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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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的確だったクロップ、後手を踏んだアルテタ…ライバル対決はアウェイのリヴァプールが完勝!

両者ともに、こんなに早いラウンドで当たりたくなかったでしょう。FAカップ3回戦、アーセナルVSリヴァプール。アルテタ監督もクロップ監督も、ベストメンバーをどこまで入れ替えるか、苦慮したはずです。

さっそく、アーセナルから先発のリストを確認しましょう。GKラムズデール、DFベン・ホワイト、サリバ、ガブリエウ、キヴィオル。MFジョルジーニョ、ウーデゴーア、デクラン・ライス、FWサカ、カイ・ハヴェルツ、ネルソン。マルティネッリはベンチスタート、ジェズスは膝を痛めてメンバーから外れています。

対するリヴァプールは、サラーと遠藤航を欠いています。GKアリソン、DFアーノルド、クアンサー、コナテ、ジョー・ゴメス、MFマック・アリスター、カーティス・ジョーンズ、ガクポ、FWエリオット、ダルウィン・ヌニェス、ルイス・ディアス。開始3分、ラムズデールのフィードで抜け出したネルソンがアリソンと1対1になっています。

GKをかわしてゴールの左に出たウインガーは、ニアポストの前に戻ったコナテの足元を抜こうとして、外からサイドネットに引っかけました。最初の決定機をきっかけに、ペースをつかんだアーセナルは、右サイドを攻略しようとしています。ベン・ホワイトのスローインを、ゴールライン際のウーデゴーアが直接中央に送ったのは6分でした。

ジョルジーニョが左のネルソンに流すと、右足のシュートはブロックされてCK。1分後、カイ・ハヴェルツが左足で巻いたコントロールショットは、アリソンがセーブしています。プレスをかけたサカが、ジョー・ゴメスから奪ったのは11分。ボックス右でフリーのカイ・ハヴェルツが折り返すとネルソンは打てず、こぼれ球を叩いたウーデゴーアはバーに当ててしまいました。

枠にヒットしたボールの音で目が覚めたかのように、この後はレッズのポゼッション。クアンサーとコナテは敵陣に入り、ボールを左右に散らしています。アーノルドの縦のロングフィードが、右に流れたダルウィン・ヌニェスに通ったのは21分。ガクポに合わせたクロスはベン・ホワイトがカットし、CKからの9番のヘッドは右に逸れていきました。

ガナーズの反撃は26分。ウーデゴーアとのワンツーで中央に出たサカがキヴィオルに預け、ボックス左のネルソンに渡ると、落としを受けたサカのシュートは力が入らず、アリソンの正面です。デクラン・ライスが敵陣でマック・アリスターから奪った29分のショートカウンターは、ウーデゴーアのパスを受けたカイ・ハヴェルツのシュートを、戻った10番がブロックしました。

37分、デクラン・ライスのミドルはアリソンがキャッチ。サカがジョー・ゴメスを抜けず、後ろにこぼれたボールをベン・ホワイトが右足で叩くと、GKが上に弾き出してCKです。44分には、味方のプレスに連動したネルソンがクアンサーの縦パスをカット。左でもらったカイ・ハヴェルツはフリーでしたが、躊躇して放ったシュートはコナテに触られ、アリソンが懐に収めました。

45分にアーノルドが狙ったミドルは、テニスでいうところのスライスで、枠の手前で落とそうとした高度なテクニック。ラムズデールの指先を超えたボールは、クロスバーに阻まれました。前半は0-0。後半開始から間もない49分、サリバのロングフィードでジョー・ゴメスの裏に出たサカは、反転して放ったシュートを必死に着いたジョー・ゴメスにカットされました。

52分に右から突破を図ったルイス・ディアスは、3人に囲まれてコースを作れず、最後はデクラン・ライスが奪取。両者ともに、右サイドを徹底的に攻める展開になっています。アーノルドはダルウィン・ヌニェスの動きをよく見ており、再三縦パスを受ける9番の強引なチャレンジは、サリバがすべて適切な対応で抑えています。

57分、左からのFKのキッカーはウーデゴーア。ボックス左に滑らせたボールでカイ・ハヴェルツがフリーになり、中央に絶妙なボールを浮かしますが、サカの左足ボレーはバーを越えていきました。クロップ監督が動いたのは59分。マック・アリスターとガクポに代わって入ったのは、ジョッタとフラーフェンベルフです。

