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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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オーバメヤン2発、アルテタ初の戴冠!速攻に徹したアーセナルが、14回めのFAカップ制覇!

積年のライバルが激突するビッグロンドンダービー。ミケル・アルテタとフランク・ランパードが初のトロフィーを争う決戦。プレミアリーグで8位に終わったアーセナルが、ヨーロッパリーグ出場権を手に入れるラストチャンス。ウェンブリーで開催されるFAカップファイナルは、どんな表現で語ってもテンションが上がる一戦です。2人の指揮官は3-4-3を選択。それぞれ現在のベストメンバーです。まずは、アルテタの11人から紹介しましょう。GKマルティネス、3バックにホールディング、ダヴィド・ルイス、ティアニー。ジャカとダニ・セバージョスがセンターに入り、WBはベジェリン&メートランド=ナイルズ、前線はニコラ・ペペ、ラカゼット、オーバメヤンの3人です。

対するランパードは、プレミアリーグ最終節のウルヴズ戦と同じメンバーで臨んでいます。GKカバジェロ、3バックにアスピリクエタ、リュディガー、ズマ、アウトサイドにリース・ジェームズ&マルコス・アロンソ。中盤センターはジョルジーニョとコヴァチッチ、3トップのウィリアン、ジルー、メイソン・マウントという布陣です。キックオフから3分、左サイドを突破したのはメートランド=ナイルズ。ニアに入ったオーバメヤンのヘッドは、枠を捉えられません。チェルシーの最初のシュートは4分、右隅を狙ったメイソン・マウントのコントロールショット。マルティネスが左に飛んで弾き出し、事なきをえた1分後、元ガナーズのストライカーの素晴らしい判断でブルーズが先制します。

ジョルジーニョの縦パスを受けたプリシッチが左のメイソン・マウントに預けると、折り返しを受けたジルーが左足の裏で落とす絶妙なラストパス。ワンタッチでティアニーをかわしたプリシッチは、飛び出したマルティネスの左が空いているのを確認し、右足で軽く浮かしてネットを揺らしました。好調のドリブラーは、10分にも中盤でホールディングを抜き去り、右に流れて強烈なミドルを放ちます。マルティネスが右に反応してセーブし、追加点を阻止しますが、ガナーズ守備陣の対応のまずさが気になるシーンでした。

17分、ダニ・セバージョスのFKはカバジェロの頭上にアウト。徐々にガナーズが攻めるシーンが増えてきています。オーバメヤンのパスを受けたニコラ・ペペの完璧なダイレクトシュートが直前のオフサイドで取り消された1分後、ティアニーのロングフィードでオーバメヤンに裏を取られたアスピリクエタが肩をつかんで引き倒し、PKを与えてしまいます。プレミアリーグ22ゴールのエースが右隅に決めたのは28分。失点のきっかけとなったベテランCBは、32分に左のハムストリングを痛めてしまい、うつむきながらピッチを後にしました。

代役はクリステンセン、キャプテンマークはジョルジーニョ。36分にマルコス・アロンソの縦パスでメイソン・マウントがボックス左に入ると、折り返しに走り込んだジョルジーニョのシュートは高く浮いてしまいました。41分、ニコラ・ペペがファーに浮かしたボールをカバジェロが触れず裏に抜けると、飛び込んだメートランド=ナイルズはぎりぎりで触れず。3つ続いたCKはブルーズ守備陣が冷静に対応し、45分のラカゼットのFKは右に逸れていきます。

1-1の前半は、シュート数7対4と上回ったアーセナルペース。後半開始直後の46分、ハーフラインからドリブルを始めたプリシッチがボックスに侵入してシュートを打った瞬間、ハムストリングを痛めてピッチに倒れ込んでしまいました。代わって入ったのは、ブルーズでのラストゲームとなるペドロ・ロドリゲス。57分にジョルジーニョの浮き球を追ったメイソン・マウントは、ぎりぎりで触れず。ニコラ・ペペから始まったカウンターは、ラカゼットのパスを受けて中に斬り込んだオーバメヤンのシュートをクリステンセンがカットします。62分のリース・ジェームズのミドルは、うまくミートせず右に切れていきました。

