2021.11.10 リヴァプールの話題
不調の左SB、復調途上の絶対的CB…リヴァプールの最終ラインに異変あり!?
プレミアリーグを制覇した2019-20シーズンは、最初の11試合で9失点。昨季は17失点を喫しましたが、アストン・ヴィラ戦の7-2惨敗を除けば、10試合で10失点です。絶好調ウェストハムに敗れ、4位に落ちたリヴァプールは、11試合で11失点。最強だったあの年より2つ増えてはいるものの、明らかに悪化したというレベルではありません。
2019年は秋までに2回しかなかったクリーンシートは、今季は既に6回。それでも私は、「リヴァプールの守備は脆くなっているのではないか?」という疑念を抱いています。2点リードから追いつかれたブライトン戦と、3-2で完敗したウェストハム戦を見て、その思いは一層強くなりました。現在の最大の課題は、ラインコントロール。その元凶はおそらく、2年前はプレミアリーグ最強だったヴィルジル・ファン・ダイクです。
まずは、ブライトン戦の気になるシーンを振り返ってみましょう。最初の綻びは、開始2分。ファン・ダイクが右サイドに上がって、トロサールにプレッシャーをかけた直後です。後方に残っていたのはロバートソンとコナテ。ラインを上げる判断が遅れたコナテは、ソリー・マーチと入れ替わって裏を取られてしまいました。アリソンのビッグセーブで難を逃れましたが、必死に間合いを詰めたロバートソンは、「オフサイドを取れたのに…」と思っていたはずです。
2つめは、後半が始まって4分。その後の失点の予兆となるピンチでした。GKのキックに対応したコナテのクリアをカットされ、縦に出たボールをララナがソリー・マーチに預けました。ファン・ダイクがカットしたボールがこぼれ、拾ったソリー・マーチがララナにリターン。問題は、この瞬間のロバートソンのポジションです。明らかに低すぎ、ララナを捕まえられなかったSBは、スライディングで抵抗はしたものの、フリーで強烈なシュートを打たれました。
そして65分。リヴァプールは、ついに追いつかれてしまいました。このときも、起点はGKロベルト・サンチェス。左にロングキックが飛び、コナテがアーノルドの裏をケアしようとサイドに寄ると、中央に斜めのパスが入り、ララナがキープした瞬間は3対2になっていました。対応したファン・ダイクは、右手側にいたトロサールにパスが出たとき、オフサイドを取ったと確信したのではないでしょうか。笛が鳴らなかったのは、背後にロバートソンがいたからです。
左SBの軽いタックルはあっさりかわされ、右足のシュートがニアに決まって2-2。ファン・ダイクの裏をケアしようとして中途半端な守備をしてしまったロバートソンは、2年前ならCBとともにラインを上げ、11番をオフサイドにしていたのではないかと思います。「元凶はファン・ダイク」と書いたのは、彼のパフォーマンスが著しく悪いということではなく、彼にまかせておけば大丈夫という信頼感が薄くなっているという意味合いです。
あの頃の4番は、絶対的な存在でした。2019年3月31日、プレミアリーグ32節のトッテナム戦の素晴らしい守備を忘れることはないでしょう。1-1の85分、カウンターを喰らってソン・フンミンとシソコがスプリントし、2対1の大ピンチ。左からドリブルで上がったシソコと対峙したファン・ダイクは、絶妙なポジショニングでソン・フンミンへのパスコースを消し、MFを縦に追い込んで苦手な左足のシュートを外させました。
裏に出るボールをすべて処理してくれたファン・ダイクは、右膝前十字靭帯損傷の長期離脱から復帰してからは、以前の強さを失っているように感じられます。ロバートソンの中途半端なポジショニング、ずるずる下がりがちなライン、カウンターに対する余裕のない対応は、オランダ代表が回復途上であると理解しているチームメイトの心の揺れに起因しているのではないでしょうか。
前節のプレミアリーグで、ウェストハムのフォルナレスが決めた勝ち越しゴールも、レッズらしからぬカウンター対応でした。チェンバレン、ファビーニョ、ロバートソンが緩いチェックでボーウェンに突破され、パスコースを切りながら遅らせるべきだったマティプが1発で獲ろうとして、中央へのスルーパスを許してしまいました。
最後まで追いかけたファン・ダイクは、シュートがネットに届いたのを確認すると、ボーウェンを止められなかった4人に怒鳴っていました。相変わらず裏を取られやすいアーノルドと、マティプやコナテの連携も継続課題。以前よりもミスが目立つようになったロバートソンがトップフォームを取り戻せなければ、サラーとマネがいなくなる1月が心配です。
とはいえ、プレミアリーグでは未だ1敗。アトレティコ・マドリード相手にダブルを決めてCL4連勝のチームに、さほど心配は要らないのかもしれませんが…。ムウェプのミドルとハマーズ戦のCK2発に頭上を越されたアリソンと、相手の背中を追いかける姿が目立つファン・ダイクのメンタルコンディションを案じつつ、憎らしいほど強かったチームの完全復活を期待したいと思います。
