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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

コヴェントリー大健闘!0-3から追いつかれたマン・ユナイテッド、PK戦を制してファイナル進出!

正直にいいます。勝つと信じていたのですが、終盤の失点でポイントを落とすゲームが続いていたので、勝つとは書けずにいました。FAカップ準決勝、コヴェントリーVSマンチェスター・ユナイテッド。キックオフを待つ聖地ウェンブリーの空気は、失うものがないチャンピオンシップのクラブの後押しになるのではないかと不安でした。

しかし最初の45分が終わったときは、勝利を確信していました。立ち上がりから厳しいプレスを続けたマン・ユナイテッドが終始ゲームを支配し、2ゴールをゲットしたからです。開始6分、オナナの美しいフィードを右にいたブルーノ・フェルナンデスが頭で落とすと、ガルナチョのスライディングボレーはミスキック。12分のラシュフォードのミドルはブロックされています。

最初の決定機は19分。カゼミーロのロングフィードで左からラシュフォードが抜け出し、GKコリンズと1対1になりました。しかし左足のフィニッシュは、右にアウト。ガルナチョのパスを受けたダロトが絶妙なグラウンダーを入れたのは23分です。GKコリンズは触れず、詰めたマクトミネイが左足でプッシュ。追加点をゲットしたのは、前半終了間際の45分でした。

ダロトの折り返しをラシュフォードがダイレクトで叩くと、コリンズが素晴らしい反応でセーブしてCK。ブルーノのキックに競り勝ったマグワイアのヘッドは完璧で、GKは1歩も動けませんでした。前半のシュートは1対11。カゼミーロとマグワイアの急造CBコンビは大いに不安だったのですが、オープンプレーから打たせておらず、後半も同じ戦い方を続けられれば完勝でしょう。

48分、左からのブルーノのミドルは、ファーポストをかすめてアウト。3点めが決まったのは58分でした。ガルナチョ、ブルーノ、ラシュフォードと左につながった速攻は、ボックス左に入った10番がラティボーディエルにカットされるも、こぼれたボールをブルーノが奪い返して左足でシュート。トーマスの足に当たってGKは逆を突かれ、ボールはニアポスト際に収まりました。

残り20分で0-3、シュート数は5対16。63分にタヴァレスが入ってから、ラシュフォードとワン=ビサカのサイドを攻められるシーンが増えたとはいえ、完勝を疑うほどの脅威はありません。サイドを攻められた際に、ニアの選手をフリーにするのが気になり始めた71分、タヴァレスのクロスをシムズが右足で合わせて、ニアポストすれすれを抜きました。

不安を膨らませる2点めが決まったのは、79分。左から上がったシムズが逆サイドのオヘアにパスを通すと、右足のミドルはワン=ビサカの背中に当たって左隅に落下しました。オナナはゴールに吸い込まれるボールを見送るのみ。水色のシャツが集まったスタンドが沸いています。2-3となり、勢いづくコヴェントリー。テン・ハフのベンチに、守備を強化するカードはありません。

85分、ロングスローからのクリアを叩いたトープの強烈なボレーは、オナナが上に弾き出すビッグセーブ。ガラタサライ、コペンハーゲン、ウルヴス、ブレントフォード、リヴァプール、チェルシー…終盤に追いつかれたり、逆転を許したりした苦い記憶が頭の中を駆け巡っています。追加タイムは6分。左のハジ・ライトのクロスがファーに入ったのは93分でした。

右から上がったビンクスがダイレクトで折り返すと、ボールはワン=ビサカの腕に当たってPK。ささやかなブーイングはかき消され、ゴールを期待して息を呑む空気がウェンブリーを支配しています。ハジ・ライトが冷静に決めて3-3。疲弊したラシュフォードは笛が鳴る前に下がり、アマド・ディアロがピッチに入っています。

シムズが抜け出しかけた98分のピンチは、オナナが果敢に飛び出してチームを救いました。プレミアリーグのクラブの楽勝かと思われた一戦は、延長戦に突入。立ち上がり4分、オナナのキックのクリアをカットしたホイルンドが中央から持ち込み、右でパスを受けたアマド・ディアロが後ろに落とすと、ブルーノの決定的なダイレクトショットはクロスバーに阻まれました。

103分にマクトミネイと代わったフォーソンは、右隅を狙った105分のシュートが枠にいきません。延長後半の開始直後、左からドリブルで突破を図ったマグワイアが、角度のないところから放ったシュートはコリンズがセーブしています。ラスト5分で2回、敗戦を覚悟しました。116分、中でキープしたハジ・ライトをブルーノがチェックすると、ボールはシムズの足元に入ります。

背負っていたワン=ビサカと、背後から迫ってきたエリクセンをかわした9番が右足を振り抜いた瞬間、思わず目を塞いだのですが、ボールはクロスバーを直撃。120分には、オヘアからハジ・ライトと左サイドでつながり、ニアへのグラウンダーをフリーのトープが右足で押し込みました。ついに3-4、ピッチに崩れ落ちるブルーノとダロト…。

VARの助言を得て、ジャッジはハジ・ライトがオフサイド。マンチェスター・ユナイテッドは屈辱的な逆転負けを逃れました。PK戦の最初に登場したカゼミーロが、真ん中に蹴ってコリンズに止められたときは、オナナは2~3本セーブすると信じていました。3人めのオヘアを右に飛んでセーブし、2-2のイーブン。ブルーノが決めると、4人めのシーフは打ち上げてしまいました。

最後のキッカーは、ボックス内から1本も打てなかったホイルンド。思い切り蹴ったボールが右隅に突き刺さり、マンチェスター・ユナイテッドは2年連続のファイナル進出を決めました。現地記者のみなさんは、「格下のチームに0-3から追いつかれた」と煽るはずですが、「CBがマグワイアしかいないピンチを乗り切った」と上書きしてしまいましょう。

ウェンブリーのマンチェスターダービーでリベンジを果たせば、来季も欧州で戦えます。しかし、マンチェスター・ユナイテッドの戴冠を予想する人はほとんどいないでしょう。怯む気持ちを落ち着かせるために、「次はわれわれがコヴェントリー」と念じましょう。今夜は彼らから、勇気をもらいました。ひたすら攻め続ければ、時に何かが起こるのがフットボールです。


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