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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

指揮官はトーンダウン…オープンプレーで決められないチェルシーが、スパーズ戦を制する策を考察!

「フットボールの世界に忍耐は存在しない。チェルシーでは時間を求めず、初日から結果を出さなければならない。フットボールで語られるのは昨日、今日だ。長期的な話はできない。半年で結果を出さないといけないというのは、あまりいいことではない。しかしわれわれは、最初から信念を作り上げる必要がある」

2023年7月、チェルシーに来たばかりのポチェッティーノ監督は、「今すぐ勝たなければならない。言い訳はしない」といっていました。あれから4ヵ月、彼の発言は別人のようです。負傷者の多さ、チームの未熟さ、ミスについて語る時間が増え、「不運」「残念」という言葉を繰り返しています。

ブレントフォードに0-2で敗れた後のプレスルームでは、あまりにも激しかった変化がチームに悪影響を及ぼしたとほのめかしています。「組織を改善し、同じ失敗をしないようにするためには、過ちから学ばなければならない」。ニコラス・ジャクソンについて聞かれた際は、「彼には時間が必要だ」と、自らに禁じていた言葉を口にしました。

チェルシーの最大の問題は、得点力不足です。プレミアリーグ10試合で13ゴールは、アストン・ヴィラとニューカッスルの半分でリーグ10位。同じく絶不調のマンチェスター・ユナイテッドを2つ上回っているものの、ゴールのプロセスをチェックしていくと、問題の深刻さはテン・ハフより上かもしれません。

全13ゴールのうち、プレミアリーグに昇格したばかりのルートン戦で3発、バーンリー戦は4発。降格ゾーンにいるクラブ以外の8試合のうち、4試合はノーゴールで、トータル6発しか決めていません。リヴァプール戦の同点ゴールはCKからの二次攻撃。アーセナル戦はPKとクロスが枠に飛んだ幸運なゴールで、フラム戦の2点めはビルドアップでのパスミスに乗じています。

プレミアリーグの17位以上との対戦で、オープンプレーで守備を崩して決めたのは、ウェストハム戦のチュクエメカと、フラム戦のムドリクの先制点のみ。3ゴールのスターリングと2ゴールのニコラス・ジャクソンは、ルートン戦とバーンリー戦以外はゼロです。プレミアリーグのみならず、3つ勝ってベスト8に進出したカラバオカップも、ファインゴールはありません

2-1で競り勝ったウィンブルドン戦は、ノニ・マドゥエケのPKで追いつき、GKのミスキックからのこぼれ球をエンソ・フェルナンデスが無人のゴールに流し込んで逆転。ブライトン戦の唯一のゴールは、ビルドアップからのミスパスを奪取し、中央でボールをもらったコール・パルマーの股抜きパスをニコラス・ジャクソンが決めたものでした。

一昨日のブランクバーン戦も、CKからのGKのパンチミスを突いたバディアシルと、GKのスローを受けたSBブリテンのミスパスをカットしてスターリング。プレスでミスを誘い、少ない手数で決められるのは素晴らしいことですが、自ら主導権を握って相手の守備陣を翻弄した爽快なゴールシーンがないという問題は解決できていません。

月曜日は、指揮官の古巣トッテナムとのロンドンダービー。8勝2分で首位に立つチームとの戦いは、ソン・フンミンという絶対的なゴールゲッターに決められると苦しくなります。プレスカンファレンスで、「新戦力獲得に10億ポンドを投じたいか」と問われたポステコグルー監督は、「お金をかければうまくいくとは思っていない」と返しています。

「最高の選手を獲得するためにお金を費やすのが答えではないということは、何度も証明されてきた。大事なのは、24人の選手がひとつの目的に向かい、チーム内で適切な調和を生み出すことだ。ワールドクラスを24人を集めてきても、それはできない。私が望まないことだ」

ビッグ6との対戦は2つともドローで終えているポチェッティーノ監督は、好調の古巣とのギャップを詰めることができるでしょうか。秘策があるとすれば、ウドジェとベン・デイヴィスがともに間に合うか微妙な左サイドの攻略でしょう。対峙するリース・ジェームズ、センターで起用できるコナー・ギャラガー、好調のコール・パルマーが殺到する4-2-3-1がおもしろそうです。

チェルシーの得点力不足は、前線の力量の問題ばかりではなく、中盤の攻め上がりの少なさに起因するところも大きいのではないかと思います。左右のインサイドMFが打てるエリアに入ってくるアーセナルやリヴァプール、ロドリがボックスに侵入してくるマン・シティと比べると、ボックス脇を制したときの中央の薄さが気になります。

2センターがもっとリスクを取るという手もあるのですが、ジェームズ・マディソン、ソン・フンミン、クルゼフスキの速攻は脅威です。ならば、左サイドの狙い撃ちで、リシャルリソンに守備をさせるほうがハイリターンローリスクでしょう。ルーカス・パケタ、クドゥス、ボーウェンがジンチェンコのエリアを攻めたカラバオカップのウェストハムは、大いに参考になりそうです。

必ず勝つといわなくなったポチェッティーノ監督は、どんなプランで首位とのゲームに臨むのでしょうか。あまりにも自由なトッド・ベイリーも、4人めの指揮官には時間を与えるものと思われますが、7月にいっていた「チェルシーでは時間を求めず、結果を出さなければならない」という言葉はよりリアルになっています。マンデーナイトの決戦は、サイドの攻防に注目しましょう。


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