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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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堅守の中盤、止まらないマネとタディッチ…セインツに力負けのアーセナル、3回戦で散る!

キャピタルワンカップ3回戦のいちばんの目玉は、アーセナルVSサウサンプトン。プレミアリーグで2位につけているセインツが、エミレーツに乗り込んできます。昨季のプレミアリーグで8位にジャンプアップしたセインツは、この夏、ルーク・ショー、ララナ、リッキー・リー・ランバート、チャンバースを続々とトップクラブに持っていかれ、オズバルド、ガストン・ラミレス、ホーフェルトも期限付きで放出。今季はどうなるのかと心配されておりましたが、クーマン新監督の補強とチームづくりは的確だったようです。

彼だけは出さないと、クーマン監督が粘って残留させたシュナイデルランとワニャマの2人のセントラルMFがチームの軸。ワントップには、フェイエノールトで57試合50ゴールの点取り屋グラツィアーノ・ペッレ、その後ろにはテクニシャンのタディッチが入り、前の迫力は昨シーズンと比べても遜色ありません。プレミアリーグでは成長著しいウォード=プラウズがタディッチとコンビを組んでおりましたが、この日のガナーズ戦では、移籍市場締め切り前日に獲得した「隠し玉」サディオ・マネが初お目見え。ザルツブルグで87試合45ゴールと、得点力のあるドリブラーは、アーセナルのDF陣も手を焼くでしょう。吉田麻也は負傷で欠場となりましたが、フォンテとガルドシュのCBコンビなら問題なし。シェーン・ロング、バートランドなどプレミアリーグ経験のある即戦力もベンチに控え、昨季に決して劣らない戦力の充実ぶり。ジェイ・ロドリゲスが復帰しても、すんなりレギュラーに戻れるかどうかはわかりません。

一方のアーセナルは、プレミアリーグでは未だ出番のないGKオスピナがデビュー。中盤にポドルスキ、ロシツキ、ウィルシャー、ジョエル・キャンベルが並び、ディアビがアンカーとして帰ってきました。トップにアレクシス・サンチェスが入り、最終ラインにはベジェリン、ヘイデンの若手の顔もあります。ターンオーバーしたメンバーで、セインツの勢いを止められるのかと懸念していると、さっそく8分にペッレとオスピナが1対1。ここはコロンビア代表GKが勝ちますが、やはりセインツの攻撃陣は要注意です。

セインツの攻勢をしのいだアーセナルは、すかさず反撃。10分、ウィルシャーのクロスにロシツキがヘッドで合わせると、12分の直接FKはアレクシス・サンチェス。ペナルティエリア外、やや左の絶好の位置からのキックは、カーブをかけた芸術的な一撃。壁を越えたボールはそのままゴール左上に吸い込まれ、ガナーズ、先制です。これでホームチームが勢いに乗るかと思いきや、ペースを握るのはセインツ。アーセナルは、キャプテンのアームバンドを巻いたロシツキがよくなかったですね。周囲の選手を使えないだけでなく、18分にはペナルティエリア内でマネを引っかけてしまい、PK。これをタディッチがど真ん中に決め、ゲームは振り出しに戻ってしまいました。

1-1となってからも、セインツは再三、アーセナルゴールに迫ります。中盤で効いていたシュナイデルランとワニャマがボールを奪うと、タディッチやマネに展開。ガナーズ守備陣は、セインツでいちばん動けていたマネにドリブルで翻弄され、自分たちのペースに持ち込めません。28分には中盤でカットしたボールが最前線のペッレに流れ、ニアに強烈なシュートをもらうと、39分、この試合を決めるスーパーゴールがセインツに飛び出します。CKのクリアを右で拾ったナサニエル・クラインが、ワントラップで迷わずロングシュート。突き刺さるという表現がぴったりの一撃をGKオスピナは触れず、アウェイのセインツが1-2としてハーフタイムです。

後半開始早々の48分にも、左からのクロスをタディッチがダイレクトで折り返し、中央からのシュートがゴール左隅を襲いますが、これはオスピナが何とかキャッチ。63分にも直接FKをタディッチに狙われ、強烈なシュートはオスピナがダイビングで弾き出します。なかなか攻撃の形が創れないアーセナルでしたが、65分のディアビのミドルシュートの直後、後半最大のチャンス。右サイドでポドルスキがフリーのベジェリンへつなぐと、ラストパスをゴール正面で合わせたのはアレクシス・サンチェス。至近距離からのシュートは、惜しくもGKフレイザー・フォースターに阻まれ、1-2からスコアは動きません。

