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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ビッグセーブ連発のメンディと代わったケパ、22人めのミスキック…リーグカップ王者はリヴァプール!

リヴァプールが最後に優勝したのは、ケニー・ダルグリッシュが指揮を執っていた2011-12シーズン。チェルシーが勝てば、ジョゼ・モウリーニョ時代の2014-15シーズン以来のトロフィーとなります。ウェンブリーで開催されるカラバオカップ決勝。2022年は無敗のリヴァプールは、公式戦9連勝。プレミアリーグでは取りこぼしが目立つチェルシーも、直近は6連勝です。

プレミアリーグ2位のチームから、先発メンバーをチェックしておきましょう。GKケレハー、DFアーノルド、マティプ、ファン・ダイク、ロバートソン、MFファビーニョ、ナビ・ケイタ、ヘンダーソン、前線はサラー、マネ、ルイス・ディアス。ノリッジと戦うミッドウィークのFAカップ5回戦で、主力を休ませるという算段でしょう。

多くの負傷者を抱えるトゥヘル監督は、ワントップにカイ・ハヴェルツを据えています。GKメンディ、3バックにチャロバー、リュディガー、チアゴ・シウヴァ。2センターはカンテとコヴァチッチ、WBにはアスピリクエタとマルコス・アロンソ。トップの後ろはメイソン・マウントとプリシッチです。キックオフを迎える前から、大歓声に包まれたウェンブリー。この空気こそが、イングランドの国内カップファイナルです。

6分、左からドリブルで中央に流れたのはカイ・ハヴェルツ。ボックス右でパスを受けたアスピリクエタがダイレクトでゴール前に転がすと、走り込んだプリシッチのフィニッシュはケレハーがビッグセーブでしのぎました。12分に左から上がったサディオ・マネがチャロバーをかわし、ニアのルイス・ディアスに打たせますが、右足の一撃はコースを塞いだ青い壁に阻まれます。

16分、左に出たスルーパスでフリーになったのはカイ・ハヴェルツ。鋭いグラウンダーを足元に収めたメイソン・マウントと、リバウンドに反応したコヴァチッチの連打は、いずれもマティプがブロックしています。18分には、アーノルドのアーリークロスが最終ラインに並んでいたマネへ。やや後ろに出たため、10番はコントロールできず、ヘディングシュートは右に逸れていきました。

22分、FKからのサラーのショットは左にアウト。この時間帯は、チェルシーが守りにまわるシーンが増えています。30分、ファン・ダイクが縦のロングフィード。ルイス・ディアス、マネと左でつながったアタックは、ボックス手前で落としをもらったナビ・ケイタの素晴らしいミドルをメンディが右に飛んでセーブしました。

こぼれ球に詰めたマネが押し込んで決まりと思いきや、倒れながら腕を伸ばした守護神が上に弾き出すビッグセーブ!両手を挙げる準備をしていたレッズサポーターは、そのまま頭を抱えています。39分にカイ・ハヴェルツの縦パスがボックス右に通り、プリシッチが右足を振り抜くと、ケレハーは無理せず左に弾きました。

42分、左からのクロスのクリアがアスピリクエタの足元に入り、カイ・ハヴェルツをポストに使ったWBが左足で狙いますが、ボールは惜しくもファーポストの外に切れていきました。45分、メイソン・マウントのドリブルで速攻がスタート。右で受けたカイ・ハヴェルツがダイレクトで中央にラストパスを通すと、フリーだったプリシッチのボレーは右に外れてしまいました。

前半は0-0。後半開始から攻めているのはチェルシーです。47分にボックス左を突破したカイ・ハヴェルツのグラウンダーは、プリシッチの右足の先を抜け、2分後にプリシッチの浮き球でケレハーと1対1になったメイソン・マウントのフィニッシュは、右のポストにヒットしました。

50分には中央にいたルイス・ディアスがボックスに浮かし、マネが抜け出すも、勇敢なメンディが飛び出してパンチ。負傷したアスピリクエタが57分にリタイアとなると、リース・ジェームズが久々に右サイドに戻ってきました。1分後、左から抜け出したメイソン・マウントがカイ・ハヴェルツをポストに使い、右足でシュート。強さは充分でしたが、コースはケレハーの正面です。