67分、ドリブルで中央を突破し、クリステンセンにつぶされたのはベジェリン。こぼれ球を拾ったニコラ・ペペが逆サイドのオーバメヤンにラストパスを通すと、ズマをあっさり抜き去ったエースが左足のチップキックでカバジェロを無力にしました。2-1とリードされたランパード監督が使えるカードは残り1枚。73分にジャカを倒したコヴァチッチにイエローは厳しいジャッジですが、アンソニー・テイラーさんは容赦なく2枚めとレッドを突き付けました。彼が笛を吹いたチェルシー戦は3勝1分と負けなしのガナーズが、着実に勝利に近づいています。

78分にジルー、メイソン・マウント、リュディガーが下がり、ハドソン=オドイ、タミー・アブラハム、ロス・バークリーがピッチへ。アルテタ監督の1枚めは、81分にラカゼットをエンケティアです。87分、足を痛めたダヴィド・ルイスに代わってパパスタソプーロス。追加タイムは7分あります。96分、ボックス左を突破したペドロは、早い出足で足元に飛び込んだマルティネスがブロック。肩を強打したベテランウインガーは、100分を過ぎても酸素吸入を受け続け、やがて担架で運ばれました。103分、ティアニーに代わってコラシナツ。間もなくタイムアップの笛が鳴り、スタッフと喜びを分かち合ったアルテタ監督が選手たちの輪に駆け寄りました

スタンドで肩を落とすジルー。ピッチに入ってチームメイトと抱擁を交わすダヴィド・ルイス。古巣対決を終えた2人のコントラストが、スポーツのおもしろさと残酷さを炙り出しています。レノの負傷により、濃密な6週間を過ごすことになったマルティネスは泣いているようです。確実なキャッチングでクロスを処理し続けた守護神は、今日もヒーローのひとりでした。勝者は全員が「ALWAYS FORWARD 14」というプリントが入ったシャツを着ており、優勝回数とエースの背番号がかかったそのメッセージは、2ゴールのキャプテンに新たなサインを促しているように見えました。

選手たちは、ピッチ上のボックスに置かれたメダルを順次取りにいき、トロフィーをすくい上げたキャプテンが仲間の前でうっかり落とすパフォーマンス。史上最多となる14回めの優勝とユーロッパリーグ出場権を祝うセレモニーは、ソーシャルディスタンシングに則った簡素なものでしたが、彼らの笑顔は今までの勝者と変わらず晴れやかでした。グーナーのみなさん、おめでとうございます。最低だったシーズンに現れた最高の監督が、最後に歓喜をもたらしてくれました。

速攻に徹するゲームプランが実を結んだのは、前線に彼がいてくれたからです。ニコラ・ペペ、ティアニー、ダニ・セバージョス、ジャカ、メートランド=ナイルズは、ボールをキープするたびに居場所を確認していました。ピエール・エメリク=オーバメヤンに今、いいたいことはひとつだけ。来季のプレミアリーグとFAカップでも、素晴らしいゴールシーンを見せてください!


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“オーバメヤン2発、アルテタ初の戴冠!速攻に徹したアーセナルが、14回めのFAカップ制覇!” への2件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き より:

    アーセナルは良いサッカーをしていたと思います。幸運な面もありましたが決勝行くまでにもリヴァプールやシティに勝ってますし、チャンピオンチームに値する素晴らしいチームでした。
    チェルシーは怪我人に泣かされたのが全てだと思います。ただアルテタと比べても監督(コーチ)歴が浅すぎるランパードが若手中心&補強無しでPL4位とFAカップ準優勝、CLGS突破まで行ったのがサプライズで、来シーズンはこれにヴェルナー、ツィエク、もしかしたらハフェルツが加わってくると考えると末恐ろしいです。
    来シーズンはお互いのやりたいサッカーが出来ていると思うので、若き監督がどこまでやってくれるかとても楽しみです。

  2. n より:

    更新お疲れ様です。チェルシーにとっては不運が重なりました。いい入り方をしたのに、キャプテンとエースの負傷離脱は痛すぎました。後半に客席から覗いている様子がありましたので致命的な大事でばなさそうですが、度を超した連戦のツケが最後に来てしまいましたね。ラストゲームだったペドロは心配です。ジャッジには不満は残るものの、この状況下で決勝の舞台を見せてくれたチームには感謝です。CLは奇跡のみ頼るばかりなので、、

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