イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ランパードが逃すか、アルテタが失うか。2年連続で決勝戦となった因縁のビッグロンドンダービーを想う。

人間というのは残酷なもので、誰かが何かを失うかもしれないというシーンを見ると、テンションが上がってしまうのです。ボクシングに熱狂する人は、勝てばチャンピオンだけど負ければ何者でもないという舞台装置に興奮を覚え、プレミアリーグファンは、「次の試合で負けたら解任」と煽る監督のゴシップを食い入るような視線で読み尽くします。チャンピオンズリーグの決勝戦に、初優勝を逃せば次のシーズンは出場権すらないというクラブが登場し、レアル・マドリードと互角に渡り合ったら、多くのサッカーマニアがチャレンジャーに肩入れするのではないでしょうか。

失うものが大きければ大きいほど盛り上がるのですが、実際に失った敗者のことをすぐに忘れてしまうのも残酷です。前回のワールドカップの準優勝はと問われ、即答できる人がどのくらいいるでしょうか。昨季のトッテナムのCLにおける大健闘も、いわれないと思い出せないという人が少なくないはずです。さて、CLのファイナリストはスパーズでしたが、ELは?そう、アーセナルです。CL出場権獲得まであと1歩に迫ったエメリ監督のチームは、チェルシーでのラストゲームと思い定めて戦ったエデン・アザールの素晴らしいアタックに屈したのでした。

既にCL出場権をキープしていたチェルシーは、2度めのELのトロフィーを獲得。勝てばCLへのチケットとEL初制覇をダブルでゲットできたアーセナルは、すべてを失ってバクーからノースロンドンという長すぎる帰路を辿ったのでした。あれから1年2ヵ月、ビッグロンドンダービーと称される因縁の対決は、ウェンブリーに舞台を変えて行われることになりました。

マンチェスター・ユナイテッドに勝ってFAカップファイナルに進出したチェルシーの監督は、42歳のフランク・ランパード。マンチェスター・シティを完封したアーセナルの指揮官は、12月にマネージャーデビューのミケル・アルテタです。普通に戦っても盛り上がる青年監督対決は、昨夜のプレミアリーグの結果によって、さらにおもしろくなってしまいました。アーセナルがヴィラに敗れ、プレミアリーグ8位以下が確定したため、ウェンブリーで敗れた際に失うものが大きくなったのです。

勝者は、「トップリーグの監督となった初年度にトロフィー獲得」という栄誉を手に入れることになります。しかし、敗者は…⁉ 既にEL出場権までは確定しているランパード監督は、最初のチャンスを活かせなかっただけで終われますが、アルテタ監督は「24年ぶりにアーセナルを欧州に連れていけなかった男」という厳しい表現を甘受しなければなりません。ランパードは公式戦28勝8分15敗、アルテタは14勝6分6敗で勝率はほぼ同じですが、再開後は7勝2敗とまずまずのチェルシーに対して、アーセナルは6勝1分4敗と苦しい戦いが続いています。

戦術の熟成度、主軸の経験値、若手の成長、直近の戦績、直接対決の結果、コンディションと、どこを取ってもチェルシー有利に見える決戦。何としてもEL本大会ストレートインの権利がほしいアルテタ監督は、前年王者と最新王者を倒した勝負強さを見せつけることができるでしょうか。決勝の組み合わせが決まった直後に、私は4つ年下の新人監督を応援する気分に支配されていました。初優勝を逃せば次のシーズンはEL出場権がなくなる劣勢の将、ランパードは逃すだけ、アルテタは失う…


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