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2016.06.26 ユーロ2016

シュートを打たない国、枠に飛ばない国…低調ラウンド16で、シェルダン・シャキリは見事でした!

ポーランドVSスイス、ウェールズVS北アイルランド、ポルトガルVSクロアチア。それぞれ古豪復活、英国対決、ダークホースの激突といったテーマがあり、特に最初の2試合はプレミアリーグ勢の活躍が楽しみだったのですが、エキサイティングだったのはPK戦にもつれ込んだポーランドとスイスだけでした。ユーロ2016、ラウンド16。今大会は、1試合あたりのゴール数が1.78と近年の国際大会では最も少なく、この日登場したポーランド、スイス、北アイルランドはたった2ゴールでグループステージを突破したチーム。北アイルランドは総シュート数17本で、1試合あたり6本にも満たない貧攻ながら、3位まで通過できる恩恵を受けてここにいる国なのです。クロアチアに勝ってベスト8進出を決めたポルトガルもまた3位通過組ですが、彼らは未だに90分で1回も勝っていません。そんな低調なチームが、クリスティアーノ・ロナウドの乱射により、グループステージの総シュート数69本と24ヵ国中トップなのですから、大会のゴール数が少なくなるのも致し方ありません。

初日の3試合の顔ぶれを整理しましょう。ポーランドVSスイスは、2ゴールで抜けてきたチーム対決。ウェールズVS北アイルランドは、大会最多6ゴールと通過組最少2ゴールの対決。ポルトガルVSクロアチアは、枠外シュート数13本とNo.1のクリスティアーノ・ロナウドを擁する最多シュート国に、前回王者に勝ったチームがどう対抗するかが焦点の試合です。ポーランドが勝ったゲームは、プレミアリーグファンとしてはたまらない一戦でした。1-1で120分を終え、グラニト・ジャカの失敗でポーランドがPK戦を制したゲームの2点は、スウォンジーのGKファビアンスキとストークMFシャキリの素晴らしいプレイが生んだ美しいゴールシーンだったからです。

39分、スイスの波状攻撃を止めたファビアンスキが左サイドのグロスツキに通したロングスローは、アシストをつけてあげたくなる最高のボールであり、判断でした。カウンターとなり、ドリブルで進んだグロスツキが逆サイドでノーマークだったブワシュチコフスキにラストパスを通した瞬間、勝負あり。今大会絶好調のスイスGKゾマーも、1対1であれだけ時間を与えたら止められません。1-0となったゲームは後半に入るとスイスペースになりますが、ファビアンスキは72分にも、リカルド・ロドリゲスの完璧に近い直接FKを弾き出すビッグセーブを披露。ポーランドが4試合連続の無失点で勝つと思いきや、79分、シャキリのエクセレントなオーバーヘッドが炸裂!右ポストの内側を叩いて決まったシュートは、あまりに美しくて今でも思い出すと震えます。こんな選手が中堅クラブにいるプレミアリーグは、やはり贅沢です。両者合わせてシュート50本の死闘は、スイスに1回しか負けたことがない古豪ポーランドに軍配が上がりました。

ウェールズと北アイルランドは、打って変わってシュートの少ないゲーム。ウェールズの枠内シュートはGKマクガバンの好守に阻まれたベイルの直接FKのみ、北アイルランドのショット数は6本と、両者とも「いつもと同じ」です。試合を決めたのは、2人のガレスでした。ラムジーのパスに走って左から高速クロスを入れたガレス・ベイルが勝者。中央でロブソン=カヌの前に入って先に触りながら、オウンゴールにしてしまったガレス・マコーリーが敗者です。両者ともプレミアリーグの選手が多く、前のめりで観ていたのですが、10分のダラスとベイルのブレ球FKしか盛り上がるシーンがない微妙なゲームでした。後半は粘り強く攻め続け、幸運な形ながらもゴールを奪って逃げ切ったウェールズが、勝利にふさわしかったと思います。

ここまでの4チームは、守って数少ないチャンスを活かすリアリストたちだとわかっていたのでいいとして、いちばん好ゲームを期待していたポルトガルとクロアチアが、117分まで両者枠内シュートゼロとは…。クリスティアーノ・ロナウドは今までの乱射モードが嘘のように、クアレスマの決勝ゴールにつながった右からの一発以外は完全沈黙。クロアチアはクロスに精度を欠き、勝てる相手からゴールを決められませんでした。うーん、どうなんでしょうか、24ヵ国。3位でも4つまで通過できるという緩さがグループステージでむやみに守るチームを生み、決勝トーナメントで予選レベルの試合が展開されているのを見て、「16ヵ国参加、2位までがグループステージ通過、ゴールを奪って勝ってきた強者がトーナメントを戦う」という仕切りに戻したほうがいいのではないかと思いました。ラウンド16がなくなれば、中2日という厳しい日程に息切れ気味だったポルトガルのようなチームはなくなるでしょう。

日本時間1時からの試合では、北アイルランドのサポーターが、ウェールズの応援席に向かって「俺たちは残留に投票した、バカじゃないから残留に投票したぜ!」と、さっそくEU離脱ネタで煽っていたようですね。プレミアリーグを愛する者としては、このお話がラウンド16初日最大のトピックスでした。敗戦の後、北アイルランドのサポーターは、「1週間に2度もウェールズにやられるとは…」。何でもジョークにしようとするイギリス人らしいエピソードです。

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“シュートを打たない国、枠に飛ばない国…低調ラウンド16で、シェルダン・シャキリは見事でした!” への4件のフィードバック

  1. queen より:

    ポルトガル戦は歴代でもつまらない試合上位に入ると言われていますね。個人的にはチームだけでなく、審判が笛を鳴らし過ぎていたのも一因かと思いましたが。
    サポーターとしては勝ってくれれば充分なんですけどね。

    グループ三位が残れることのメリットとしては、
    ・三試合目で進出が決定しているチーム同士の「手抜き試合」が減ること
    ・純粋に試合数が増えるので、たくさん楽しめること
    があると思います。

  2. リバサポ より:

    ウェールズと北アイルランドは、より大国とやるところを見たかったですね。どちらも番狂わせを起こせそうなチーム作りだっただけに、ちょっとチームカラーが似通ってしまったかなと。
    個人的にはオニールが面白い監督なので、今後の動向に注視していきます。

  3. ガナユ より:

    3位通過でいいならどこのチームも守備的に戦いますよね。

    スポーツレベルという意味では下がりますが、サッカー後進国でユーロに縁のなかった国が出れる様になりその国のサッカー熱があがる要因にもなり得るので

    一長一短ですね(笑)!

  4. makoto より:

    queenさん>
    「純粋に試合数が増えるので、たくさん楽しめること」→これをいわれると弱いです。アイスランドの勝利をみて、24ヵ国賛成派に寝返りそうになってます(笑)

    リバサポさん>
    そうですね。スペインやフランスと戦うところを観たかったですね。

    ガナユさん>
    そのいい方にも弱いです。難しい一長一短ですね。

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