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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

カンテ、完璧!10人のマン・ユナイテッドを撃破したチェルシーは、準決勝でスパーズと激突!

ペドロではなくウィリアン、セスクよりマティッチ。プレミアリーグとFAカップの二冠を狙うコンテ監督が手を入れたのは、2つのポジションだけ。スタンフォード・ブリッジで戦えるアドバンテージを得たイタリア人指揮官は、ただひたすら勝ちにきています。対するモウリーニョ監督は、プレミアリーグ27節のボーンマス戦でひじ打ちを咎められたズラタン・イブラヒモヴィッチを欠き、守備重視のメンバーです。GKデ・ヘア、DFはフィル・ジョーンズ、スモーリング、ロホの3バック。バレンシアとダルミアンがサイドに入り、セントラルMFはポグバとエレーラ。前線にはアシュリー・ヤング、ムヒタリアン、ラシュフォードが並んでいます。3-4-3同士の対決となったFAカップ準々決勝を制するのは、プレミアリーグ優勝を目前にしたチェルシーか、連覇をめざすマンチェスター・ユナイテッドか。守れる選手を前線と中盤に配したアウェイチームが、ジエゴ・コスタとアザールをどう抑えるのか、マルコス・アロンソとバレンシア、ヴィクター・モーゼスとダルミアンが対峙するサイドの攻防をどちらが制するのかに注目です。

2分、赤いユニフォームの最初のCKは、ロホのヘッドが高く浮いてしまいました。ジエゴ・コスタとロホ、ポグバとカンテが中盤でせめぎ合い、両者ともシュートレンジに届く前につぶされています。12分、ポグバの浮き球が右に流れたラシュフォードにつながり、落としを受けたムヒタリアンが左足でシュート。ニアを狙った一撃はポストの外を抜けていきますが、スピードのある選手が揃った今日のこのチームらしいアタックでした。13分にはバイタルエリアで空いたカンテがミドルシュート。15分、スモーリングをワンタッチでかわしたアザールが、ど真ん中からドリブルでロホを抜き去りクロスにシュートを放ちますが、デ・ヘアが触ってCKに逃れます。ニアへのCKがこぼれ、競り合いながらプッシュしたのはケーヒル。入ったかに思われたボールは、デ・ヘアが右に飛んで指先で弾き出すビッグセーブを見せ、スコアは動きません。圧倒的な攻勢に入ったチェルシーに対して、マン・ユナイテッドは相変わらず縦へのボールがつながりません。

劣勢のなか、マイボールを大事にし始めたマンチェスター・ユナイテッド。前を向いた選手にボールを預け、確実にパスをまわすようにすることでゲームは再び落ち着きました。30分、左からフィル・ジョーンズをかわして縦に持ち込んだアザールの左足シュートは、ニアにアウト。互角の展開だったゲームに、流れを変えるアクシデントが起こったのは35分でした。アザールを引っかけたアンデル・エレーラが2枚めのイエローで退場!脇から足をかけたプレイに対する厳しいジャッジに、エレーラは抗議し、モウリーニョ監督は不敵な笑みを浮かべています。フェライニを投入するために下げたムヒタリアンは、元々長く使うつもりはなかったのでしょう。ピッチ脇では、コンテ監督とモウリーニョ監督が激しくいい争っています。プレミアリーグの下位クラブのように引いたマン・ユナイテッドは、前半を0-0で終わらせました。10人のチームは、デ・ヘアに2人分の活躍をしていただき、ワンチャンスに賭けるほかはないでしょう。

当初は攻めていたマンチェスター・ユナイテッドは、5分もしないうちにゴール前にバスを停める戦い方にシフトしますが、51分に目論見はあっけなく崩されます。ポグバはカンテに厳しくいかなければなりませんでした。7番の地を這うようなミドルが左隅に向かったのは、デ・ヘアが真ん中にポジションを移した直後。ボールは名手の手の先を抜け、スタンフォード・ブリッジに絶叫がこだまします。

いかなければならなくなったマン・ユナイテッドに千載一遇のチャンスが到来したのは58分。ハーフライン付近でダヴィド・ルイスがヘディングをかぶると、その裏から単独で持ち込んだのはラシュフォード。19歳のストライカーがケーヒルを左右に揺さぶって抜くと、前にはクルトワだけ。シュートは悪くなかったものの、チェルシーの守護神はクロスへの弾道を読み切り、左足に当たって大きく跳ねたボールはゴールラインを割りました。直後、チェルシー得意のインターセプトからのカウンターは、4対2。左から上げたマティッチのクロスは、シュートを選ばなかったウィリアンの折り返しがDFにカットされてしまいました。

