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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

上位対決が続く正念場リヴァプール、クロップ監督が勝ちきるために何が必要!?

トッテナム、アーセナル、マンチェスター・シティと激突するここからの5週間が勝負です。年明けのプレミアリーグで3分2敗と未だ勝利がないリヴァプール。ユルゲン・クロップ監督は、就任2年めも鬼門の1月を無事にくぐり抜けられませんでした。1年めの昨季も、年明けからの5試合は1勝1分3敗。アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、プレミアリーグを制覇したレスターと対戦相手が厳しかったとはいえ、ウェストハム相手に0-2と沈黙し、4-5でものにしたノリッジ戦はラストプレーでララナがボレーを決めるきわどい勝利と、完勝がありませんでした。

今季もこの時期にマンチェスター・ユナイテッド、チェルシーと当たっているものの、サンダーランド、スウォンジー、ハル・シティはいずれも残留を争うチーム。彼らとの3試合で勝ち点を8も落としていては、優勝争いから脱落するのも仕方がありません。スプリント回数、走行距離ともリーグ1位の「ゲーゲン・プレッシング」はプレミアリーグを通年で戦えないという厳しい声も聞こえてきており、来季のチャンピオンズリーグ出場権を狙うチームは正念場を迎えています。

ここ2年に共通しているのは、リーグカップで勝ち残り、1月に準決勝の2試合をこなしていることと、FAカップで再試合を戦っていること。月間9試合という過密日程は、いちばん走るチームを確実に痛めつけています。クロップ監督と経営陣は、欧州でのスケジュールがなかったために、刃を研ぎ過ぎたかもしれません。ジョーダン・アイブ、ジョー・アレン、ベンテケ、サコ、コロ・トゥレ、シュクルテルと夏に中心選手を6人放出した一方で、加わったフィールドプレーヤーはマティプ、クラヴァン、ワイナルドゥム、グルイッチ、マネの5人。ダニー・イングスが2年連続で長期離脱となり、グルイッチも戦列を離れたという誤算はありましたが、サディオ・マネは1月にアフリカに旅立つとわかっていた選手です。「燃料計算」においては、チャンピオンズリーグを戦いながらプレミアリーグで2位につけているポチェッティーノ監督のほうがうまかったといわざるをえません。

ただし、クロップ監督の最大の誤算は、単純な頭数だけではないでしょう。レギュラーとサブの戦術理解度の差が大きいことが、レッズの戦い方を難しくしているのだと思います。昨季プレミアリーグで先発28回だったアルベルト・モレノは、守備の不安が改善せず、今季のスタメン起用はわずか3回。度重なる負傷でシーズンの過半を棒に振りながら8ゴールを決めていたスタリッジは、たったの2ゴール。オリギも期待どおりとはいえず、パス成功率が82%と低いエムレ・ジャンは度々敗因となっています。イギリスメディア「Squawka」は、この3人に加えてミニョレ、クラヴァン、ルーカス・レイヴァを放出しなければ、プレミアリーグ制覇には届かないと主張。クロップイズムを体現できるハイレベルな選手の必要性を説いています。

私は、今のリヴァプールについては、ロリス・カリウスが本来の力を発揮するという条件つきで、「ベストメンバーならプレミアリーグを制するポテンシャルがある」と思っています。問題は、戦略・戦術のオプションでしょう。同じくよく走るトッテナムやマンチェスター・シティのように、「ボールを奪う位置を意図的に下げてカウンター狙い」というプランBを装備することと、難しい展開になったときのカードを揃えること。前線が4枚いるアーセナル、サイドのアタッカーを選べるマンチェスター・シティ、フェライニやマルシアルをベンチで待たせておけるマンチェスター・ユナイテッドと比べると、オリギ以外にプランがないレッズはあまりにも貧弱です。高さという手っ取り早い武器だったベンテケの放出は、1年待ってもよかったかもしれません。突出した強みはなかったものの、ときどき中盤の詰まりを解消してくれたジョー・アレンも、今は恋しく思えます。サイドからドリブルで仕掛けられる選手が、もう1枚いればというシーンも1度や2度ではありません。