64分、ボックスを出たメンディのキックをファビーニョがカットし、マネのラストパスでサラーがGKと1対1。右隅を狙ったループシュートは、必死に戻ったチアゴ・シウヴァが外に掻き出しました。67分にFKからマネ、マティプとヘッド2発で決まったゴールシーンは、オンフィールドレビューでファン・ダイクがオフサイドを取られました。

トゥヘル監督は73分にメイソン・マウントとプリシッチを諦め、ルカクとヴェルナーを投入します。76分、アーノルドの超絶ロングフィードで左から抜け出したのはルイス・ディアス。1対1で股間を狙ったシュートは、想定していた守護神が足でブロックしました。79分、クロップ監督が3枚代えを敢行。ヘンダーソン、ナビ・ケイタ、マネに代わって、ミルナー、エリオット、ジョッタです。

85分、ショートコーナーからのゴール前の混戦は、ジョッタ、マティプ、ロバートソンが決め切れず。90分にCKを叩いたファン・ダイクのヘッドは、メンディのビッグセーブに阻まれました。6分の追加タイムは何も起こらず、勝負は延長戦に持ち越されました。ここでマティプが下がり、コナテ。クロップ監督の最後のカードは、97分にルイス・ディアスをオリギでした。

縦パスで抜け出し、ネットを揺らしたルカクは、ファン・ダイクより腕がぎりぎりで出ていただけのオフサイド。延長後半の頭にコヴァチッチが下がり、ジョルジーニョがカンテの脇にいます。110分、ルカクのクロスをボックス左で受けたカイ・ハヴェルツが決めたシーンも、ラインズマンのフラッグでノーゴールです。

サラーは疲れ、ジョッタはトップフォームではなく、オリギはゲームに入れていないように見えます。120分、トゥヘル監督はメンディに代えてケパ!PK戦を見越した交代策は、実を結ぶのでしょうか。5人めのサラーとジョルジーニョが決めて5対5。21人が決め続けたPK戦を終わらせてしまったのは、11本のシュートを止められなかったチェルシーのGKでした。

ベンチでケレハーを見守っていたアリソンと、ビッグセーブ連発でチームをPK戦に導いたメンディは、どんな思いでラストシーンを見届けたのでしょうか。ケパが打ち上げた瞬間、ウェンブリーに歓喜の声が挙がり、やがて「You’ll Never Walk Alone」がピッチを包みました。

どちらが勝ってもおかしくなかった一戦は、ミスキック1発で決まりました。トロフィーを高々と掲げたファン・ダイクの笑顔を見ながら、勝者と敗者はかくも残酷なコントラストを描くものかとあらためて思いました。レッドライトのなかで、喜びを爆発させるレッズの選手たち。2つのチームに差はなく、コナテのPKが数センチ下にいっていたら、そこにいたのは青いシャツだったかもしれません。

レッズサポーターのみなさん、おめでとうございます。この日出番がなかった彼にも、拍手とともに言葉を添えたいと思います。準々決勝のレスター戦、追加タイム5分のあなたのゴールがなければ、アンフィールドにトロフィーを持ち帰ることはできなかった、と。5戦4発の南野拓実は、レッズの歴史に名を残すでしょう。次の夏に、クラブに別れを告げることになったとしても。(ケパ・アリサバラガ 写真著作者/Vyacheslav Evdokimov)


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“ビッグセーブ連発のメンディと代わったケパ、22人めのミスキック…リーグカップ王者はリヴァプール!” への1件のコメント

  1. 五月病のこじらせ上手 より:

    まさに激闘の一言です。120分戦い続けた両チームに拍手を。。
    PK戦はいつも残酷を絵に描いたような結末を迎えますが、この試合はそれをさらに越えるものでした。
    GK同士のPKにまで順番が巡ってからの劇的な幕切れは両サポーターとも悲喜こもごもではなかったでしょうか・・。
    眠い眼をこすりながら長く続いた試合を見てよかったとレッズファンの私は心底思いました。これがブルースファンであったらと思うと・・。

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