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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マリーナ・グラノフスカヤは知っていた…現地メディアが詳細に報じたチェルシーの裏金疑惑の全貌。

「チェルシーを去った後、どうしているのか」。久しぶりにお名前を拝見したのは「フットボールロンドン」で、在任中の功績とサポーターたちの待望論を伝える記事でした。マリーナ・グラノフスカヤCEOが残っていたら、ブルーズはどうなっていただろうと思いながら「ガーディアン」を見ると、そちらはノスタルジーを吹き飛ばすとんでもない話でした。

記事のタイトルは「Marina Granovskaia linked to secret payments by former Chelsea owner Roman Abramovich」。意訳すると、「マリーナ・グラノフスカヤはロマン・アブラモヴィッチの裏金に関与していた」となります。「ロブ・デイヴィス、ジェイコブ・スタインバーグの独占記事」というクレジットは、「ガーディアン」のエースクラスの記者が入念にリサーチして書いたものであることを示しています。

渾身のレポートは、「フットボール界で最もパワフルな女性」と評されたチェルシーの元CEOは、オーナーが裏のルートを通じて流していたビッグマネーの全貌を知っているはずといっています。事の発端は、新たにオーナーとなったトッド・ベーリー率いるコンソーシアムからの報告でした。昨年から動き出したプレミアリーグは、現在も調査を続けています。

最初に明らかになったのは、ロシアのオリガルヒが所有するオフショア企業から、数百万ポンドが提供されていたことです。「ガーディアン」は、大陸のパートナーと「キプロス・コンフィデンシャル・リーク・プロジェクト」を組成し、取材の結果を公表。オーナーのエグゼクティブアシスタントを務めていたCEOには、不適切な取引の契約書のコピーが送られていたようです。

アブラモヴィッチ元オーナーの代理人を務めたキプロスの会計事務所から流出した文書には、監督、スカウト、サッカーエージェントへの10年にわたる秘密の支払いの詳細が記載されていたとのこと。エデン・アザールの代理人に支払われた報酬の一部は裏のルートを経由しており、ウィリアンやサミュエル・エトーの移籍関連で動いた金もあったそうです。

オーナーと昵懇だったCEOは、特別な融資や報酬を受け取っていたと伝えられています。就任直後に受けた1250万ポンドの融資は、イギリス領ヴァージン諸島に籍を置くオヴィントン・ワールドワイドから。フラムの家の購入資金となった750万ポンドは、アブラモヴィッチ・ネットワークのオフショア企業が調達し、不動産を手に入れた後に債務免除証書が発行されています。

「怪しいお金の話が詰まった幕の内弁当や~」と叫びたくなる記事は、当時のチェルシーの経営ボードを裁けといいたいわけではありません。記者たちが伝えているのは、クラブが負担すべきだった支払いが別のルートにまわっていたという事実によって、プレミアリーグが独立委員会を招集し、ポイント剥奪や降格などのペナルティを受ける可能性があるという現状です。

12年前、FFPを批判していたブルース・バック元会長は、プレミアリーグの要職に就きながら、アブラモヴィッチ所有のオフショア企業のために働いていた可能性があるそうです。「ガーディアン」の一連の報道が事実と認定されれば、「新体制の下で自己申告した」とアピールしても、重いペナルティは逃れられないでしょう。

選手とサポーターから絶大な人気があったマリーナ・グラノフスカヤが、クラブ経営の世界に戻ってくることはないでしょう。選手の売買やユース強化の手腕をリスペクトしていただけに、残念な話です。2つの記事を読んだのは昨夜のこと。「フットボールロンドン」は26日付で、「ガーディアン」は25日です。ジェットコースターに振り回されているような不思議な時間でした。


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