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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「コウチーニョ依存」「サイドが使えない」…辛口地元紙が主張するリヴァプールの問題点!

プレミアリーグ開幕からの4試合を2勝1分け1敗、勝ち点7。アーセナルとのアウェイ戦をドローに持ち込み、マンチェスター・ユナイテッドらと同勝ち点につけたリヴァプールは、順位表の数字だけ見れば素晴らしいスタートとはいえないものの決して悪くはありません。とはいえその内容は、決してほめられたものではありません。ベンテケやフィルミーノといった高額の攻撃的な選手を獲得しながら、4試合でわずか2ゴール。反撃できずに0-3と敗れた直近のウェストハム戦では、アンフィールドに詰めかけたサポーターが試合終了前に続々とスタジアムを後にするという珍しい風景がありました。衝撃の敗戦後、そのままインターナショナルマッチウィークに入る日程だったため、レッズサポーターやOBのみなさんは今週末のマンチェスター・ユナイテッド戦までの2週間という長い時間を鬱々とした気分で過ごす羽目になってしまいました。

そんな気分を反映してか、「リヴァプール・エコー」は連日のようにレッズの課題をレポート。彼らは地元紙ゆえに、他にもまして遠慮がなく、辛口です。ハリー・レドナップが「今のリヴァプールは、長い間私が見てきたなかでも最悪の部類に入る。ストーク戦は(コウチーニョの)スーパーゴールに助けられただけで、ボーンマス戦は負けてもおかしくなかった。アーセナル戦の前半は多少よかったが、今シーズンのプレミアリーグでもせいぜいトップ5に入るのがやっとだろう」と他紙で口火を切ると、待っていたかのように彼らの週末の紙面には続々とOBや評論家が登場し、ロジャース監督のチームの問題点を指摘しています。アーセナルでプレイしていたハートソン氏が「ダニー・イングスは不要」と期待の若手を切り捨てると、レッズOBのローレンソン氏は「Liverpool FC are becoming a poor man’s Arsenal(選手がプアだった頃のアーセナルと同じになりつつある)」。1980年代に7年間、リヴァプールの最終ラインを守り続けたアナリストの分析が興味深かったので、ここで簡単に紹介しましょう。

「ウェストハム戦では私の懸念がことごとく露呈してしまった。最も大きな問題は、ワイドの脅威がまったくないこと。現在のチームには、実質的なワイドプレイヤーがジョーダン・アイブしかいない。ララナやフィルミーノはすぐに中に入ってくるし、コウチーニョもワイドではない。それでバランスが保てていれば問題はないが、相手チームはリヴァプールの弱点に対応すれば勝てると踏んでいる。コウチーニョが抑えられると、彼らは何の答えも出せない」

これは、納得です。私がここまでのリヴァプールを見ていて気になったのは、ベンテケという強いストライカーを獲得しながら、彼に決めさせる道筋がはっきりしないことでした。バロテッリよりも裏に抜けるのがうまく、ボリーニよりもボールキープやポストプレイに長け、リッキー・リー・ランバートよりもヘディングシュートが武器になるベンテケにどうフィニッシュさせるかが明確でなければ、コウチーニョが素晴らしいミドルを決めてくれるのを待つだけのサッカーになってしまうでしょう。昨季のプレミアリーグで、タイプの違うストライカーを4人も揃えながら、誰ひとりとして満足な仕事をさせられなかったロジャース監督のチームは、FWの弱さを嘆くより前にFWをどう活かすかを見直したほうがいいのではないかと思います。

ひとつは、マンチェスター・シティのように複数の選手でサイドを崩してベンテケに合わせる形。今ひとつは、ベンテケをただポストとして使うのではなく、もうひとりが前線に侵入してベンテケとのコンビでフィニッシュに持ち込む形です。ベンテケ、オリギ、ダニー・イングス、スタリッジと4人のFWがいて、コウチーニョやフィルミーノも中で使えるリヴァプールには、2トップは合っているのではないでしょうか。ストライカーがサイドに流れてできたスペースに、コウチーニョ、ミルナー、ヘンダーソンらが入っていければ、もうひとりのトップと近い位置でのコンビネーションでゴールを狙う形が創れます。スタリッジがトップフォームを取り戻すまで、当面のベンテケの相棒はフィルミーノでいいのではないかと思います。アーセナルが、右サイドのウォルコットやチェンバレンが縦志向で、左が多いアレクシス・サンチェスやエジルが中を狙うという配置にしているように、左右にタイプの違うサイドアタッカーを揃える手もあるでしょう。2トップの際のフォーメーションは、以下となります。

GK/ミニョレ
DF/ナサニエル・クライン、アルベルト・モレノ(ジョー・ゴメス)、
  デヤン・ロブレン、シュクルテル
MF/ヘンダーソン、ミルナー(エムレ・ジャン、ルーカス)
  ジョーダン・アイブ、コウチーニョ
FW/ベンテケ、スタリッジ(フィルミーノ、ダニー・イングス、オリギ)

ウェストハム戦で惨敗したのを見直すタイミングとポジティブに捉え、何らかの改善を施さないと、「ベンテケやフィルミーノは獲得するべき選手ではなかった」「スアレスがいないから」「スターリングが抜けたから」などと昨季までと同じような敗戦の弁を残すだけとなってしまうのではないでしょうか。問題は選手よりも戦術にあるとみます。マンチェスター・シティの背中が見え、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルと並んでいられるうちに、ゴールの奪い方を明確にできれば戦う時間は充分にあります。冒頭に書いたように、プレミアリーグ4試合で勝ち点7は悪い数字ではなく、チェルシーが出遅れるという幸運も得られているのですから。ロジャース監督は、今が勝負のしどころです。この先の「悪いとこ探し」は愛あるゆえに心配を募らせている地元紙にまかせ、ここは明るく新しいレッズに期待したいと思います。あ、すみません、次戦の勝ち点は譲ってください。こんなこといいつつ、実はわれわれも、人んちのことをいっていられる余裕はないんです…。

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“「コウチーニョ依存」「サイドが使えない」…辛口地元紙が主張するリヴァプールの問題点!” への2件のフィードバック

  1. makoto より:

    チームのベストプレイヤーにある程度依存するのは悪いことではないと思いますね やりすぎは別ですが
    サイドが効果的に使えないーもっと絞ってしまえばサイドバックを利用した厚い攻撃ができないーという問題点はひとつ致命的なものですね しかも随分長い間の問題

    スターリッジ、コウチ、ララーナ、ヘンド、アレンを欠いた状態で乗り込むことになるであろうOTでの戦いはちょっと厳しすぎる気がします なんとか引き分けにはしてもらいたいですがたとえ引き分けたとしても前節の無様な試合があるのでkopは納得できないでしょうけどね

    —–
    無名さん>
    依存に関しては賛成です。問題は攻撃のバリエーションが乏しくなってしまっていることだと思います。次戦、お互いに課題をかかえているなかではありますが、それぞれの「らしさ」を感じさせてくれるいい試合を観たいですね。

  2. Gern より:

    こんにちは!いつも楽しく拝見させていただいています!

    英語のPoor man’s~という表現についてなのですが、これは貧乏人の~、つまり、廉価版、あるいは同じような特徴だがクオリティは一段下のものを指す単語なので、a poor man’s Arsenalはアーセナルの劣化版、くらいに訳すのが良いのではないでしょうか!

    これからも楽しみにしているのでよろしくお願いします!^^

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