ジエゴ・コスタが初めてシュートをジャストミートしたのは62分のCK。デ・ヘアが動けなかったヘディングは、惜しくもポストの右に外れます。アウェイチームの守備網を包囲したチェルシーは、61分にもバイタルエリアに攻め上がったカンテが左のウィリアンに流し、ゴール右隅を襲うきわどいダイレクトショット。残り時間が20分を切っても、チェルシーが一方的に攻め続けています。髪を切ってダヴィド・ルイスと見分けやすくなったウィリアンが右から突破を図ると、ヴィクター・モーゼスが分身したようなビジュアルです。彼の速いグラウンダーが飛び込んだ選手に合えば、試合はそこで終わっていました。1-0、残り10分。ゴールを決めて互角にしたいモウリーニョ監督はアシュリー・ヤングをリンガード、ゴールを決めて楽になりたいコンテ監督はウィリアンをセスクです。

82分、フィル・ジョーンズのクロスが左に流れ、リンガードが中に落とすと、ポグバの左足シュートは右に切れていきます。相変わらず敵陣のボックスを包囲するチェルシー攻撃陣。相手がキープに逃げないのはマン・ユナイテッドの希望ですが、10人でがんばったチームに前に出るための燃料は残っていないようです。それでも追加タイムにラシュフォードとリンガードが左サイドでチャンスを創りましたが、クロスは低く、チェルシー守備陣が築いたニアの壁を越えません。ジエゴ・コスタが持ち込んだカウンターで、フリーのセスクのシュートをデ・ヘアがストップしたのがせめてもの意地でした。ズマとバチュアイを投入したコンテ監督のチームが逃げ切り、ベスト8進出を決めました。

やっぱりチェルシーは強かった、というのが最初の感想。そしてデ・ヘアに、最後まで希望をつないでくれてありがとうといいたい一戦でした。60分弱を10人で戦ったハンディキャップはあったものの、シュート数20対4は、ズラタンやキャリックを欠いたチームではプレミアリーグ首位チームとは歴然とした差があることを示しています。ミスが致命傷になる一発勝負ゆえ、より守備が計算できるウィリアンとマティッチを選んで真剣に勝ちにいったコンテ監督と、勝利を願いながらも3日後に控えたヨーロッパリーグのロストフ戦をチラ見したモウリーニョ監督の体温差も、両者の勢いに反映されたのかもしれません。いや、それでも悔しい。指揮官と選手たちには、オールド・トラフォードで4月に戦うプレミアリーグで、ぜひリベンジを果たしていただければと思います。

先ほど、4月にウェンブリーで開催されるセミファイナルの組み合わせが決まりました。チェルシーはトッテナム、アーセナルとマンチェスター・シティです。外野になったばかりのプレミアリーグファンとしては、決勝の第一希望はノースロンドンダービー、第二希望はポチェッティーノVSペップです。チェルシーサポーターのみなさん、すみません。私はブルーズが嫌いなわけではなく、この2シーズンのプレミアリーグを盛り上げてくれたポチェッティーノ監督に、何か残してあげたい気分になっているだけなのです。とはいいつつ、いざ決勝がアーセナルとなれば、ヴェンゲル監督のほうが気になってしまいそうですが…。もとい、ここは無心に好カードとなったセミファイナルを楽しみましょう。ビッグクラブの激突は、4月22日、23日です。

【FAカップ準々決勝結果】
ミドルズブラ 0-2 マンチェスター・シティ
アーセナル 5-0 リンカーン
トッテナム 6-0 ミルウォール
チェルシー 1-0 マンチェスター・ユナイテッド

【FAカップ準決勝組み合わせ】
チェルシー VS トッテナム
アーセナル VS マンチェスター・シティ

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“カンテ、完璧!10人のマン・ユナイテッドを撃破したチェルシーは、準決勝でスパーズと激突!” への3件のフィードバック

  1. nor より:

    早速の更新お疲れ様です。
    ポグバが離れた一瞬に振り抜いたカンテに運が味方しましたね。
    ウィリアンの交代時、コンテより先にモウリーニョがハグをしたのが印象的でした。

  2. fro より:

    序盤から荒くてその付けがエレーラにきた感じがしました
    ロホの踏み付けも処分あるかもしれないですしもう少し落ち着かないとどんどん目を付けられていきそうな気がします

  3. makoto より:

    norさん>
    ポグバについていってほしかったですが、カンテのシュートの素晴らしさに拍手を送って忘れようと思います。デ・ヘアがあれだけ止めており、劣勢は明らかでしたね。

    froさん>
    痛かったですね。よりによって代えが効きにくいエレーラでした。

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