偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ16節のマンチェスター・ユナイテッド戦は、アウェイながらシュート数で11対19と大きく上回ったものの3-0完敗。一昨日のアーセナル戦では、アンフィールドの声援を受けて27対6と圧倒したにも関わらず、終了直前まで1-2で敗戦寸前。リヴァプールのロジャース監督は、見事なダイレクトのはたきでカソルラを走らせ、股抜きシュートを決めた勝負強いオリヴィエ・ジルーを見て、決定力のあるFWの存在の重要さをあらためて痛感したのではないでしょうか。ここ数日のイギリスメディアは、1月の移籍市場でリヴァプールが新たなFWを獲得するというニュースをこれでもかとばかりに伝えています。

先週の本ブログでも、「リヴァプールに大物ストライカー獲得報道！5人の放出リスト＆6人の獲得候補」と題して、イグアインやジャクソン・マルティネス、ラカゼット、ベラヒーノなど、イギリス紙で名前が挙がっている数人のFWについて紹介しましたが、その後さらに新しいビッグネームがリストに入っていると伝えられています。なぜ、この人は毎年プレミアリーグ移籍の噂が出るのでしょうか。レアル・マドリードのカリム・ベンゼマ。「デイリー・エクスプレス」によると、フランス代表のストライカー獲得にかかる費用は、移籍金5000万ポンド（約94億1000万円）に加えてマドリードの評価を上回る12億円以上の高額年俸。「ベンゼマの立場は不安定。現状より高額なサラリーを提示されれば、彼はそれを断らないだろう」というスペインのジャーナリストのコメントまで報じられています。

いやー、さすがにこれはないでしょう。世界王者には14試合で25点という信じられないペースでゴールを重ねるクリスティアーノ・ロナウドがおり、ベンゼマが評価されにくいという面はあるかもしれませんが、13試合で8ゴールならまずまず。クリスティアーノ・ロナウドの量産は、彼のお膳立てによるところも大きいと思われます。8月に新たな4年契約を結んだばかりのベンゼマに移籍の噂が絶えないのは、マルコ・ロイスやアグエロなど、前線の選手の獲得話がメディアを賑わしているクラブならでは。ベンゼマを獲れればリヴァプールは確実に強くなりそうですが、100億という資金がかかるような大型補強は、あっても夏のお話だと思います。

一方、「メール・オンライン」が伝えている移籍話は、いい悪いはともかく、もう少し現実味があります。昨夏、プレミアリーグを離れ、ACミランに復活を賭けたフェルナンド・トーレス。2年のローンという異例の契約でイタリアに渡った元スペイン代表のエースは、10試合1ゴールと復活の兆しがみえず、ACミランはローンをキャンセルしたがっていると伝えられています。ジエゴ・コスタ、ドログバ、ロイク・レミーが揃うチェルシーには、既にフェルナンド・トーレスの居場所はなく、噂になっているアトレティコ・マドリードやリヴァプールがローンでの獲得を希望すれば、話がスムーズに進む可能性は高いでしょう。

問題は、今のトーレスがレッズに必要かどうかですね。ロジャース監督のチームに足りないのは、スタリッジとうまく連携してゴールを量産できる純粋なストライカーだと思います。ここ数年、ゴールが減ってしまったトーレスが古巣で復活するというストーリーに賭けるぐらいなら、まだまともにコンビを組んでいないバロテッリ＆スタリッジの熟成に賭けたほうが、勝算が高いのではないでしょうか。

現在噂になっている選手で、私がリヴァプールのユニフォームを観たいと思うのは、ゴール前で駆け引きができて遠めからも強いシュートを決められるラカゼットと、左右の足、頭とどれをとってもクオリティが高いジャクソン・マルティネス。確実性をとるなら、どんなクラブにいってもそれなりに点を獲るイグアインもいいと思います。WBAのベラヒーノもおもしろい選手ですが、スターリングとキャラかぶりな感があります。今のリヴァプールに欠けた能力を持つ選手が獲れれば、最近はシュートに持ち込むところまではよくなっているレッズのサッカーにバリエーションが増え、上位に食い込む足場が整うのではないかと思います。

「各クラブとも、シーズン途中にエースを放出するわけがないじゃないか」というご意見もあるでしょう。私も、普段はそう思っています。しかし、リヴァプールに関しては、どうも胸騒ぎがするのです。昨季のプレミアリーグを席巻したSASをいずれも1月に獲得したクラブなら、何かやってくれるのではないか、と。