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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マンチェスター・ユナイテッドファン注目!ファーガソンがわかる2冊の本

サー・アレックス・ファーガソンを多少なりとも知る人々は、異口同音に「よくわからない」「本音が見えない」「複雑」と表現します。それは、長い監督歴のなかで、戦略的発言、オフィシャルコメント、本音をそれぞれの場と状況に合わせて使い分けてきたことに伴う評価でもあるでしょう。また、「繊細さと大胆さ」「無類の優しさと容赦ない厳しさ」という相反する要素が彼自身のなかで同居している、という面もあるかもしれません。

いずれにしても、これだけの実績をどうやって達成してきたのか、という単純な興味も含めて、好奇心をそそる人物であることは間違いありません。そんなサー・アレックスの一端が覗ける、2冊の本のご紹介です。

まず1冊めは、「ファーガソンの薫陶~勝利をもぎ取るための名将の心がまえ」(田邊 雅之著)。こちらは、いわば組織のトップであるファーガソンのマネジメント論です。組織のコンセプトをどう創り、どう守るか。人材の採用、育成についての考え方と手法。優秀ではあるが枠からはみ出やすい選手の扱い方。新しい情報をいかにキャッチし、どんな形で組織に取り込むか。困っている人にはとことん手を差し延べ、傲慢な人間には毅然とした対応をする、マネージャーとしてのファーガソンの姿がうかがえ、ビジネスのヒントにもなります。全体的に掘り下げは弱いものの、香川真司獲得のプロセスという興味深い話にも触れており、読みやすい一冊です。

もう一冊は「監督の日記」(アレックス・ファーガソン著)。いささか時代は古くなりますが、1996-97年シーズン、マンチェスター・ユナイテッドに起こったさまざまな出来事について、ファーガソン自身が綴った日記形式の本です。シアラー獲得交渉、チーム内のトラブル、ベッカムとの微妙な関係、そして、彼が唯一すべてを称え、すべてを赦した「キング・カントナ」との別れ。その時々で、彼が何を考え、どうアクションしたのかが生々しく描かれ、あいまいさを排除した冷静な語り口につい引き込まれていきます。

2冊の読後感ですが、
「このひとが上司だったら、尊敬し吸収し、必死についていこうとするけれど、そのストレスは並大抵のものじゃないだろうな」といったところでしょうか。「こんなところまで、自ら動いて対処しているんだ!」と思いました。中小企業のワンマン社長というか、金八先生というか…毀誉褒貶相半ばするエキセントリックな上司が、各論まで把握しているとなれば、部下は相当きついでしょうね。
興味ある方は、ぜひ読んでみてください。ユナイテッドファンならクラブへの愛が深まります。ファンじゃなくても、読めばプレミアリーグがますます楽しくなります。

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