2019年は秋までに2回しかなかったクリーンシートは、今季は既に6回。それでも私は、「リヴァプールの守備は脆くなっているのではないか?」という疑念を抱いています。2点リードから追いつかれたブライトン戦と、3-2で完敗したウェストハム戦を見て、その思いは一層強くなりました。現在の最大の課題は、ラインコントロール。その元凶はおそらく、2年前はプレミアリーグ最強だったヴィルジル・ファン・ダイクです。
まずは、ブライトン戦の気になるシーンを振り返ってみましょう。最初の綻びは、開始2分。ファン・ダイクが右サイドに上がって、トロサールにプレッシャーをかけた直後です。後方に残っていたのはロバートソンとコナテ。ラインを上げる判断が遅れたコナテは、ソリー・マーチと入れ替わって裏を取られてしまいました。アリソンのビッグセーブで難を逃れましたが、必死に間合いを詰めたロバートソンは、「オフサイドを取れたのに…」と思っていたはずです。
2つめは、後半が始まって4分。その後の失点の予兆となるピンチでした。GKのキックに対応したコナテのクリアをカットされ、縦に出たボールをララナがソリー・マーチに預けました。ファン・ダイクがカットしたボールがこぼれ、拾ったソリー・マーチがララナにリターン。問題は、この瞬間のロバートソンのポジションです。明らかに低すぎ、ララナを捕まえられなかったSBは、スライディングで抵抗はしたものの、フリーで強烈なシュートを打たれました。
そして65分。リヴァプールは、ついに追いつかれてしまいました。このときも、起点はGKロベルト・サンチェス。左にロングキックが飛び、コナテがアーノルドの裏をケアしようとサイドに寄ると、中央に斜めのパスが入り、ララナがキープした瞬間は3対2になっていました。対応したファン・ダイクは、右手側にいたトロサールにパスが出たとき、オフサイドを取ったと確信したのではないでしょうか。笛が鳴らなかったのは、背後にロバートソンがいたからです。
左SBの軽いタックルはあっさりかわされ、右足のシュートがニアに決まって2-2。ファン・ダイクの裏をケアしようとして中途半端な守備をしてしまったロバートソンは、2年前ならCBとともにラインを上げ、11番をオフサイドにしていたのではないかと思います。「元凶はファン・ダイク」と書いたのは、彼のパフォーマンスが著しく悪いということではなく、彼にまかせておけば大丈夫という信頼感が薄くなっているという意味合いです。
あの頃の4番は、絶対的な存在でした。2019年3月31日、プレミアリーグ32節のトッテナム戦の素晴らしい守備を忘れることはないでしょう。1-1の85分、カウンターを喰らってソン・フンミンとシソコがスプリントし、2対1の大ピンチ。左からドリブルで上がったシソコと対峙したファン・ダイクは、絶妙なポジショニングでソン・フンミンへのパスコースを消し、MFを縦に追い込んで苦手な左足のシュートを外させました。
裏に出るボールをすべて処理してくれたファン・ダイクは、右膝前十字靭帯損傷の長期離脱から復帰してからは、以前の強さを失っているように感じられます。ロバートソンの中途半端なポジショニング、ずるずる下がりがちなライン、カウンターに対する余裕のない対応は、オランダ代表が回復途上であると理解しているチームメイトの心の揺れに起因しているのではないでしょうか。
前節のプレミアリーグで、ウェストハムのフォルナレスが決めた勝ち越しゴールも、レッズらしからぬカウンター対応でした。チェンバレン、ファビーニョ、ロバートソンが緩いチェックでボーウェンに突破され、パスコースを切りながら遅らせるべきだったマティプが1発で獲ろうとして、中央へのスルーパスを許してしまいました。
最後まで追いかけたファン・ダイクは、シュートがネットに届いたのを確認すると、ボーウェンを止められなかった4人に怒鳴っていました。相変わらず裏を取られやすいアーノルドと、マティプやコナテの連携も継続課題。以前よりもミスが目立つようになったロバートソンがトップフォームを取り戻せなければ、サラーとマネがいなくなる1月が心配です。
とはいえ、プレミアリーグでは未だ1敗。アトレティコ・マドリード相手にダブルを決めてCL4連勝のチームに、さほど心配は要らないのかもしれませんが…。ムウェプのミドルとハマーズ戦のCK2発に頭上を越されたアリソンと、相手の背中を追いかける姿が目立つファン・ダイクのメンタルコンディションを案じつつ、憎らしいほど強かったチームの完全復活を期待したいと思います。
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勿論長期離脱からの復帰途上なのでベストではないでしょうが、個人的には中盤でチェックしてくれていたワイナルドゥムの穴を埋め切れていないのが気になります