とはいえ、今季については、足りないパーツの話をしていても事は前に進みません。戦い方において最も重要なのは、スタメンでは策を弄さないこと。攻めてこそレッズ、走ってこそクロップサッカー。「上位チームにとって嫌なのは、間違いなくエムレ・ジャンよりワィナルドゥム」です。堂々と戦い、イーブンあるいは1点を追う展開になった際は、「クラヴァンを左SBにまわしてミルナーを中盤インサイド(あるいはウイング)に上げる」「後半の勝負どころで迷いなきウッドバーンを抜擢し、”デル・アリ化・ラシュフォード化”をめざす」といった思い切りがあってもいいのではないでしょうか。アウェイ戦では1分10敗と猫になるバーンリーと、レッズよりも悩みが深いレスターには必勝。アンフィールドのトッテナムとアーセナルからは勝ち点3をもぎ取り、エティハドでドローに持ち込めれば、大満足の5週間でしょう。マンチェスター・ユナイテッドサポーターとしては、すぐ上にいるライバルだけに、前半戦のレベルまで強さが戻ってきてしまっては困りますが、プレミアリーグをおもしろくしていただくべく、レッズの巻き返しに期待しています。

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“上位対決が続く正念場リヴァプール、クロップ監督が勝ちきるために何が必要!?” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    この1週間はレッズファンには厳しい時間でした(苦笑)ご指摘の通り控え選手との戦術理解度には差がありますね。プランBのレベルがあまりにも差がありすぎました。常々思うことがあるのですが、ユナイテッドとレッズの差は何だろうかと、、、。全てとは言えませんが、控え選手の脅威ではなかろうかと。レッズは派手なゲームで観るものを楽しませてくれますが、ユナイテッドは色々言われますが勝ち点を着実に積み上げる。うーん、、、あくまでも個人的な思いなので間違っているかもしれませんが、レッズはこの5週間前半戦を思い出して着実に勝ち点を積み上げて欲しいです。管理人様には申し訳ないのですが、狙いは3位フィニッシュです!

  2. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    1月の悪夢はいつまで続くのか、この5週間の日程をみると憂鬱にしかならないですね。
    この1月の不振は私も”レギュラーとサブの戦術理解度の差が大きい”ことがあまりにもクロップ監督の誤算だったのではと思います。
    何度も書いて恐縮ですが、やはりスタリッジとジャンのパフォーマンスはチームに貢献しないばかりか敗因となってしまっています。
    ハル戦になぜジニが出なかったのかは未だ理解できません。
    頭数もポチェッティーノ監督のチームをみれば言い訳にはできないでしょう。
    問題はドン引きされて攻めきれず、挙句の果てにカウンターで失点と同じやられ方を繰り返していることです。
    チェルシーやスパーズも得点が奪えず苦しんだ試合はありました。
    その際に負けをドローに、ドローを勝ちに変えたのは明らかにディフェンスが秀逸だからです。
    失点数30、しかもここぞのところであまりにも簡単にやられるディフェンスを改善しなければタイトルは遠いことを痛感させられました。
    しかし、だからといってコンテやモウリーニョのようなサッカーはクロップには、レッズには似合いません。
    攻めて攻め勝つためのプレッシングを、シーズン当初の姿を現メンバーに思い出していただき、”クロップイズムを体現できるハイレベルな選手”を獲得するためにもCL権獲得を期待して応援し続けます。
    前記事で話題になってましたトップ4予想ではコメントできませんでしたが、私はレッズの3位フィニッシュはいけると思っています。
    そのためにも明日のスパーズ戦は必勝です。

  3. makoto より:

    Mackiさん>
    控え選手の層の薄さは、気になりますよね。マルコヴィッチ、ジョーダン・アイブがうまく機能させられればよかったのですが…。

    nyonsukeさん>
    スタリッジとエムレ・ジャン、ダニー・イングスの長期離脱は誤算でしたね。負傷していたグルイッチがうまく入ってきてくれればと期待してます。

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