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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

昨シーズンから4mもUP!リヴァプールの極端なハイラインは、リスクか利益か⁉

Liverpool’s high defensive line assessed ahead of Merseyside derby at Everton(エヴァートンとのマージーサイドダービーに先んじて、リヴァプールの高いディフェンスラインを評価する)」。プレミアリーグ4節のアストン・ヴィラ戦で7-2の大敗を喫したリヴァプールに対して、データ分析に長けた「スカイスポーツ」が警鐘を鳴らしています。極端に高い最終ラインは、リスクか利益か。優勝した昨季プレミアリーグで、ゴールから45m先にラインを敷いていたチームは、2020-21シーズンの4試合平均で4メートルも上げているそうです。

最終ラインのポジションが高くなるほど、CBとGKの間に広大なスペースができ、カウンターを喰らうリスクが高まります。既に4-1と引き離されていたアストン・ヴィラ戦の後半は、リスクを取って攻めなければならない状況だったとはいえ、全員がハーフラインを越えてプレイするシーンが多く、自陣から飛び出したヴィラの選手にラインの裏を取られ続けました。クロップ監督のチームが、危険を顧みずに圧力をかけ続けるのはなぜなのか。まずは、ハイラインによって得られる利益をアダム・スミス記者に解説してもらいましょう。

「ポゼッションを取ったチームが相手にプレスをかけ続けられる場合は、高いディフェンスラインはピッチを圧縮し、速いパスワークを可能にする。相手はプレイするスペースを失い、しばしばカウンタープレスによってボールを失うようになる。スルーパスによってハイラインを破られた際も、訓練されたラインがランナーをオフサイドにするケースが多い。速いDFはラストマンレースの勝利を託されている」

2019-20シーズンのプレミアリーグのスタッツを見ると、リヴァプールのスプリント数3980はリーグTOP。自陣40メートル以内にこもった相手を3本以下のパスで止めるプレスシークエンスも、678回で1位です。敵陣でのパス成功数10808本は、マンチェスター・シティの13599本に次ぐ2位。カウンタープレスとパスカットから幾度となく逆襲を仕掛けるチームに、ハイラインは必須アイテムです。

レッズの特徴をより際立たせるのは、相手のアタッカーをオフサイドにした回数です。142回は唯一の3ケタで、2位ウェストハムの99回と3位マン・シティの83回を大きく引き離しています。ラインからはみ出た選手を正確に捕捉してくれるVARは、彼らにとって大事な証人でした。10人のフィールドプレーヤーの平均ポジションを見ると、プレミアリーグ38試合3ゴール13アシストのアーノルドと36試合2ゴール12アシストのロバートソンは敵陣に位置しており、アンカーと2人のCBがアタッカーを止めていたのがよくわかります。フィルミーノとインサイドMFが中央でプレスを効かせており、4-3-3と紹介されるクロップ監督の布陣は、データで見ると3-5-2です。

昨季プレミアリーグで独走優勝を決めた最強チームは、新シーズンの4試合で自陣から49.2メートルという極めて高いラインを設定しています。ハーフラインから、手前にわずか3メートル。1勝1分1敗と苦戦しているマンチェスター・シティも、申し合わせたように同じ高さをキープしているのですが、彼らが危険なレベルに頭を突っ込んでいるのは、どうしてもゴールがほしくて圧力をかけ続ける時間が増えているからかもしれません。セーフティリードを築けば、引いてカウンターに徹したほうが安全かつ低燃費です。

開幕4連勝のエヴァートンの本拠地グディソン・パークに乗り込むマージーサイドダービーは、土曜日のランチタイムキックオフ。クロップ監督はいつも通りのラインで戦うのでしょうか。「彼らがオフサイドで終わらせようとするのは好きではない」と語るジェイミー・キャラガーさんは、リスクのほうが気になっているのでしょう。リシャルリソンとカルヴァート=ルーウィンという快足アタッカーとの駆けっこを避けたければ、パスの供給源となるドゥクレとハメス・ロドリゲスから自由を奪わなければなりませんが…。クロップの一貫性が勝つか、策士アンチェロッティの工夫が勝るか。昨季プレミアリーグ王者のフォーメーションは、中盤の顔ぶれとラインの高さに注目です。


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