アルテタ監督は62分にネルソンを下げ、左サイドにマルティネッリ。64分にダルウィン・ヌニェスのパスを中央で受けたエリオットは足が合わず、右足のミドルはラムズデールが悠々とキャッチしました。キレキレのマルティネッリはアーノルドとエリオットを問題にせず、何度も抜き去ってゴールライン際に出るも、中へのボールはことごとくコナテにカットされています。

70分、エリオットの絶妙な浮き球でダルウィン・ヌニェスがベン・ホワイトの裏を取り、一気にボックスの手前へ。右でフリーだったルイス・ディアスに通れば決定機でしたが、ラストパスは7番の後ろに出てしまいました。75分にエリオットとカーティス・ジョーンズが下がり、ピッチに入ったのはブラッドリーとクラークの若手コンビです。

77分、左から中央に流れたジョッタがスイッチしたルイス・ディアスに預けると、左からニアを狙ったシュートはラムズデールがビッグセーブ。CKに競り勝ったジョッタのヘッドはバーにヒットし、こぼれ球に先着したダルウィン・ヌニェスは右に外しました。アーノルドが左から蹴った絶妙なFKがニアに入ったのは80分。キヴィオルのヘッドはゴールに飛び込んでしまいました。

81分にジョルジーニョをエンケティア。88分にはキヴィオルとカイ・ハヴェルツが下がり、トロサールとスミス・ロウ。94分のカウンターの起点は、フラーフェンベルフでした。左のダルウィン・ヌニェスがジョッタに預け、カットインした20番がボックス右に転がすと、空いていたルイス・ディアスがワンステップで打った素晴らしい一撃がニアポストすれすれに決まりました。

敵地でライバルを下したリヴァプールは3連勝、序盤の決定機を逃したアーセナルは3連敗。前半はシュートゼロだったルイス・ディアスを右、ダルウィン・ヌニェスを左にまわしたクロップ采配が結実しました。ハーフタイムのシュート数は13対2、オンターゲットは5対0。しかし後半はシュートが5対10、オンターゲット0対3と逆転しています。

リヴァプールの守備陣がマルティネッリに慣れた70分過ぎに、アルテタ監督は戦い方を見直すべきだったのではないでしょうか。0-1となってから投入したエンケティアは、13分でボールタッチがわずか1回。2人合わせてパス3本のトロサールとスミス・ロウは、遅すぎたというしかありません。選手を代えても単調なアタックを変えられなかったのが、ガナーズの最大の敗因でしょう。

後半の頭に前線を動かし、無理をさせたくなかったマック・アリスターを予定の時間で下げたクロップ監督は、運動量が落ちた中盤の2人を下げてアーノルドをアンカーにシフトさせました。プレミアリーグ出場ゼロの若手を2人も投入しても、アーセナルのシュートを1本に抑えられたのは、それぞれの役割をシンプルかつ明快にしたからでしょう。

最終的には引き出しが多いチームが勝った感がありますが、アーセナルが序盤のチャンスを決め切っていれば、結果は逆になっていたかもしれません。開始直後の1対1で逆サイドのサカが見えず、強引に打ったネルソン、ゴール前からのシュートをバーに当てたウーデゴーア、2度のショートカウンターを活かせなかったカイ・ハヴェルツといった数々の逸機が悔やまれます

ゴールを生み出したアーノルド、ジョッタ、ルイス・ディアスに加えて、病欠のファン・ダイクに代わって最終ラインを束ねたコナテと、冷静なセービングでクリーンシートを達成したアリソンも称えたい一戦。マルティネッリが出落ちで終わったのは、コナテのカバーが的確だったからでしょう。

勝ったレッズは視界良好。中2日のカラバオカップのフラム戦をクリアすれば、10日のブレイクに入ります。敗れたガナーズの次戦は、20日のクリスタル・パレス戦。ゴールは決められなかったものの、カイ・ハヴェルツを最前線に配する布陣は悪くないと思いました。気持ちを切り替え、セヴィージャ戦やブライトン戦の感触を思い出していただければと願っております。


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