4-4で延長戦に突入しました。

1年前のCL準決勝は、サンティアゴ・ベルナベウで1-1、シティ・オブ・マンチェスターで4-0圧勝。同じ着地を求めていたペップのチームは、シュート数26対6と圧倒的に優位に立っており、120分で決着を付けたかったはずです。直近のプレミアリーグで連発のエースは、5本のシュートを放っており、公式戦7試合連続ノーゴールのアタッカ―にスイッチするという策は不可解です。

同点ゴールを決めたプレーメイカーも、延長戦が終わる8分前という微妙な時間に代えるべきではないでしょう。ましてや代役はセントラルMF。「ペップはPK戦を愉しみたかったのか」と、ツッコミを入れたくなるカードです。敗戦を見届けた記者たちが、2つの交代策の意図を指揮官に問いただすと、返ってきた答えは「They asked me to go out. They could not continue」でした。

「テレグラフ」のダニエル・テイラー記者によると、ハーランドがペップに交代を要請した理由は、「タンクのなかに何も残っていないと感じたから」だそうです。とはいえ、プレミアリーグの得点王とアシストランキング歴代3位のプレイメイカーが、最後までピッチにいたとしても、ゴールを決められていたかどうかはわかりません。

しかし彼らは、PK戦の結果を変えた可能性があります。ハーランドは自身のキャリアで47回のPKのうち42回を決め、デブライネは11回中9回を成功させています。「テレグラフ」の記者は、「何かが変わったかもしれないと考えたくなる。コヴァチッチは、シティの5人のペナルティーテイカーリストから外れていたかもしれない」といっています。

ハムストリングを痛めて前半戦を棒に振ったデブライネと、年末年始に骨折で1ヵ月の離脱を強いられたハーランドは、コンディションが上がらないまま必死で戦い続けていたのでしょう。「レアル・マドリードとの2試合の間に行われ、5-1で勝ったルートン戦で、なぜ2人を休ませなかったのかという疑問が生じるかもしれない」。記者はそう指摘していますが…。

ルートン戦でペップが休ませたかったのは、ベルナルド・シウヴァ、ロドリ、グリーリッシュでした。PKを決めたハーランドと1アシストのデブライネは、81分までプレイしています。2列めにグリーリッシュ、フォーデン、ベルナルド・シウヴァ、デブライネを並べたエル・ブランコとのホームゲームは、リフレッシュした選手たちが機能しており、成功に近づいていました。

同点ゴールを決めたデブライネは、アカンジのグラウンダーをフリーで叩いた82分の決定機を活かせませんでした。あれが決まっていれば、2人とも代えてくれとオーダーすることなく、2年連続のトレブルの可能性が高まったと書かれていたはずです。あるいはベルナルド・シウヴァやグリーリッシュが決めて勝っていれば、素晴らしいマネジメントと評されていたでしょう。

敵地でシュート1本とパス6本というプアなスタッツを残したハーランドは、ホームでは5本放ったものの、パスは5本しか出していません。それでもピッチから去ろうと決意したのは、フィジカルもメンタルも消耗が激しかったからでしょう。ぎりぎりのマネジメント、紙一重の勝負。しかし指揮官を待ち受けているのは、絶賛と酷評という極端な二択だったりします。

やれることはやった。しかし、あと1歩足りなかった。PK戦のとき、ベルナルド・シウヴァやコヴァチッチを激励していたハーランドは、どんな気持ちで敗戦の瞬間を迎えたのでしょうか。マルティネッリとサカが振るわず、バイエルンに屈したアーセナルにも、アタランタ戦の後半に中盤の運動量が落ちてしまったリヴァプールにも、指揮官のぎりぎりの選択があったはずです。


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