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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

最大3億5000万ポンド!? コロナショックをはねのけ、チェルシーが大型補強を仕掛ける理由。

アヤックスから獲得したハキム・ツィエクは3600万ポンド(約50億円)、ライプツィヒのティモ・ヴェルナーは4750万ポンド(約66億円)。プレミアリーグ2019-20シーズンを4位で終え、トランスファーマーケットでロケットスタートを披露したチェルシーが、メディアの見出しを賑わしています。レヴァークーゼンのカイ・ハヴェルツは7000万ポンドVS9000万ポンドの攻防といわれており、レスターが8000万ポンドを主張したベン・チルウェルに5000万ポンドでオファー。チアゴ・シウヴァはフリーエージェントですが、アヤックスの守護神オナナに手を伸ばせば2600万ポンド。アトレティコ・マドリードのオブラクには1億ポンドを超えるバイアウト条項が付いているといわれています。

チェルシーのビッグサマーは、少なく見積もっても2億5000万ポンド。高いほうを取れば、3億5000万ポンド(約490億円)という途方もない額が飛んでいきます。コロナウイルスによるパンデミックで、プレミアリーグの大半のクラブが緊縮財政を強いられるなかで、彼らはなぜ景気よく新戦力を集められるのでしょうか。謎を解くために検証すべきキーワードは、「補強禁止処分」「エデン・アザールとアルバロ・モラタ」「FFPのルール変更」の3つです。

2019-20シーズンを前にして、補強禁止処分を喰らったチェルシーは、昨夏のマーケットをエデン・アザールの売却のみで終えています。処分は軽減され、1月は補強OKだったのですが、マリナ・グラノフスカイアとフランク・ランパードは動かず。アザール売却でレアル・マドリードから受け取った8850万ポンド(約123億円)と、この7月にアトレティコ・マドリードにモラタを売って得た4950万ポンド(約68億円)は、そのまま補強のための資金にまわせます。さらにティエムエ・バカヨコをミランに売れれば、1800万ポンドをゲットすることができ、3人合わせて1億5600万ポンド。単純計算ですが、ツィエク、ヴェルナー、カイ・ハヴェルツまではこれで呑み込めます。

2020年の夏は攻めようと決めていたであろうチェルシーは、6月に発表されたルール変更もチャンスと捉えているはずです。コロナウイルスの影響で多大な損失を被ったクラブが続出していることを背景に、UEFAはFFPルールに特例を加えました。2700ポンドだった赤字許容額を大きく超えてもお咎めなし。オーナーによる資金注入の枠も広げています。会計においても、2020-21シーズンは単年度で評価されず、2021-22シーズンとの合算でチェックを受けることになりました。ブルーズの経営ボードは、ルールが緩い2020年を最大投資のタイミングと位置づけ、1年後に帳尻を合わせようとしているのではないでしょうか。

41798人しか収容できないスタンフォード・ブリッジを本拠地としているため、マッチデー収入への依存度が低いクラブは、相対的に他クラブよりダメージが小さいのではないかと思われます。ランパード体制2年めで、チームづくりの構想がより明確になったブルーズは、目いっぱいアクセルを踏むでしょう。チルウェルを獲得してエメルソンを売り、オナナかオブラクを押さえられればケパはレンタル。第2GKとして、プレミアリーグのクラブから堅実な選手を持ってくる可能性もあります。ジョルジーニョが売れれば、ハマーズが8000万ポンドを主張するデクラン・ライス獲得も躊躇しないでしょう。恐るべし、チェルシー。来季のプレミアリーグは、3強のデッドヒートとなる可能性大です。


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