ヴェンゲル監督は、ディアビをカソルラ、ジョエル・キャンベルをチェンバレンに代えるものの、シュートに持ち込めるシーンを創れません。左サイドはナサニエル・クラインに封じられ、チェンバレンやベジェリンが時折抜け出す右サイドも、グラウンダーはことごとくガルドシュやフォンテにブロックされます。ロシツキはパスに正確さを欠き、ウィルシャーはボールを持ち過ぎでした。左に開いてスペースを創ろうと奮闘するのはアレクシス・サンチェスひとり。他の選手に動きが少なく、中央に入る楔のパスは、プレミアリーグ5試合で3失点とナンバーワンの堅守を誇るセインツにはね返されます。

終盤に入っても、チャンスが多いのはリードしているセインツのほうでした。85分のCKでは、ペッレのシュートがバーすれすれ。追加タイムにもカウンターから途中出場のシェーン・ロングに飛びこまれ、あと50センチクロスがずれていれば3点めというチャンスを創られます。最後までいいラストパスを出せなかったアーセナルは、エミレーツでセインツに完敗。ヴェンゲル監督がメンバーを落としていたのは確かですが、セインツも吉田麻也、アルデルヴァイレルト、ウォード=プラウズを欠いており、ベストメンバーでも勝てたかどうかわからない力負けでした。

この試合は、勝ったクーマン監督をほめるべきでしょう。アーセナルの攻撃に対して最終ラインを下げ過ぎず、中盤の丁寧なチェックで危険なパスコースをつぶし続けたことが、ウィルシャーやロシツキの焦りを誘っていたと思います。アーセナルは、中央でのボールロストもさることながら、サイドのポドルスキとジョエル・キャンベルも何もできず、必然の敗戦でしょう。プレミアリーグ2位のセインツは、今後どこまで踏ん張れるでしょうか。キャピタルワンカップ上位進出も期待できるイングランド最南端のクラブが、今季もさまざまなコンペティションで優勝候補たちを悩ませそうです。

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“堅守の中盤、止まらないマネとタディッチ…セインツに力負けのアーセナル、3回戦で散る!” への4件のフィードバック

  1. サッカー小僧! より:

    更新ご苦労様です。

    まずロシツキに関しては・・・正直止むを得ないと思いますよ。今季初先発の彼にいきなり
    違いを生み出す特別な働きを期待するのは酷ではないでしょうか?彼がその真価を発揮する
    のはこれからでしょう。来週のCLで彼を起用すれば今朝の動きが嘘の様な働きを見せると
    私は確信しています。もう少し出場機会を与えて欲しいですね。

    逆にポドルスキは厳しいかもしれません。私は現在のポドルスキに後期のアルシャヴィンの
    姿を重ねてしまっています。何かこう動きに覇気がないというか・・・

    ディアビは今朝からの回復次第でしょう。今朝のプレーは悪くなかったように思いますよ。
    とにかくディアビはどれだけ健康体を保てるかに全てがかかっています。

    他の若手にも私は悪い印象は抱きませんでした。彼等はまだまだこれからの選手ですから。
    少しずつ経験を積んで素晴らしい選手に成長してほしいです。

    週末は今朝出場の試合で休んだメンバーが中心でしょう。エジルとラムゼイを中央に並べて
    サイドにサンチェスとカソルラを配する布陣がベストだと私は思います。ウィルシャーには
    休養を与えて来週のCLで爆発して欲しいです。

    —–
    相手がセインツとはいえ、ホームで負けたのは頂けないですね。
    ただ、若手・控え選手の出場機会を与えられないのは痛いですが、
    DFラインの層が薄すぎるので、キャピタルワンカップの敗戦は
    まぁ仕方なし・・・と、前向きに考えるしかない、と思います。

    ただ、ポドルスキのCFはもう機能しないので、CFならキャンベルを
    起用してあげて欲しいですし、できれば冬に彼は放出すべき、だと思います。
    とはいえ、週給高いんで、手を挙げてくれるクラブがないんでしょうけどね・・・。

  2. makoto より:

    tomoさん サッカー小僧!さん>
    私は、出れば何かをしてくれるロシツキに期待し過ぎたのかもしれません。それにしても、ポドルスキは元気なかったですね。キャンベルとポドルスキに、DFを連れて行く動きやボールをもらう動きがあれば、パスで崩す仕掛けが増えたのではないかと思います。

  3. セインツサポ より:

    いつも楽しく読んでいます!

    去年よりもセインツは強くなってる気がします。
    前線の選手は正直、獲得した時はあまり知らなかったのですが、みんなスゴいハマってるし、それぞれ個性があって面白いです。

    中盤の底がケガしないことを祈るばかりです。

  4. makoto より:

    セインツサポさん>
    そうですね。シュナイデルランとワニャマがいなくなると、厳しいですね。

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